更新日:

内装工事の費用はローンで払える?費用目安やローンのメリット・デメリットなどを解説

内装工事の費用はローンで払える?費用目安やローンのメリット・デメリットなどを解説

飲食店の開業を夢見る方にとって、内装工事は避けて通れない大きな山。単なる見た目の問題ではなく、電気・ガス・水道などの設備面から、店舗コンセプトを体現するレイアウトまで、成功への土台を築く重要なステップです。

しかし、その費用は想像以上に高額。本記事では、工事別の具体的な目安金額を明らかにし、予算内に収めるための賢い戦略を伝授します。さらに、資金調達の要となるローンやリースについて、そのメリットとデメリットを専門家の視点から徹底解説。

夢の実現に向けて、内装工事という最初の難関を乗り越えるための、実践的なガイドをお届けします。

内装工事はどれくらいコストがかかる?

内装工事のコストは千差万別で、建物の広さ、仕様、地域などによって大きく異なります。その中でもどの店舗にも共通する「4つの基本工事」が存在します。

では、その「4つの基本工事」とは何か、そしてそれぞれにどの程度の資金を準備すべきか。業界の最新データを基に、明確な数字で解き明かしていきます。

内装工事はどれくらいコストがかかる?

電気工事

電気工事は、主に業務用電源の新設や電気配線の整理、スイッチ・コンセントの増設、照明器具の配線などのことを指します。費用は店舗の規模や工事内容によって異なりますが、一般的な広さである15坪〜20坪の場合、100万円〜150万円程度が目安です。

ガス工事

ガス管の新設や取り替え、ガス栓の増設などを指すガス工事。飲食店用としてガスが入っていれば、基本的に配管工事だけのため、工事費用は35万円〜40万円程度です。ガス管の敷設が必要となる場合は、さらに30万円~70万円ほどかかると見込んでおきましょう (都市ガスの場合) 。プロパンガスの場合は、業者によって金額差がかなりあります。総じて都市ガスより安い傾向にあります。

水道工事

水道工事には、給水・排水管の敷設、シンクやトイレの設置などが含まれます。費用は、トイレも厨房も何もないスケルトン状態の物件なら60万円~120万円くらいです。なお、厨房設備機器のつなぎ工事は別途費用が発生いたします。また、飲食店の場合、グリストラップの設置が不可欠ですが、グリストラップの大きさによっても工事費用は上下します。

ダクト工事

ダクト工事とは、空調設備や換気設備のための配管やダクトを設置する工事です。ダクト工事費用も物件の条件によってピンキリですが、相場は80万円~120万円となっています。焼肉屋など独特の臭いや多くの煙が発生する飲食店の場合は、特殊な換気設備が必要になるケースもあります。ビルなどで屋上にダクトを上げないといけない物件の場合は、かなり高額な工事費がかかりますので要注意です。

意外と高額になる内装仕上げ工事とは?

飲食店の開業に必要な工事には、電気・ガス・水道などの「設備工事」と、床・壁・天井を希望のデザインに仕上げる「内装仕上げ工事」があります。これらの工事は、設備工事も含めて「内装工事」と呼ばれることがありますが、特に内装仕上げ工事はお店のコンセプトを反映させる重要な要素です。

カフェ開業ひとつとっても、コンセプトやターゲットとしている客層などによって、壁や床に使用する素材が異なります。ビンテージ風の木目調が温かみを醸し出すカフェもあれば、一方でミニマルなモノトーンで都会的洗練さを演出するカフェもあります。内装仕上げ工事に使用する材料によって、工事費は大きく上下する場合があります。

また、工事費用は居抜き物件かスケルトン物件かによっても異なるうえ、デザインにこだわればこだわるほど上限無く膨らんでいきます。設備工事も含めて、自己資金と相談しながら、どの程度まで工事費用をかけられるかを考え、見積もりを立てましょう。

意外と高額になる内装仕上げ工事とは?

