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受動喫煙防止法の基準とは?対応しないリスクや罰則・手法などわかりやすく解説

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「受動喫煙防止法」について解説します。
2020年に施工された比較的新しい法律なので馴染みのない方が多いかもしれませんが、実は法律に違反した場合には、行政からの罰則を受ける可能性があります。不特定多数のお客様を相手にする飲食店などではある程度の概要は知っておいた方が良い法律です。ここでは、法律の基本や具体的な対応策をわかりやすく解説し、開業準備の不安を解消します。
地域ごとのルールや手続きも含めて説明しているので、この情報を活用すれば、法令に準拠した店舗を安心して準備できます。

受動喫煙防止法の定義と基本概要

受動喫煙防止法の定義と基本的な仕組みを簡潔に説明します。飲食店運営を考えている方が、法律の枠組みを理解するための導入としてお読みいただけます。

受動喫煙防止法の概要と目的

受動喫煙防止法の法律上の定義やその目的を整理していきます。
目的は、望まない受動喫煙からの健康被害を防ぐことであり、特に子どもや患者など、影響を受けやすい人の保護が重視されています。また、日常的に人が集まる施設での対策を義務化し、安全な環境づくりを進めています。
以下に対象や背景をまとめます。
・目的:望まない受動喫煙防止、子ども・患者を含む健康配慮
・法的根拠:健康増進法の改正(2020年4月全面施行)
・対象施設:多数が利用する店舗や飲食店など
・施行時期:2020年4月から全面的に適用

受動喫煙防止法と健康増進法の関係と改正のポイント

ここでは、健康増進法との関係性と改正の経緯を整理し、押さえておくべきポイントをまとめます。
まず、健康増進法の一部を改正する法律として制定され、2018年成立、段階的に施行され、2020年4月に全面施行されました。これにより、単なる努力義務だったものがルールへと強化されています。
主な改正ポイントは以下の通りです。
・2020年4月に全面施行し、屋内の原則禁煙を義務化
・「第二種施設」(飲食店など多数が利用する施設)には屋内禁煙を義務付け
・条件を満たす場合に限り、喫煙専用室の設置が可能となっています

受動喫煙防止法の特徴と重要性

受動喫煙防止法は、屋内での望まないたばこの煙を防ぐためのルールを定め、飲食店にとっては法的順守が必要な基盤です。原則として飲食店内は禁煙ですが、例外的に喫煙室などの設置が認められます。標識掲示や20歳未満の立ち入り禁止などの義務も含まれ、安全な環境づくりを促す重要な法です。

飲食店に与える影響

飲食店にとって、受動喫煙防止法は具体的な運営の指針となります。たとえば、以下の点で影響があります。
義務:屋内は原則禁煙で、喫煙室を設ける際は技術的基準を満たす必要があります。
標識:喫煙可能区域を明示する標識を掲示しなければなりません。
20歳未満:喫煙エリアへの立ち入りは禁止されています。
これらに対応することで、法令順守と来店者の安心感を両立できます。

受動喫煙防止法に対応しない場合の罰則・リスク

2020年4月施行の改正健康増進法により、多くの施設で原則屋内禁煙が義務化されました。これに違反し、行政の指導や勧告に従わない場合は、施設管理者だけでなく喫煙者本人にも法律に基づいた罰則が科せられます。法的制裁のみならず、企業の社会的信用の失墜や安全配慮義務違反による訴訟リスクも無視できません。
【罰則・リスクの概要】
・施設管理者への過料: 喫煙室の基準違反や紛らわしい標識の掲示などに対し、最大50万円の過料が科せられます。
・喫煙者への過料: 禁煙場所での喫煙や、管理者の制止に従わない場合、最大30万円の過料が科せられる場合があります。
・損害賠償請求: 従業員の受動喫煙による健康被害に対し、安全配慮義務違反として民事訴訟に発展するリスクがあります。
・企業イメージの悪化: コンプライアンス違反の公表やネットでの拡散により、採用活動や顧客からの信頼に深刻な影響を及ぼします。

飲食店が分煙を選択するメリット

分煙を導入することで得られる飲食店経営上のメリットをわかりやすく解説します。喫煙者・非喫煙者双方のニーズに応えつつ、集客や売上、信頼性の向上にもつながる点に注目します。

多くの客層に来店してもらえる

分煙を実施することで、喫煙者だけでなく非喫煙者にも気兼ねなく利用いただける環境を整えられます。全面禁煙では喫煙者を、全面喫煙では非喫煙者を逃してしまいますが、分煙なら両方の層を取り込めます。これは開業初期に特に重要なポイントです。
具体的には、
・喫煙者が「たばこを楽しめる店」として安心して来店できる
・非喫煙者やファミリー層が「煙が気にならない快適な環境」として選びやすい
このように、多様なニーズに対応できることで、集客力が高まります。

