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独立・起業しようと考えたときに、飲食業界を選ぶ人は少なくありません。
独立することの利点のひとつとして、儲けた分に応じて自分の所得を決めることができる、つまり、雇われているより多い所得を得られる可能性があります。
そう考えたとき、飲食業界は、他の業界と比べて儲かる業界なのでしょうか。
成功して高収入を得られる業界なのかどうか、その実態を見ていきます。
そもそも、なぜ、独立・起業の業界として飲食業界が選ばれやすいのでしょうか?
飲み食いは日常生活に欠かせないもので、誰しも一度は自分で料理をしたり、お茶を入れたりしたことがありますよね。
また、外食を通じて飲食店は身近な存在であるため、「もっと〇〇をしたら・〇〇があったら、いいのに…」など、経営の経験がなくてもビジネスモデルが膨らませやすいと言えます。
そのため、独立・起業しようと考えたときに、飲食業界の敷居が低く感じる人が多いようです。あたり前だが、飲食業界で成功するのは簡単じゃない
シンプルで手を出しやすい飲食業界ではあるものの、実は開業して2年で約5割、3年で約7割以上の店がつぶれると言われるほど、現実はシビア。
どの業界でも新規参入が厳しいのは当たり前ですが、飲食業界での失敗の原因はどんなことが多いのでしょうか。おいしいだけではダメ
飲食店である限りは、お客様はおいしい食事に期待します。しかし、お客様が外食したいと思うのは、おいしいものを食べたいからという理由だけではありません。「ゆったりとした音楽が流れる時間を楽しみたい」「カラフルな盛り付けをインスタグラムに投稿したい」など、目や耳で感じる要素も来店動機につながります。
実際にあった失敗の話し、本場のカレー店を開きたいと考え、味を研究しつくした末に、ほかには負けないと自負し鳴り物入りで開業したオーナーがいました。失敗した原因はその他のウリも考えていなかったからです。お金を取るならおいしいのは当たり前。飲食業界でも、ビジネスプランをきちんと構築しなければ勝ち残れません。リスク回避策を考えていない
飲食業界にかかわらず、独立・起業してはじめから上手くいくことなど、ほとんどありません。しかし、予期せぬ出来事に対応できず、半年もしないうちに廃業してしまったという経営者は多いのです。事前に売上のシミュレーションをすることは必須ですが、すべてが思った通りになるとは限りません。いくら計算しても、やはり実際はやってみなければわからないというのが実情。ビジネススクールやセミナーに通う人のなかには、頭でっかちになりすぎて、軌道修正がなかなかできない人が多いと言います。A案がだめだったらB案、さらにはC案と、最低でも3年程度はお店を継続できるような代案で臨機応変に動くこと、また、それを実行するための余裕のある資金が必要と言えるでしょう。
海外で流行っているものでもブレイクするとは限らない
流行りものや新しいものに敏感な日本人。自分が海外へ旅行に行った際に出会い、そのおいしさに感動して日本に紹介しようと考える人も少なくありません。その味を研究し完成したところで開業、当初はうまくいくかもしれませんが、流行りものや新しいものはそれを定番化させる必要があります。世界各国の料理が食べられる東京で、新しいメニューを定着させるのはなかなか難しいものです。飲食業界のなかでここ数年がんばっているのは、「パンケーキ」といったところでしょうか。ハイソな女性をターゲットにした「ちょっと贅沢なホテルの朝食」から、女子高生を狙った「インスタ映えするデコレーション」まで、少しずつPRポイントを変えてブームの波を捉える店舗が現れたことが、流行の継続、つまり定番化につながったのかもしれません。
売れる商品より売る能力
他店との差別化ということで、「商品開発力」は飲食業界で成功する重要なポイントです。しかし、それだけではうまくいきません。必要なのはもうひとつ、「商売力」です。かつてハワイのロコモコをロール巻にして提供するというファスト・フード店がありました。料理に対するアイデアでは抜群でしたが、接客やサービスはいまいち。珍しさが手伝って店は繁盛しましたが、約半年後には閉店に追い込まれてしまったと言います。特に、お客様と接することの多い小規模店では、店主のキャラクターもリピート率を左右します。自らチラシを配ってでも売りたい、お客様ひとりひとりとのコミュニケーションを大事にしたいなど、相当な積極性や細やかな対応がないと、熱意が伝わらず、店は長続きしません。
飲食店には売上の限界がある
始めるよりも続ける方が大変と言われている飲食業界。
通常の飲食店は席数が決まっているため、さばけるお客様の数には上限があります。
当然ですが試算した客単価は簡単に上がることはなく、つまり、どんなに頑張っても売上額には限界があるのです。
オーナーの利益は、売上の10%程度を想定するのが一般的。
しかし、お客様が思ったように入らず、人件費を浮かせるために自分がフロアに入っても、収入はサラリーマン時代の半分にも届かないということが多々あります。
つまり、開業前から回転率を意識した計画を立てなければならないのです。儲かる店にするにはどうすればいい?