内装工事費用が大きく変化する要因

一般的に、店舗の内装工事費用は坪あたり30万~50万円とされています。10坪程度の小さい店舗を出店する場合、内装工事が上記目安金額よりも割高になります。

また、以下に挙げる要因で、内装工事費用は大きく変化する可能性があります。

内装工事費用が大きく変化する要因

居抜き物件かスケルトン物件か

内装工事費が変化する要因のひとつは、借りた物件が居抜きかスケルトンかの違いです。

居抜き物件は、前のテナントが使用していた内装や設備が残っている状態の物件です。特に同業種であれば、残っている設備や内装をそのまま利用できるため、初期費用を抑えられる場合があります。

スケルトン物件は、内装や設備が全て取り除かれた状態の物件です。完全に自由に設計・施工できるため、自分の理想に近い店舗を作ることができますが、その分、工事費用が高くなります。なお、スケルトン物件は原状回復工事が必須の場合も多いので、頭に入れておきましょう。

店舗の規模とレイアウト

店舗の規模やレイアウトは、工事の範囲と複雑さに直接影響します。大規模な店舗や複雑なレイアウトを持つ店舗では、材料費や作業時間が増えるため、工事費用も高額に。また、複雑なレイアウトは、配管や配線の設置が難しくなるため、コストを押し上げる要因となります。飲食店においては、厨房のレイアウトによって大きく金額が変わります。工事可能かどうかを含め、業者との慎重な打合せが重要です。

使用する材料の質と種類

使用する材料や設備の質は、工事費用に大きく影響します。高品質な材料や最新の設備を使用する場合、それに応じたコストが発生します。特に飲食店では、厨房設備や内装のデザインは集客力に関わるため、理想と資金のバランスをよく考える必要があります。合わせて、清掃のしやすさ、メンテナンス性の良さなど、商品や客層に合わせた素材選びがポイントです。

内装工事費用を少しでも抑えるコツ

開業費用は可能な限り安く収めたいものです。中でも開業費用の大半を占める工事費用を少しでも抑えるには、以下の2点を意識しておきましょう。

①見積もりに納得できない場合は他社も検討する

内装工事にかかる費用は、工事を依頼する業者によって大きく異なる場合があります。もし、金額的に折り合いがつかない場合は他社も検討しましょう。その際、最初の会社が設計やデザインした図面は流用できないため、時間に余裕を持って進めることをおすすめします。

見積もりを比較検討し、どうしても予算と合わないときは値下げ交渉をするのも手段のひとつ。ただ「安くしてください」ではなく、譲れない部分はどこなのか、どの程度の予算までなら出せるのかを明確に伝えるようにしましょう。

②予算を事前に決めておく

店舗の内装工事はいちから始めると、1千万単位の金額になってもおかしくありません。内装費用にいくらまで掛けられるかをきちんと計算し、その根拠となる事業計画は事前に必ず作成しておきましょう。

③物件を契約する前に必ず施工業者と現場確認をする

不動産屋には判断が難しい建築の専門知識が必要な物件もあります。水道・電気・ダクトなど高額な工事費がかからない物件なのか?契約前に必ず施工業者に下見をお願いしましょう。

④できるだけ近い施工業者を選ぶ

店舗は完成してからが本当のスタート。開業後のメンテナンスや故障は、どれだけ丁寧な施工をしてもゼロにするのは難しいものです。修理依頼は必ず発生するため、対応まで何時間もかかる遠い施工業者より、できるだけ近い施工業者をおすすめします。

高額な内装工事費用をローンやリースで払うことはできる?

