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食品衛生法の改正により、HACCP(ハサップ)導入が義務化されました。
すべての食品関連事業者に導入義務があるため、飲食店でも当然、導入が求められます。そこで今記事ではHACCPとはそもそも何か、導入にあたって何をすればいいのかなどHACCPの基本をご紹介します。目次
- HACCP(ハサップ)とは
- HACCPの義務化
- HACCPの導入目的
- HACCPを導入する4つのメリット
- 社員の衛生管理意識の向上
- 社外への衛生管理のアピール
- 食品汚染等の発生時に迅速に対応できる
- クレーム・食品事故の減少
- HACCPの対象となる事業者とは
- HACCP導入ですべきこととは
- 手順1:HACCPチームの編成
- 手順2:提供商品についてリスト化
- 手順3:提供商品がエンドユーザーに届くまでを書き出す
- 手順4:提供商品の作り方のリスト化
- 手順5:工程を現場で再確認
- 手順6(原則1):調理工程ごとの危険要因をリストアップ
- 手順7(原則2):厳重な管理が必要な工程をピックアップ
- 手順8(原則3):管理基準の制定
- 手順9(原則4):制定した管理基準が満たせているか常に確認
- 手順10(原則5):改善方法を設定
- 手順11(原則6):定期的なチェック
- 手順12(原則7):管理状況の記録
- HACCPにかかる導入コストはどれくらい?
- HACCPの義務化までのスケジュールとは
- HACCPの導入方法がよくわからない時の対処法
- HACCP導入は食品関係者の義務。早急に導入しよう
HACCP(ハサップ)とは
HACCP(ハサップ)とはHazard Analysis(危険分析)とCritical Control Point(重要管理点)を組み合わせた言葉で、『食品製造の安全性確保の管理手法』のことを指します。
HACCPを簡単に言うと、食品関連事業者が食中毒菌汚染や異物混入などの危険要因を減らすために、工程の管理や安全性の確認を行う衛生管理手法のことです。HACCPの義務化
HACCPは食品衛生法の改正に伴って義務化され、飲食店を含むすべての食品関連事業者に導入義務が課せられています。
HACCPをきちんと導入しているかの確認は書類の提出、および定期的な視察により確認する予定になっています。猶予期間を経た2021年6月までにHACCPを導入していないと、食品衛生法違反に該当します。食品衛生法に違反した場合、最大で3年以下の懲役、または300万円以下(法人の場合、1億円以下)の罰金が課せられます。
ただし、「HACCP導入義務に違反した場合各都道府県知事に委ねる」といった条文があるため、罰則規定は各都道府県によって判断が異なる可能性があります。HACCPの導入目的
年々、消費者の食品に対する安全・安心への意識が高まっています。HACCPによる衛生管理を行うことで、食品汚染や異物混入などの危険要因を予め把握し、回避する対策を設け、実行記録を残します。こうすることで食品汚染等が発生した場合にどの工程で汚染が生じたかを迅速に明確化するなどして食の安全性を担保することを目的としています。
今までも食品の衛生管理をする方法はありましたが、一部の業種だけが対象であったり、抜き取り検査であるために検査に漏れが生じたりするなどのリスクがありました。HACCPの導入により、全食品関連事業者が食に関わる全行程を管理・監視することになるので、衛生管理の精度が高くなり、より安全に食品を消費者に届けられるのです。HACCPを導入する4つのメリット
HACCP導入は食品関連事業者の義務ですが、HACCPを導入するとどんな良いことがあるのでしょうか。HACCP導入のメリットはおもに次の4つが挙げられます。
社員の衛生管理意識の向上
工程管理作業や社員の衛生管理記録を取るため、自然と社員の衛生管理意識が高まります。ただし、厳格な衛生管理が必要となり、そのためには社員の教育マニュアルを作成するなどの対応が重要と言えるでしょう。
社外への衛生管理のアピール
調理工程の管理を記録するので、商品の安全性を社外に証明できるようになります。食の安全が問われる現代で、HACCPを導入することで、販路の維持・拡大につながる可能性があります。逆にHACCPの導入義務が課せられる中で、「十分な衛生管理ができていない」と企業イメージを損なうことになります。
食品汚染等の発生時に迅速に対応できる
もし万が一に食品汚染等のトラブルが発生した場合、工程管理記録からどこで食品汚染が発生したかをすぐに突き止められるので、早めの対策が取れます。迅速に対応することで、結果として企業イメージの低下を最小限に抑え込むことに繋がります。
クレーム・食品事故の減少
全行程をしっかり管理することで不良品を減らせるので、ロスが減り、コスト削減に繋がります。同時に品質安定に繋がり、企業イメージアップにもなります。
HACCPの対象となる事業者とは
HACCPは、食品の製造、加工、調理、販売等を行う全ての食品等事業者が導入義務の対象となっています。そのため、大手メーカーから個人で営むレストランや居酒屋まで全てが対象です。
また、HACCPには「HACCPに基づく衛生管理/基準A」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理/基準B」があります。どちらの基準を満たす必要があるかは事業の規模等により異なります。基本的には「HACCPに基づく衛生管理/基準A」に従って全行程を管理・監視する必要があります。
ただし、HACCP導入のハードルが高い「小規模事業者」、「当該店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者」、「提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種」、「一般衛生管理の管理で対応が可能な業種」においては、より導入ハードルが低い「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理/基準B」が適応されます。HACCP導入ですべきこととは
HACCPを導入するにあたっては「7原則12手順」のガイドラインに従って全行程を監視・管理することになります。「7原則12手順」は以下の流れで、事業者自らが衛生管理を含む計画を策定することになります。
手順1:HACCPチームの編成
