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一人社長も社会保険への加入は必要?必要な手続きや書類を紹介

一人社長も社会保険への加入は必要?必要な手続きや書類を紹介

起業する際、従業員を雇わず一人社長として法人を設立する方は多くいます。一人社長で起業準備を進めるうえで、社会保険の加入が必要なのか疑問に思う方が多いのではないでしょうか。
実際、一人社長だったとしても社会保険の加入が義務付けられています。この記事では、一人社長が社会保険に加入する際の必要な手続きや書類について詳しく紹介します。さらに、未加入の場合のリスクや、金額の計算方法、いくら費用がかかるのかも解説します。これを読めば、社会保険に関する疑問を解消し、スムーズな手続きを進めるための知識が得られるでしょう。

一人社長も社会保険への加入は義務

一人社長として会社を設立する際、社会保険への加入が義務づけられています。社会保険は、健康保険や厚生年金保険などを含み、従業員を守るための制度です。しかし、従業員がいない一人社長の場合でも、役員報酬を受け取っている以上は加入する義務が発生するのです。また、社会保険への加入は、法的な義務であり、未加入の場合にはペナルティが課される可能性があります。一方で例外もあります。本記事では、以下の2点をご紹介します。

例外①個人事業主の場合

厳密に言うと「一人社長」は法人を設立した場合のみを指しますが、本記事では個人事業主の社会保険加入についても触れておきます。
社会保険は、企業勤めの正社員や条件を満たしたパート・アルバイトが加入する保険です。そのため法人ではなく個人事業主として事業を行う場合には、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務はありません。代わりに、国民健康保険などの公的医療保険と国民年金へ加入します。これは「国民皆保険制度」といって、日本ではすべての国民が公的医療保険に加入することが義務付けられているためです。
また、会社員であっても個人事業主であっても40歳以上は介護保険への加入が必要です。

例外②無報酬の場合

一人社長として役員報酬を設定しない場合、社会保険への加入ができないという点も重要です。役員報酬がない場合は給与所得が発生しないため、社会保険の適用対象外となります。
無報酬での運営は、初期の資金繰りを考慮した選択肢かもしれませんが、社会保険に加入しないことは税法的にも社会保険的にもリスクが大きい選択肢です。適切な判断を下し、健全に事業運営を行いましょう。

健康保険・厚生年金加入時に用意が必要な書類

健康保険と厚生年金に加入する際には、以下の3つの書類を提出します。

✅ 健康保険・厚生年金保険新規適用届
✅ 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
✅ 健康保険被扶養者(異動)届

提出先は管轄の年金事務所です。
書類の内容については以下で詳しく説明します。

必要な書類①健康保険・厚生年金保険新規適用届

健康保険・厚生年金保険新規適用届は、事業所が新たに社会保険に加入する際に提出する書類です。この書類を通じて、事業所が健康保険と厚生年金の適用を開始することを申請します。具体的には、事業所の名称や所在地、適用開始日などの情報を記載します。これにより、事業所が正式に社会保険の適用事業所として認められ、従業員の保険加入が可能になります。

必要な書類②健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届は、従業員が新たに健康保険や厚生年金に加入する際に必要な書類です。この書類には、従業員の氏名や生年月日、住所、賃金の金額などを記載します。これにより、従業員が正式に被保険者として認められ、保険の給付を受けることができます。
また、法人設立前に国民健康保険に加入していた場合は脱退手続きが必要です。社会保険の資格取得から14日以内に手続きを行う必要があるため注意しましょう。

必要な書類③健康保険被扶養者(異動)届

健康保険被扶養者(異動)届は、被保険者の扶養家族が増減した際に提出する書類です。具体的には、結婚や出産、離婚などで扶養家族の数が変わった場合に必要となります。この書類を提出することで、扶養家族が健康保険の被扶養者として認められ、医療費の一部負担が軽減されるなどのメリットを受けることができます。
扶養家族の異動があった場合は、速やかに手続きを行うことが重要です。手続きを怠ると、医療費の計算が適切に行われず、いくらかの負担が増える可能性があります。特に、扶養家族の加入や脱退が生じた際は、忘れずに異動届を提出してください。

