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【小阪裕司コラム】第188回:小さな心配りが生む大きな売上とは

【小阪裕司コラム】第188回:小さな心配りが生む大きな売上とは

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

周辺住民や環境へも「心配り」

 前回、小さな心配りが顧客との良い関係を築き、結果的に堅調な業績を生んでいる例をお伝えした。今回も同様の例をご紹介しよう。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある住宅会社からのご報告だ。
 同社では、例えば顧客からトイレのリフォーム工事を請けた場合でも、他にドアの不具合や床の傷などを見つけたらすべて修理する。「頼まれなくてもやる」のだという。顧客宅を訪問する際はスリッパを持参し、カバンを置く際ハンカチを下に敷く。
 工事現場では、きれいに整理整頓されていることはもちろん、前面道路の清掃も徹底する。仮設トイレは下水道とつなげ水洗とし、匂いが少なく清潔な状態を維持する。やや専門的なことだが、現場には「畔クロス」という防草シートを一面に貼る。これにより、職人さんたちの靴も泥だらけにならず、車のタイヤの跡も道路につかないそうだ。このような現場対応は、施主である顧客はもとより、近隣住民にも大変好評なのだという。
 近隣住民と言えば、同社が徹底しているのは、工事前の挨拶回りだ。工事に関連することに加え、自己紹介文を添えて「どのような会社・人が工事を担当しているのか」がよくわかる挨拶状を作成し、近隣住民に直接会えるまで何度も挨拶に回る。工事が始まった後も、何か気になっていることはないかと、何回となく足を運び、それは工事後まで続く。ときに「何度も来るのは大変だろうから、もう大丈夫だよ」と言ってもらえるそうだが、近隣住民にとっては安心できることだろう。

業績に大きく貢献した「心配り」

 今列記したことは、同社社長から聞いた心配りの一部だが、いずれも同社においては「ちょっとした気配りや工夫」であり、社員に「普段どんなことをやっているのか」を改めて尋ねたところ、挙がったことなのだという。
 これらの心配りと工夫を直接見聞きしたとき、人はこの会社やそこで働く人たちにどんな印象を持つだろうか?もし、自分や知人の家にリフォームなどの必要が生じた場合、彼らはどういう行動に出るだろうか?事実、このような心配りが響いたのか、ある地域では工事後に、近隣住民からリフォーム工事など立て続けに数件の注文があり、トータルで数千万円の受注になったこともあるというが、大いにうなずける話である。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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