提供商品に関するすべての情報が集まるよう各部門の担当者が参加するチームを結成します。それが難しければ、外部機関に相談、参加を募るのも一つの手です。
手順2:提供商品についてリスト化
使用する原材料や添加物、調理法の特性、または賞味期限や保存方法など、提供する商品についてのあらゆる事項を書き出します。こうして提供商品に関する事柄をリスト化していきます。
手順3:提供商品がエンドユーザーに届くまでを書き出す
提供商品の調理法を書き出します。「加熱するのか?」「生で提供するものなのか?」など、どのようにしてお客様のもとに届くかを可視化していきます。
またそれに加え「高齢者に向けたもの」「乳幼児に向けたもの」など、どんな人が食べるのかについても明確化していきます。手順4:提供商品の作り方のリスト化
原材料の受け入れから保管、加工、調理、提供まで一連の流れを書き出していきます。また加工や調理については温度や時間などを記載しより具体化していくのがコツです。
こちらの手順も工程ごとにリスト化し、わかりやすくしていきます。手順5:工程を現場で再確認
手順4で作った工程表を現場で確認し、相違点がないかをチェックしていきます。「加熱時間が短い」、「手順が抜けている」など現場に落とし込んでみた結果をしっかり確認するのが大切です。
手順6(原則1):調理工程ごとの危険要因をリストアップ
調理する上で特に重要な項目が、危険要因です。その工程が適切でなければ、健康に悪影響を及ぼすと考えられるポイントを重点的にリストアップします。危険要因の一覧を作ることで、リスクを過不足なく把握することができます。
手順7(原則2):厳重な管理が必要な工程をピックアップ
調理工程の中でも、健康被害を防止する上で特に管理が必要なポイントを洗い出しましょう。例えば冷蔵で管理しなければいけないものや、加熱処理が必要なものなどが当てはまります。
手順8(原則3):管理基準の制定
手順7で見つかった重要なポイントを遵守するために必要な基準を定めましょう。数値での基準が一般的ですが、色や形状などを基準にするのでも構いません。
手順9(原則4):制定した管理基準が満たせているか常に確認
手順8で決めた基準が常に満たされているかを定期的に確認しましょう。そのために必要な指標や行動を設定していきます。
手順10(原則5):改善方法を設定
現場で問題が発生してしまった場合の改善案を事前に考えておきます。それに加え、実際に改善したポイントも記載し、この項目を充実させていきましょう。
記録を見返し改善をしていくことで、結果的にクレーム減少へとつながります。手順11(原則6):定期的なチェック
ここまでの全ての工程がしっかりと機能しているかをチェックし、見直していきます。日頃の作業で実践されず、工程表と差異が生まれてしまっていたら、再度見直しを行っていきます。
手順12(原則7):管理状況の記録
最後に、ここまでの全ての工程に関する管理状況を記録に残しておきます。これがHACCPの実施証拠になります。
また何かトラブルが起きた場合には、この管理記録を使用し原因究明にあたります。HACCPにかかる導入コストはどれくらい?
HACCPは認証・認定を行うような制度ではありません。制度導入の対象になっている食品関連事業者が自主的に取り組むものとなっています。そのため、HACCP導入による新設備購入や外部から専門家を招くなどをする必要はありません。衛生管理に必要な備品や、また各工程の管理記録を残すための記録媒体などを新たに購入する事は考えられますが、導入コストはさほどかからないでしょう。
また、HACCPの7原則12手順に則した衛生管理が難しい小規模事業者等は、簡略化された「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理/基準B」が適応されるため、負担は少なくなります。
ただし、より厳格に衛生管理を行いたい、人手が足りず外部機関にHACCP導入のコンサルを依頼したいというのであれば、HACCP導入をサポートしている外部コンサル会社へのコンサル料が発生し、導入コストが高額になる場合があります。HACCPの義務化までのスケジュールとは
2018年6月に食品衛生法が改正され、HACCPの導入義務化が決まりました。
2020年6月に施行され、すでにHACCPの制度導入が必要です。しかし導入には準備が必要ということもあり、移行のために1年間の猶予期間が設けられています。そのため、飲食店を含む食品関連事業者はどんなに遅くとも2021年6月までにはHACCPを導入しておくことが求められます。
HACCP導入に伴う準備や人員の配置換えなどに時間がかかる場合があるので、できるだけ早めくHACCPの導入を行うことをおすすすめします。HACCPの導入方法がよくわからない時の対処法
厚生労働省がHACCP導入の手引書やモデルプランの作成を行っており、参考にできます。また、業界団体等が個別に食品・業態ごとに手引書を作成してホームページ等に掲載している場合があります。HACCPについてよくわからない方はそちらを参考にして導入を進めるとよりスムーズにいくかもしれません。
加えて、地方自治体が食品衛生監視員による導入支援、指導・助言を行っている場合があります。一度、お店を構える地方自治体に問い合わせをしてみるのもよいでしょう。
小規模事業者など、そもそもHACCPを導入する人手や時間がないという場合は外部コンサルタント等に依頼する方法もあります。HACCP導入は食品関係者の義務。早急に導入しよう
食品衛生法の改正により、飲食店を含む全食品関連事業者にHACCPの導入義務が課せられました。HACCPにて厳格に衛生管理を行うことで食品汚染などの危険を取り除くことができ、もし食品汚染が発生した場合も、原因究明が容易になります。
HACCPはそれぞれの事業者が自主的に取り組むものですが、導入は義務です。
違反をすると罰則になる可能性だけでなく、食の安全が確保できないがために取引先に取引を打ち切られることもあり得ます。HACCPを導入するのには時間がかかることもあるので、今のうちにしっかりと手はずを整えておきましょう。【イタリアンレストラン】の開業方法はこちら≫「イタリアンレストランを開業するには?開業資金や準備、繁盛するための対策とは?」
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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