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飲食店を始めるときに考えなければならない重要なポイントのひとつに「従業員」が挙げられます。
自分や家族だけでお店を回せればいいのですが、多くはアルバイトを含め、授業員を雇わなければならないケースの方が多いのではないでしょうか。
では、その飲食店がもし潰れてしまったら、従業員はどうなってしまうのでしょうか?
コロナ禍において苦しい経営を強いられている店舗にとってはつらいことですが、解雇のルールを理解して
おくことはとても必要なことでもあるでしょう。目次
廃業が多い飲食店。従業員はどのように解雇されるのか?
飲食店の廃業率は非常に高い業種と言われています。
開店して2年以内に潰れる店は半数以上、3年で7割が消えるという数字もありますから、開業する人は誰もが決して人ごとではありません。
コロナ禍において、さらに厳しい経営を強いられている人も増えていくでしょう。
もしお店が潰れてしまったら、大きなチェーン店の場合、別の店舗で雇うというような策を取ります。
ですが、個人経営ではなかなかそうはいきません。
つまり、必然的に辞めてもらう方向になってしまうのです。
しかし、店が続けられないからといって、従業員に「明日から来なくていいよ」とは言えません。
やむなく解雇を選択する場合、どのようなステップを踏むのでしょうか。閉店による解雇は何解雇?
まず、従業員の解雇には、大きく分けて「懲戒解雇」と「整理(普通)解雇」のふたつのタイプがあります。
「懲戒解雇」は、就業規則に定められている懲戒解雇の理由に当てはまるようなことが起きたとき、従業員が店の信頼や利益を著しく損ねる行動をとった場合に適応され、経営者から雇用契約の解除をすることを言います。
完全に従業員の責任で、「秩序罰」という意味があります。
一方、閉店によって従業員やアルバイトに辞めてもらうことを、「整理(普通)解雇」と言います。
従業員が「本来の労務提供をできない状態」、あるいは、経営者が「労務の提供を受領できない状態」にあるとき、つまり、働く場、働いてもらう場であるお店が潰れたきに、経営者から雇用契約の解除をすることを指します。閉店による解雇が認められるための4つの条件
労働契約法の第16条には、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とあります。
これはきちんとした理由がないと、経営者は従業員を解雇することができないということ。
無理やり辞めさせようとすると「不当解雇」になってしまいます。
解雇が認められる条件とは何か、見ていきましょう。人員削減の必要性
解雇をするには、まずは従業員の労働力がいらなくなることが大前提。また、経営の悪化で、これ以上お給料が支払えなくなるということも、当然条件に入ってきます。その点、閉店や廃業は、従業員が働く場所、経営者が利益を上げる場所がなくなるので、十分に人員削減をする理由として認められます。
閉店させない努力をしたのか
経営者の責任としては、できるだけ従業員を解雇しなくて済むように努力しなければなりません。経営者の利益ばかり重視していないか? 従業員の給料は? ほかに選択肢はないのか? そういった点をきちんと従業員に説明、話し合いましょう。閉店しなくても良い状態で解雇するなら不当解雇となり、訴えられる可能性もあります。
人選の妥当性
閉店となる場合は、従業員がすべて解雇の対象となるのは仕方のないこと。妥当性があると判断されるでしょう。もし、ランチ営業をなくすなどして少しずつ人数を減らしたり、一部、事業を継続させるために従業員を残したりするのなら、勤務期間の長さや仕事の能力といった正当な理由をしっかり説明しましょう。「アルバイトだから」のような、立場の弱さを突くようなことは認められません。
素早い手続き
経営者としては、従業員が解雇によって困らないようにする義務があります。
時間的なことや金銭的なことを、早い段階からしっかり説明し、協議を行うことも、解雇が認められる条件のひとつです。
確かに、従業員の立場で考えてみれば、いきなり収入がなくなってしまうのは困りものですよね。
ですので、閉店が決まったらすぐにすべての従業員に伝え、次の仕事やアルバイト先を見つける時間を与えるようにしましょう。
また、店が潰潰れるような状況であれば、すでにさまざまな支払いが滞っている可能性もありますが、トラブルを防ぐためにも、先に従業員の給料を払っておくことをお勧めします。
就業規則には必ず「退職に関する事項」を明記
もちろん、店を潰すつもりで開業する人はいないとは思いますが、やむを得ない事情によって従業員を解雇せざるを得ない状況になることは十分に考えられます。
ここで怖いのは、「無理やりやめさせられた。不当解雇だ!」と言われて、従業員から訴訟を起こされてしまうこと。
ただでさお金がないときに裁判沙汰になったり、損害賠償など請求されたりしたくはないですよね。
そこで、まずは雇用をするに当たって、就業規則や雇用契約書に、「閉店、廃業、倒産した場合は整理解雇となること」「通知は何日前までにするので、全ての従業員はそれに従うこと」というような内容をしっかりと明記しておきます。
さまざまなケースを想定して、網羅的に記載しておきましょう。
その際は、従業員に署名と捺印をしてもらうのを忘れずに。
将来、解雇でトラブルが起きたとしても、こうした契約書が整っていれば安心です。
「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」は、労基法第89条でも就業規則の必要記載事項となっています。
一斉に解雇を告げなければいけない場合は、説明する場を設けることが大切ですが、シフト制などそれらが難しい場合は、解雇予告通知書で解雇の旨を伝える方法もあります。
その場合は、書面に解雇理由や時期などを明記して理解をきちんと得られるようにしましょう。働く側は、途中で辞めてはNO! 最後まで残るべき理由
あなたがもしも従業員なら、自分のお店が潰れると聞いてどうしますか?
「閉店になるのなら、その先がないし、お給料が出なくなってからじゃ遅いから、さっさと次に行っちゃおう」と考える人が多いかもしれません。
また、従業員が少なくなってしまうと、1人当たりの仕事量が増えて大変になってしまう可能性もあるので、残された方が損をするような気になってしまうかもしれません。
でも、ここに落とし穴があります。
「失業保険」です。
一定の勤務時間や勤務日数の条件をクリアしていれば、アルバイトでもちゃんと失業保険がもらえること、知っていましたか?
一時の勢いや気の迷いで自ら店を辞めてしまうと、何ら特をすることはないのです。
ここでポイントになってくるのが、離職の理由が何か?ということ。
実は「懲戒解雇」や自分から辞める「自己都合扱い」にされてしまうと、手当をもらうまでに3ヵ月以上もの待機期間が発生してしまうのです。
一方、経営者の都合による「整理解雇」とすることができれば、申請からわずか1週間後にすぐ手当がもらえるので、次の仕事が見つかるまでの当面の生活費を確保することができるのです。
また、勤務日数条件や給付金額にも離職理由で大きな差ができてきます。
自己都合扱いなら勤務日数1年~10年で手当ては90日分、10年~20年なら120日、20年以上は150日となっています。
一方、経営者都合の整理解雇の場合は、1年未満で手当てが90日、1年~5年で90日~180日、5年~10年で120日~240日、10年~20年で180日~270日、20年以上で240日~330日です。アルバイトなら1年未満というケースも多いのではないでしょうか?
もしも、自己都合で辞めるように説得をされたり、不要なプレッシャーをかけられたりしても、決して受け入れないことが肝心です。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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