誰しも「儲けたい」と考えていると思いますが、「儲かっている」と感じる度合は人によって違いがあります。
ここでは「全国平均給与並みにお金がもらえて、かつ貯蓄が可能な状態」を「儲かっている」と定義し、そうした店を実現するための手段を見ていきます。
あるデータによれば、会社員の平均年収(2017年)は418万円。多くの小規模飲食店は、こうした平均給与を下回っているのが実情ですが、もちろんそれ以上の所得がある経営者もいます。
この違いはどこで出てくるのでしょうか。商圏を熟知する
「商圏」とは、ある商業施設が影響を及ぼす地理的な範囲をさします。飲食業界においては、自分がやりたい業態の店が、商圏内でバッティングしないというがベスト。しかし、そもそもその地域に飲食店のニーズがない場合もあります。儲けている経営者は、客層や繁盛する時間帯といったデータの収集にたけ、見極めがうまいと言えるでしょう。また、出店する場合は、他店には提供できない独自の商品やサービスで差別化を図っています。
お客様に覚えてもらえる「何か」を持つ
他店との差別化が必要なのは先述の通りですが、儲かっている店は、そうしたウリをより具体的に明示しているという特徴があります。例えば飲食業界において「アジアン料理店」はここ数年人気ですが、さらに「パクチーをたっぷり使ったアジアン料理店」としたらどうでしょう。女性を中心にちょっとしたパクチー・ブームが起きているなか、このアプローチはうれしいもの。儲かっている店は、お客様に「行くならあの店」と覚えてもらえる打ち出し方をしているものなのです。
個人飲食店でも「経営」の視点を持つ
例えば、「コーヒーがおいしい」と言うカフェはたくさんありますが、「個室感覚の予約席がある」とうたうお店はそう多くはありません。「デートや打ち合わせのときはあの店」という意識を植え付けられればしめたもので、飲み物のクオリティは普通でも店は繁盛します。ところが、経営者自体が料理人である場合、どうしてもメニュー開発に力が入ってしまい、味にこだわるばかりに周りが見えてこないこともあります。飲食業界でトップに立つ人間は、宣伝、人材育成、戦略立案などにも時間をかける、現実的なバランス感覚をもっています。
数字を計画して追う
儲かっている飲食店ほど、現状にあぐらをかきません。「売上」や「原価」、「客数」や「利益」といった数字は毎月分析し、変動があればその原因を明確にして翌月以降の戦略に役立てています。例えば、ランチの客の流れに変化があった背景には、「常連のお客様が勤めている企業が移転していた」といった思わぬ要因があるかもしれません。分析ができていれば、それにいち早く気づくことができ、ビジネスマン向けのボリュームがウリのランチから、ライトメニューを充実させて女性層を取り込む方向にシフトするなど、リカバリーもスムーズ。売上不振になるまで気がつかない経営者は、当然、飲食業界では勝ち残れません。
関連記事 飲食店を独立して開業をするための準備 必要な能力や費用・成功のポイントを解説
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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