内装工事費用をローンやリースで支払うことは可能です。どちらも初期費用を抑えられる方法ですが、以下でそれぞれのメリットとデメリットに触れながら説明します。

内装工事費用をローンで払うメリット・デメリット

【メリット】

所有権を確保できる・・・ローンを使って内装工事費用を支払う場合、完成した内装や設備の所有権は店舗側となります。内装や設備は資産として計上でき、将来的な価値として残すことができます。

資金管理が柔軟になる・・・内装工事費用をローン分割にすることで内装工事に掛かる初期費用をゼロ円とし、月々の返済を少ない金額に設定することが可能となります。残ったキャッシュは他の運転資金やマーケティング、商品仕入れなどに充てることができるため、資金管理に余裕を持つことができます。

信用力の向上につながる・・・ローンの返済を適切に行うことで、店舗の信用力向上が期待できます。これは将来的な追加融資やビジネス拡大に役立ちます。

【デメリット】

利息負担・・・ローンには利息がつくため、借入額に対して総返済額が増えます。特に金利が高い場合、返済負担が大きくなります。

審査が厳しい・・・ローンを利用するには金融機関の審査に通過する必要があります。新規事業や個人事業の場合、信用情報や過去の実績が少ないため、審査に通りにくいことがあります。

内装工事費用をリースで払うメリット・デメリット

【メリット】

初期費用を削減できる・・・リースを利用することで、大規模な初期投資を避けられ、内装や設備の導入コストを月々の支払いに分散できます。

最新設備を利用できる・・・リース契約期間が終了した際に、新しい設備に更新することができるため、常に最新の技術や設備を利用することが可能です。

税制上のメリットが受けられる・・・リース料は経費として計上できるため、税金対策として有効です。毎月のリース料が経費となり、利益を圧縮できる場合があります。

【デメリット】

支払いが終わるまで所有権がない・・・リース契約ではリース会社が所有権を持つため、支払いが終わるまで所有権を持つことができません。また、契約終了後に設備を引き続き使用する場合は再リースや買い取りが必要になります。

総支払額が高くなる・・・リース料にはリース会社の利益が含まれているため、長期的に見た場合、購入するよりも総支払額が高くなることがあります。

契約期間の制約・・・リース契約は通常、一定の契約期間が定められており、その期間内に契約を解約する場合には違約金が発生することがあります。

開業に関するお悩みは「canaeru」にご相談ください

「canaeru(カナエル)」では、開業にまつわるサポートを無料で行っています。何をすればいいかわからないという方は、ぜひご利用ください。事業計画の立て方から資金調達、物件取得まで開業のすべてをサポートいたします。

canaeruは、国から経営革新等支援機関(認定支援機関)と認められた株式会社USENが運営する開業支援サービスです。経験豊富な開業プランナーが、開業を多角的にお手伝いします。

まとめ

設備工事費や内装工事費は、店舗の規模や仕様、地域などによって大きく異なります。専門業者に工事を依頼する際は、金額だけの判断ではなく、対応力、所在地、実績など総合的な判断基準を持っておくことが重要です。

工事にかかる初期費用を抑えたい方は、ローンやリースを活用する方法もあります。ただし、デメリットもあるので、工事費用をどのように賄うか適切に判断できるように準備しておきましょう。

この記事の監修

サンクジャパン株式会社 代表取締役_清水 公彦

サンクジャパン株式会社 代表取締役

清水 公彦

建築工事(店舗・オフィス・倉庫・住宅の設計施工及びリノベーション)
一級建築士事務所
古着屋みたいな不動産屋
開業体験ができる飲食店shitagoya運営
経営スクールも開講中

“仕事を楽しむ”をポリシーに、みんなが笑顔になるまちづくりを行っております。

サンクジャパン株式会社
shitagoya

canaeruは年間300件以上の開業サポート実績!

メールアドレスの登録で
開業までのサポート完全無料で受けられます!

個人情報の取り扱いについて

メールアドレスを入力してください

無料会員登録でできること
① 「日本政策金融公庫」の創業融資をはじめとする資金調達の相談が出来る!
② 開業時に必要な事業計画書の作成サポートが受けられる!
③ 店舗開業や運営に関するさまざまな疑問点・お悩みを何度でも相談可能!
※ 金融機関出身者、元飲食店オーナーら店舗開業のプロが対応します

PAGETOPへ