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【第2回】いい内装業者ならやっている物件のチェックポイント

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「お店を開く」という夢を思い描いたときから、どんな内装にしようかと考えを巡らせている方も多いことでしょう。せっかく自分のお店を構えるのだから自分自身が満足できて、お客様にも愛されるようなこだわりのインテリアにしたいですよね。そこで大事になってくるのがパートナーでもある内装業者。「こんなはずじゃなかった……」と後悔しないための物件探しのコツや内装業者との上手な付き合い方など、内装にまつわるいろはを5回にわたってお届けします。教えてくださるのはこれまでたくさんの店舗の内装を手がけてきたその道のプロ、内装に関するセミナーも数多く行う小林佐理さんです。

今回は、物件を見極める際のポイントについて。借りたいと思う物件が見つかっても、希望の内装を施すには適さない物件もあるのです。契約を決める前にチェックすべき点や避けておきたい物件について、プロの視点から解説します。

契約前にチェックすることその1「工事区分表」

小林:不動産仲介業者から紹介される良い案件は、今すぐに入れるものはなかなかなく「3ヶ月後に解約の申し込みが入ったよ」といった感じで紹介されることが多いです。現在、飲食店を開店するときに人気がある物件は1階路面、地下1階、視認性が高い2階になりますので、その立地だと基本的には空いてないことがほとんどで、空く予定が解約の申込みが入ってからとなり、希望条件を伝えておいて予約しておくことで、だいたい3ヶ月前にその情報が物件を探している人のところに届くわけです。当然その時点で内見をしたい、という話になるのですが、もしそこで気に入ったとしても焦ってすぐに物件に飛びついてはいけません。その際にもチェックすべきポイントが実はいくつかあるんです。これは多くの内装業者がよくチェックするポイントですが、これを事前に知っておくとその後の内装工事がスムーズに進むのでお話します。店舗物件を探している方のほとんどが、「ここが空きますよ」と言われると「わぁすごい!こんないい場所だったら絶対儲かる!あんまり内装もいじらなくてよさそうね」なんてことを考えがちですが、まずは決める前に、その物件が入ったビル自体の約束事を確認しましょう。ビルには必ず「工事区分表」といったものが存在していて、その内容によって借り手側が選んだ内装業者がそのテナントの工事ができないのかどうかがわかります。ビルによっては施主が希望する内装業者で工事できないところもあるんです。これが明記されているのが「工事区分表」になります。詳しく言うと、ビルはA工事、B工事、C工事というふうに工事区分が分かれており、A工事はビルオーナー自身がお金を払い指定業者に工事を発注するもの、B工事はビルオーナー指定業者に借り手側が費用負担して工事するもの、C工事は借り手側が選定した業者で借り手側が費用負担するもの、いわゆる自分が探した(指定した)内装業者で工事するのはこのC工事区分の中で行います。分かりづらいのがB工事という考え方でしょう。例えばスプリンクラーなどの防災設備工事は、工事をする際にビル全体の水道を止めて、配管のつなぎこみをします。そのためビル全体の配管経路などを理解している工事業者が実施しないと非常にリスクを伴うものとなります。ただ、その工事起因は借り手側にあるので借り手側が費用負担するというのがB工事という区分の考え方です。ビルによっては内装工事の多くをB工事でしか行えない、もしくはC工事不可というところもあります。だから物件を契約する前にC工事が可能かどうか?を確認しておく必要があるわけです。

物件契約前にチェックすることその2「レギュレーション」

まず物件契約前に確認しておきたい「工事区分表」についてお話しましたが、もうひとつ確認すべきは「レギュレーション」です。これは工事時間帯やルールについて書かれたものです。例えば「昼間は工事禁止で夜間工事のみ」「警備員をつける」「ゴミ捨ては夜6時以降」「エレベーターの使用は朝8時まで」というような工事中の条件です。夜間工事しかできないビルの場合、材料搬入出の工事単価を1.4倍程度は通常上げなければなりません。そうすると自分が想定していた1.5倍から2倍の費用になって見積もりが上がってくるというケースもあります。仮に内装工事費を500万円で想定していたとしても、ビル側の制限を守るための支払いが増えて350万円分の価値の内装工事しかできないということになりかねません。いい内装業者に依頼することももちろん大切なんですが、その前にまず物件の目星がついたときにその条件設定はどうなっているのかをきちんと確認しないと、内装業者選び自体が無駄になりかねません。とは言え、そういう工事関係の決まりごとは内装業者でなければ理解しづらい難しい内容が書かれている部分もあるので、物件契約の前から内装業者に声をかけ、確認してもらうことが大切です。そうすれば内装業者は施主と一緒に現地調査に行って「ここの工事区分表をください」「レギュレーションはどうなってますか?」と不動産仲介業者に聞くわけです。さらに設備関係の図面を見せてもらい「軽飲食ならこのダクトパイプ(通風用の管)の太さで大丈夫ですね」とか「空調がちょっと弱ってるけど、追加するときの室外機はどこに置けるんですか?屋上ですか?」というような内装工事の専門家として質問をします。ちなみにエアコンの室外機を屋上に置く場合だと、ダクトの経路が長くなるのでそのぶん費用がかさむ場合もあります。いい内装業者とは、そういったところも物件契約前に親切に見てくれ、アドバイスをしてくれる業者だと思います。施主の方から「内装費用は500万円で」と言われたときに、しっかりした裏付けがあった上で「その予算だったら対応できます」とか「その予算でこの物件だとちょっと難しいです」といった話もできます。どんなによい物件だったとしても、内装費用が倍になってしまうと施主にとっては大きなダメージになりますし、場合によっては開業が実現不可能になりますから、入りたい物件が見つかった時点でその部分をしっかりと見極める必要があるんです。でもこちらから言わなければ不動産仲介業者はそういった工事に関する資料は提供してくれないですし、借り手側から出してほしいと言われたら出すケースが多いので、契約後に「この工事はB工事区分なので借り手側の業者ではできません」ということが後からわかって揉めるパターンがとても多いのです。そういうことを避けるためにも、物件を契約する前に内装業者と一緒に物件を調査することをオススメします。その際に、今言ったようなアドバイスをしてくれる内装業者は信用できると思いますし、また、新規出店される方々には内装業者のことを"儲かる店舗を作るためのパートナー"として見てほしいのです。ですから私自身も、新規出店されるから「絶対にこの物件でいきたい」と言われたとしても、いい物件だと思えなければ「この物件はやめた方がいいです。どうしてもとおっしゃるなら私は担当したくないです」と言います。10年ほどこの仕事をやって、つぶれてしまった店舗をたくさん見ているのでそういう店舗は作りたくないのです。しっかり考えて選んだ物件できちんと成功できるように一緒に考えていきたいと思っています。無理して高い家賃の物件に入ったり、内装費が想定よりかさんでしまったりすると、開店後に引きずるダメージがすごく大きくなるのは目に見えているので、そこら辺は注意して物件選びをしていただきたいですね。

■プロフィール

小林佐理
オーナー目線で予算的に無理をしない物件探しや、内装工事に対するアドバイスを得意とする内装プロデューサー。

■プロフィール

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