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【第5回】飲食店の客単価アップ術 24~ワンオペでも簡単にできる仕掛け~⑤セットメニューを作ってみよう
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愛嬌接客®専門家の木村氏による、飲食店向け接客コラム第5弾!
人手不足やコスト高により、ワンオペ経営の飲食店が増えてきている昨今。忙しい中でもちょっとした接客テクニックを取り入れることで、満足度の向上だけでなく客単価アップにもつなげることができます。
本コラムでは誰でもすぐに実践できるテクニックを全24回に分けて余すことなくご紹介!
今回は「セットメニューを作ってみよう」をテーマに、セットメニューを導入するメリットや客単価アップのための価格設定についてお伝えします。目次
第5回のテーマは「セットメニュー」
ワンオペや少人数で運営する飲食店では、接客・調理・提供・片付けまでの全てを限られた人数で行わなければなりません。そんな環境だからこそ、「セットメニュー」は、売上だけでなく、業務の効率化とお客様満足の両方を叶える武器になります。あるwebサイトで「単品とセットメニューならどちらを選ぶか?」と500名に聞いたところ、約7割が「セットメニューを選ぶ」と回答しています。一人一人ゆっくりと接客ができないタイミングも多いと思いますので今回は「店員から言葉のアピール」が無くても売りたいメニューが売れる「セットメニュー」について具体的にお伝えしましょう。
◆「セットメニュー」の魅力:お店側編
「セットメニュー」を作ると、お店にとって良いことが沢山あります。
大きく3つあげると①作業効率が上がる ②客単価が上がる ③原価操作が可能、ということです。
① は、特にランチやディナーのピークタイムの際、同じメニューの注文が重なると作業効率がグンと上がります。逆にセットメニューが無く単品メニューのオーダーが続くと作業効率が下がります。これは、お客様への料理の提供時間が遅れるだけでなく、無駄な動きが多くなり料理人の体力も奪います。
② は、セットメニューが無いと、「単品の一品のみ」の価格になりますが、セットメニューがあると、「目的の単品」プラスアルファーのオーダー(=セットメニュー)になるので、必然的に販売価格もアップします。
③は、例えば原価が37%のハンバーグ単品の商品も、低原価のドリンクや、大量仕入れで通常より安く仕入れることができた野菜などとセットにすることにより、トータルで原価を抑えることが可能になります。
◆「セットメニュー」の魅力:お客様編
「セットメニュー」は、もちろんお客様にとっても良いことだらけです。
こちらの3つは、①決めやすい ②単品より割安 ③お得感がある、です。
①ですが、冒頭でもお伝えした通り飲食店に訪れた半数くらいのお客様が何を注文するか迷うので、「セットメニュー」があると「店側からベストな組み合わせ」が可視化されて意志決定の後押しになります。
②は、お客様から見た時に「セットメニュー」は、それぞれ単品で注文するより販売価格が安くなります。お腹が空いているお客様などは、単品より「セットメニュー」の方が割安です。
③は、メイン料理プラスアルファーで「少しずついろいろ」食べることのできる「セットメニュー」は、見た目もワクワクしお腹も満たされ、単品よりお得だと感じやすくなります。
◆「セットメニュー」副菜の選び方
基本的には自由な発想で良いとは思いますが、ここではワンオペでも提供しやすい副菜の選び方をお伝えします。
例えば、以下のとおりです。
① 「メイン」+サラダor小鉢もの(常温での提供も可能で盛り付けが簡単なもの)
②「メイン」+ドリンク
③ 「メイン」+サラダor小鉢もの+ドリンク
です。
「メイン」がカレーだったとすれば以下のようになります。
① 「カレー」+サラダor野菜のピクルス
② 「カレー」+ドリンク
③ 「カレー」+サラダor野菜のピクルス+ドリンク
副菜選びのポイントは「あらかじめ仕込みが完了していること」と、「盛り付けが簡単なこと」の二つです。
副菜候補のサラダまたは野菜のピクルスを小鉢にセットし、5~10個ほど冷蔵庫に用意しておきます。注文が入りカレーを温めている間に冷蔵庫から取り出して盛り付ければ「カレーのセットメニュー」は素早く提供が可能です。