雇用保険加入時に用意が必要な書類

雇用保険に加入する際には、以下の2つの書類を提出します。

✅ 雇用保険適用事務所設置届
✅ 雇用保険被保険者資格取得届

提出先は管轄のハローワークです。
書類の内容については以下で詳しく説明します。

必要な書類①雇用保険適用事務所設置届

雇用保険適用事務所設置届は、事業所が雇用保険の適用事務所として登録されるために必要な書類です。この書類を提出することで、事業所が正式に雇用保険の対象となることが確認されます。設置から10日以内に提出しましょう。この書類を用意する際には、事業所の所在地や事業内容、労働者の人数などを記載する必要があります。計算された保険料の金額も関係するため、正確な情報を記入することが重要です。手続きは所轄の公共職業安定所で行われ、必要な書類を揃えて提出することで、事業所の雇用保険適用がスタートします。

必要な書類②雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格取得届は、従業員が雇用保険に加入するための書類です。新たに雇用された従業員がいる場合、雇用開始から10日以内にこの届出を行う必要があります。これにより、従業員が雇用保険の被保険者として正式に登録され、万が一の失業時に備えることができます。
この書類には、従業員の氏名や生年月日、雇用開始日などの基本情報を記載します。また、給与の金額も記入する項目があり、これに基づいて保険料が計算されます。手続きは雇用保険の適用事務所で行われ、必要な書類を揃えて提出することで、従業員の雇用保険加入が完了します。

労災保険加入時に用意が必要な書類

労災保険に加入する際には、以下の2つの書類を提出します。

✅ 保険関係成立届
✅ 労働保険概算保険料申告書

提出先は管轄の労働基準監督署です。
書類の内容については以下で詳しく説明します。

必要な書類①保険関係成立届

保険関係成立届は、労災保険に加入する際に最初に提出する重要な書類です。この書類は、事業所が労災保険の対象となることを申告し、保険関係を正式に成立させるために必要です。具体的には、事業所の名称、所在地、事業の種類、労働者数などの基本情報を記入します。
この届出は、事業を開始した日から10日以内に提出することが求められます。提出が遅れると、未加入とみなされ、事故が発生した際に大きな不利益を被る可能性がありますので、注意が必要です。書類の記載内容に不備があると、手続きが遅れることがありますので、正確に記入しましょう。

必要な書類②労働保険概算保険料申告書

労働保険概算保険料申告書は、労災保険の保険料を計算し、申告するための書類です。この書類は、事業主が1年間に支払う予定の保険料を概算で申告し、その金額を納付する基準となります。申告する際には、従業員の賃金総額を基に保険料を計算します。
この書類は、事業開始後、通常は保険関係成立届と同時に提出します。特に、計算には細心の注意が必要で、誤った金額を申告すると後で追加の手続きが必要になることもあります。いくら支払うべきかを正確に把握するために、過去の賃金台帳や給与明細を参考にすることが推奨されます。未加入や誤った申告は法的なペナルティにつながる場合があるため、慎重に取り組むことが求められます。

社会保険に加入しない場合のペナルティ

一人社長であっても、社会保険への加入は法律で義務付けられています。もし未加入の場合、いくつかのペナルティが発生します。
まず、未加入が発覚した場合、過去に遡って保険料を支払う義務が生じます。これには、遅延損害金が加算されることがあり、金額が大きくなる可能性があります。また、未加入期間が長いと、将来的な年金受給額に影響を及ぼすこともあります。
さらに、社会保険に未加入であることが指摘されると、行政からの指導や勧告を受けることがあります。これに従わない場合、最悪の場合には罰金が科されることもあります。
こうしたペナルティを避けるためには、早期に適切な手続きを行い、必要な書類を揃えて加入することが重要です。社会保険料の計算方法を理解し、いくら支払う必要があるのかを把握しておくことも大切です。これにより、経営の計画を立てやすくなります。

まとめ

一人社長が社会保険に加入することは、法律上の義務であり、事業を円滑に運営するためにも重要です。社会保険への加入は、健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険の各種手続きが必要で、適切な書類を準備することが求められます。これらの手続きを怠ると、未加入によるペナルティが発生する可能性がありますので、注意が必要です。
また、社会保険への加入によって、将来的な年金受給や医療費の軽減といったメリットを享受できます。手続きにはいくつかの書類が必要ですが、これらをしっかりと揃えることで、スムーズに進めることができます。具体的な金額や計算方法についても事前に確認し、いくらの負担が発生するかを把握しておきましょう。
一人社長としての社会保険加入は、事業の信頼性を高めるだけでなく、経営者自身の生活を守るためにも欠かせません。これを機に、必要な手続きを進めることをおすすめします。

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