客数や売り上げ減少の回避につながる

飲食店では、アルコールや食事と喫煙を一緒に楽しみたいお客様が一定数います。そのようなニーズを断つと、客数減や機会損失につながりがちです。分煙により、このような潜在的な売上低下を防げます。
例えば、
・喫煙可能な環境があることで、客単価が落ちにくい
・滞在時間が短縮せずに済み、売上機会を逃さずにすむ
結果的に、客数と売上の安定に寄与します。

競合他社との差別化につながる

健康志向や全面禁煙が進むなか、分煙を適切に整備することは他店との差別化になります。特に喫煙者にとって、安心して利用できる貴重な選択肢となるでしょう。
具体的には、
・近隣が全面禁煙の店ばかりのエリアで、分煙対応が“強み”に
・エリア戦略として、喫煙者ニーズを意識した店舗としての認知向上
こうした差別化は集客の武器になります。

料理の良さを損なわない

たばこの煙やニオイは料理の風味や香りをかき消してしまうことがあります。分煙を導入すれば、禁煙エリアではその影響を避け、食事の魅力をしっかり伝えられます。
具体的には、
・繊細な味わいや香りを損なわず提供できる環境
・食事そのものの価値を最大限に感じてもらえる
結果として、料理の魅力が伝わりやすくなります。

清潔感のある店舗を保てる

たばこのヤニや臭いは壁や天井、空調に染みつき、清掃やメンテナンスの負担が増えます。しかし、喫煙エリアを限定すれば、清掃範囲を限定でき清潔感が保ちやすくなります。
具体的には、
・ヤニ汚れの発生を喫煙エリアに限定できる
・壁紙の張り替えや洗浄など掃除の手間・コストを減らせる
こうした点で、清潔で印象の良い店舗運営が可能になります。

社会的な信頼を高められる

受動喫煙対策に真剣に取り組む姿勢は、「お客様や従業員を大切に考える店」として良い印象を与えます。ブランドや信用の向上にもつながります。
具体的には、
・健康への配慮が見える運営姿勢として評価される
・CSR(企業の社会的責任)を果たす店舗としての信頼性向上
これが、地域社会からの評価や選ばれる要因になります。

従業員満足の向上につながる

従業員が日々働く環境において、受動喫煙から守られることは安全配慮義務として重要です。分煙により職場環境が改善し、働きやすさや定着率も向上します。
具体的には、
・クリーンな職場環境が従業員の安心感につながる
・採用時に「働きやすい職場」としてアピールできる
結果として、スタッフの満足度と定着率の向上が期待できます。

法律違反を避けられる

2020年4月から施行された改正健康増進法では、屋内を原則禁煙とすることが義務付けられ、違反すると最大50万円の過料が科されます。しかし、技術基準を満たした喫煙室を設置すれば例外的に喫煙が認められ、法令遵守しながら対応できます。
具体的には、
・喫煙室設置により法的リスクを回避できる
・喫煙者のニーズも満たしつつ、法令に応じた運営が可能
こうした法的な安心は、開業準備にも欠かせない視点です。

飲食店が分煙を選択するデメリット

分煙の導入には時間やコストがかかる上、完全に分煙できない可能性もあるため、飲食店にとっては慎重な判断が求められます。導入に関わるデメリットについて理解し、現状に適した対応を考えることが重要です。

時間やコストがかかる

分煙施設を設けるためには、初期投資と運用負担が避けられません。喫煙室や仕切りの設置、適切な換気設備を整える必要があり、これにはかなりのコストがかかります。工事を行う際は一時的に営業を中断する必要があるため、売上に影響する可能性もあります。また、導入後は清掃や点検が日常業務に加わるため、労働力にも負担がかかります。
具体的な負担内容は以下の通りです。
・設置費用(喫煙室、仕切り、換気設備の設置)
・工事期間中の営業休止による収益機会の損失
・定期的な清掃や換気設備の保守管理
これらは資金面や人手面で小規模店舗にとって重荷となることがあります。さらには、設置工事後に換気不良を改善するための追加工事や高額なメンテナンス費用のリスクも含まれています。