この副菜が例えば「卵スープ」など温めが必要なものだと、ひと手間かかってしまいます。慣れないうちの「セットメニュー」の副菜は、冷たい状態や常温での提供が可能なものを選ぶことをおすすめします。
◆「セットメニュー」価格設定
飲食店あるあるだと思いますが、特に小規模の飲食店は値上げをしたいと思っても、なかなか決心がつきません。理由は、店主やスタッフとお客様の距離が近いので、値上げを考えると同時に常連さんの残念そうな顔や言葉を想像するからです。実際に値上げで客数が減ることも多々あるので、価格は安易に決めず以下を参考にしてください。
「セットメニュー」の価格設定で定番なのが「松竹梅(しょうちくばい)の法則」です。
高・中・低の3つの価格帯を設定することで、多くのお客様が“真ん中”を選ぶ心理テクニックです。
例えば「松(1,500円)・竹(1,200円)・梅(900円)」と並べると、「松2:竹5:梅3」の割合で注文した半数の方が竹(真ん中)を選ぶそうです。
ここで大事なのが「プライスゾーン」という、そのお店のお客様が「許容できる価格帯(ゾーン)」です。
例えばランチで800円〜1,200円が一般的なエリアで、「松(1,800円)・竹(1,500円)・梅(1,200円)」だと、竹(真ん中)は選ばれない可能性が高いですが、「松(1,300円)・竹(1,000円)・梅(800円)」なら、竹(真ん中)が選ばれやすくなります。
要は、「松竹梅」はあくまで“選ばせ方”の戦略であって、その土台にある「プライスゾーン(地域性や客層に合った相場の価格)」を外してしまうと機能しません。
竹(真ん中)を売るコツは、松をちょっと高く・梅をちょっと安く見せることと、価格バランスを「1.5:1.2:1」くらいを目安にすることです。他には、竹(真ん中)だけメニューに写真があったり、大きく書いたりと工夫すれば、「真ん中を選ぼう」と選択してもらえる可能性が高くなります。
ちなみに選択が「二種類」だと安い方が多く注文され、「四種類以上」だと、面倒で頼まない。という流れになると言われているのでご参考に。
◆「セットメニュー」3つの注意点
「セットメニュー」を作り、ゆくゆくは定番商品として考えている場合は、次の3つに注意してください。
それは、①飽きない工夫 ②原価チェック ③調理時間です。
①は、お客様も料理人も「飽きていないか?」ということです。注文数が減ってきたなら定番セットメニューをリニューアルする。作る時にモチベーションが下がるようなら、思い切って「唐揚げ定食は毎週月曜日だけ」などに変更するのもアリです。
②は、「セットメニュー」が定番メニューになり、注文も増えてきたら半年に一度くらいは原価を一から計算してみましょう。日々のルーティーンで買い物などをしていると案外ささやかな値上げには気付きません。販売価格の見直しも含めて日頃から原価チェックするクセをつけましょう。
③は、一人で調理する場合、例えば「焼きそばとミニオムレツのセット」より「焼きそばとミニサラダのセット」を正式メニューに推薦します。理由は後者の方が提供スピードが速いからです。一人で調理することを考えると前者は鉄板料理が二つですが、後者のサラダはあらかじめ小鉢に盛り付けして冷蔵庫で保存可能です。焼きそばの盛り付けができたらすぐに冷蔵庫から取り出してドレッシングをかけるだけで完成します。
「セットメニュー」は見た目や栄養のバランスも大事ですが、新規性・売価と利益・調理時間や提供スピードも考慮して内容を決めましょう。
おすすめやメニュー販売のタイミングとコツの詳細は、過去の投稿をご覧ください。
飲食店の客単価アップ術 24~ワンオペでも簡単にできる仕掛け~①注文前から始める戦略
まとめ
ワンオペ・小規模飲食店では、「売る商品を絞り、売れる流れを作ること」が安定経営のカギとなります。
その中でも、「セットメニュー」は効率・売上・満足のすべてを底上げする重要な仕掛けです。
お客様の迷いを減らし喜んでもらえて自分も楽になる。良いことずくめの「セットメニュー」。
いろんな組み合わせに挑戦して、メニューに定着させていきましょう。
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