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【小阪裕司コラム】第109回:売上日本一達成の秘訣とは

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

会話がもたらした“日本一”の称号

 今回は、売上が日本一になったキッチンカーのお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある会社からのご報告だ。
 その会社は近年、キッチンカー事業を熱心に手掛けている。もっとも同社は、元々飲食業界ではなく衣料品業界。ゆえに、自社オリジナルでなく、他企業が開発したものを幾つかフランチャイズで活用している。今回の報告はそのうちの1件のことで、そのキッチンカーの売上が日本一になったというものだ。
 彼が実際に現場で起こった出来事を詳細に記しているので、まずはそれを引用させていただこう。そこにはこうある。
 「ある日、県内からお越しの70代とおぼしきあるお客様から『私は妻と2人暮らし。●●(商品名)を2個購入予定だったのに、あなたの毒舌漫談を聞いて、妻が10個購入してしまったよ』と言われました。すると隣の奥様が『自分が住んでいる町を一生懸命にPRしている姿に感動した。涙が出そうになった。それを観て、応援したくなったのよ』」。
 このシーンをこう想像してほしい。場所は高速道路のサービスエリアや道の駅のようなところ。そこに、数台のキッチンカーに交じり、1台のキッチンカーがある。そのキッチンカーではその場で気軽に食べられる1個数百円のものを販売している。店主はその前で、その場を行き交うお客さんに声をかけ、軽妙に会話する。その会話はときに、相手が県外から来た方だと分かると、冗談交じりに「市民県民税が減っているので、●●県、●●市に引っ越して来て~」などとなり、その場は笑いに包まれる。その後、お客さんは続々とその商品を何個も買って行く。想像できただろうか?

お客さんとの会話の先にあるもの

実は彼がキッチンカーを出店している場所は、そのような人が集まる場所ではあるが、日本一の売上になるほど人が多いわけではない。同じフランチャイズの加盟店が出店している他の場所には、圧倒的に多く集客する場所もある。ではなぜ彼が日本一なのか。それは先のシーンを思い浮かべていただくと分かるだろう。その直接的理由は一人が何個も買って行く客単価だ。ちなみに「売上日本一」は先日ついに出た記録だそうだが、客単価は通年で日本一になりそうだ、とのこと。そこであなたに問いかけたい。なぜこの店ではかくも客単価が高いのだろう?ここでお客さんが買っているものの本質は何だろうか?

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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