完全に分煙できない可能性もある

現実的には、構造上の制約や設備不備によって分煙がうまく機能しないこともあります。煙や臭いが他の区域に漏れてしまうことで、非喫煙者からクレームを受けやすくなり、健康への懸念も生じる可能性があります。特に、建物の元々の構造や換気性能が不十分な場合、思ったほどの効果を得られないことがあります。
具体的なリスクは以下です。
・煙漏れによる非喫煙者からのクレーム
・建物構造や換気設備の制約で効果が限定的
・実際には受動喫煙を完全に防げていないため、法対応として不十分と見なされる場合
また、空間の設計次第では、喫煙室を増設しても流入を完全に防ぐことが難しく、これが原因で新たに施設変更を求められる可能性もあります。

受動喫煙防止の種類・手法

受動喫煙を防ぐために、屋内では喫煙室の設置、屋外では配慮義務を伴う喫煙所の設置、さらに一定規模以下の既存店には経過措置が適用される対応手法を整理して解説します。

喫煙室の種類

喫煙室には「喫煙専用室」「加熱式たばこ専用喫煙室」などがあり、利用できる条件や飲食の可否などが異なります。専用室は屋内禁煙義務の例外として認められ、紙巻たばこ全般を対象とします。
加熱式たばこ専用喫煙室は加熱式たばこに限定し、飲食が可能な点で喫煙専用室と異なります。技術的には、室の出入口に空気の流入速度が0.2m/s以上であることや、室内からの煙が外部に流出しない区画構造が求められます。

屋外喫煙所の設置

屋外では法律上、罰則はありませんが、「望まない受動喫煙を生じさせないよう配慮する」義務があります。特に飲食店の出入口付近や歩道沿いは禁止される場所となります。
配慮の具体例としては以下の通りです。
・出入口や歩道そばに灰皿を置かない
・隣接建物へ煙が流れないように設置位置に配慮する
・営業時間外は灰皿を片付ける
・パーテーションで区画し煙の流出を防ぐ
・掲示で利用者へ配慮を促す

既存店の経過措置

改正健康増進法では、個人または中小企業が経営し客席面積100平方メートル以下の既存飲食店には、経過措置として屋内で喫煙可能な標識の掲示が認められていました。
ただし、自治体によっては経過措置の条件が変わり、大阪府では2025年4月以降、客席面積が30平方メートル以下の既存店に限られるなど、規制が厳しくなっています。

開業する前に~受動喫煙防止法の実行手順

飲食店を開業する前に、受動喫煙防止法に沿った準備を確実に進められるよう、手順の全体像を分かりやすくご案内します。これからご紹介するステップに沿って対応を進めれば、法令違反を未然に防ぎ、安心して運営を始められます。

ステップ1:物件選び

ステップ1:開業前対策として、まず物件選びの段階で「原則屋内禁煙(喫煙専用室の設置は可能)」に該当するか、あるいは「敷地内禁煙」などの特別な制限があるかを確認します。原則屋内禁煙とは、屋内では基本的に禁煙である一方、技術基準を満たした喫煙専用室を設置すれば喫煙が可能であることを意味します。これらの条件は、法や自治体の条例で定められており、物件の選定段階でチェックを怠ると後から大幅な改修や対応が必要になるリスクがありますので、慎重に確認をして進めてください。公表されているガイドブックなども活用し、条件と照らし合わせて判断することが大切です。

ステップ2:設計・設備

ステップ2:技術基準に基づく設計・設備を進めます。喫煙専用室を導入する場合、出入口で室外から室内への気流を0.2m/s以上確保し、煙が店内に漏れない壁・天井構造、さらに屋外への適切な排気が必要です。換気設備や排気システムの設計には専門業者への相談も検討してください。また、中小企業向けに国や自治体の支援制度や助成金が設けられている場合もありますので、こうした制度を併用してコスト負担を軽減する工夫も重要です。

ステップ3:届出(既存特定飲食提供施設)

ステップ3:開業前でも、経過措置の対象となる「既存特定飲食提供施設」に該当する場合には、喫煙可能室の設置や廃止を行う際には、管轄の保健所への届出が義務付けられています。届出には国と都道府県それぞれの書式およびチェックリストが含まれ、郵送・窓口対応ともに可能です。また、設置した喫煙室や店舗全体が喫煙可能な場合は、適切な表記をした標識を店頭と喫煙室入口へ掲示する必要がありますので、提出書類と併せて対応を確認しておきましょう。

ステップ4:運用開始

ステップ4:いよいよ運用開始ですが、この段階では従業員へのルール周知と日常的な管理体制を整えます。従業員には喫煙ルールや喫煙室の利用方法、注意点などを明確に伝え、店舗での対応を習慣化することが大切です。継続的な点検や標識の掲示状況、換気設備の運転状態などのチェック体制を整えておけば、お客さまとスタッフの安心を確保する店づくりにつながります。

よくある質問

開業前の飲食店オーナーが抱えがちな疑問に、受動喫煙防止法の実務対応として具体的にお答えします。安心して開業準備を進められるよう、現場で感じる“困った”に丁寧に寄り添います。

喫煙室の設置にはどのくらいの費用がかかる?

Q1.喫煙室を設けたいけれど、どのくらい費用がかかるのでしょうか。
A.喫煙ブースを導入する場合、一括購入タイプだと比較的リーズナブルに設置でき、コンパクトなタイプなら施工費用も抑えられます。また、厚生労働省の「受動喫煙防止対策助成金」を活用すれば、飲食店では工事費や設備費の約2/3が補助され、上限100万円まで支給される可能性があります。この助成制度は、機械装置や備品費を含む広範囲の費用がカバーされるため、導入コストを大きく軽減できます。維持管理に関するアドバイスや、申請の実務対応も専門家に相談できるので、制度を知っておくと安心です。

屋外に灰皿を置くだけでも問題ない?

Q2.屋外に灰皿を置いておけば、それだけで十分なのでしょうか?
A.確かに、屋外に灰皿を設置することは法的に禁止されていません。しかし、受動喫煙を防ぐための配慮が求められます。例えば、出入口や通行の多い場所から灰皿を距離を置いて設置することが大切です。さらに、灰皿の周囲で煙が漂わないよう、風向きを考慮した配置や高さの調整が必要になります。加えて、近隣からのクレームを防ぐため定期的に周囲を清掃し、衛生状態を保つことも不可欠です。こうした配慮が不足すると、思わぬトラブルに発展する可能性がありますので注意が必要です。

オフィスや他業種でも同じルールが適用される?

Q3.飲食店以外のオフィスや施設にも同じルールは当てはまりますか?
A.はい、オフィスや他の施設にも受動喫煙防止策は適用されます。特に、東京都の条例では、従業員が勤務するすべての施設に対して受動喫煙防止措置を講じる必要があります。設置が義務付けられる規模や内容は施設によって異なるため、最新の法令を確認して対応することが重要です。各業界ごとに異なる基準があるため、具体的な対応策を講じるには、対応が望ましい内容を把握し、レイアウトや設備を適切に整える必要があります。こうした点を押さえておくことで、施設全体の安全と快適性を維持できます。

20歳未満の従業員がいる場合の対応は?

Q4.20歳未満の従業員がいる店舗では、どう対応すべきでしょうか?
A.20歳未満の従業員は、たとえ業務であっても喫煙室への立ち入りは禁止されています。店舗では新しい従業員へのルールの周知、標識の掲示、出入口での年齢確認などを徹底する必要があります。加えて、同伴する顧客に対してもこのルールを説明し、適切に対応することが求められます。また、安全確保のためにスタッフ同士で情報を共有し、誤って入室することのないよう、徹底した管理体制を整えることが大切です。これにより、すべての働く環境が法令準拠に沿ったものとなります。

最新情報はどこで確認すればいい?

Q5.法律や条例の最新情報はどこでチェックすれば安心ですか?
A.最新情報の確認には、厚生労働省の公式サイトの活用が最も安心です。詳細な法律の解説や改正情報、Q&Aも掲載されており、自ら仕様を変更したい場合にも有用です。また、自治体の公式ページにも地域ごとに異なる助成制度やルールが掲載されるため、所在地に応じたページをチェックしてください。さらに、各地域にある健康増進センターでは必要な情報に加え、直接相談が可能で、実際の運用例を紹介するケーススタディも役立ちます。こうした情報収集の導線を確立しておくと、最新情報に基づいて確実な対応が可能です。

開業前に受動喫煙防止法のポイントを押さえておこう

飲食店を開業しようとする方にとって、法律対応の見落としはリスクになり得ます。まず「いつ」「誰が」「どの範囲」で喫煙対応を行う必要があるのかを整理しましょう。
2020年4月の改正健康増進法で、飲食店は原則屋内禁煙となり、小規模店舗には例外的に「喫煙可能室」設置が認められています。ただし、2025年4月以降は多くの自治体でその適用範囲が厳格化されています(例:客席面積30㎡超は屋内禁煙)。
開業前に以下をチェックすると安心です。保健所への「喫煙可能室設置届出」が必要か、構造基準(換気設備・区画構造など)を満たせるか、20歳未満の立ち入り禁止表示が準備できるかについてです。これらを確認することで、法令遵守の上に信頼感ある店舗運営のスタートになります。

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