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全国・海外から約1500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
かつての事例を活用して生まれた新たな成功例
いつも本コラムをお読みいただいてありがとう。本コラムでは、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員が、実際にビジネス現場で実践した事例を私の解説付きでお届けする形式を重視している。その理由は何より現場事例とは面白く、学びが多いからだが、読者諸氏にその事例を活用いただきたいとの思いもある。そこで今日はこういうお話をしよう。
少し前に当コラムで、アルコールディスペンサーを鳥に見立てて飾り付け、さらには季節に合わせた衣装を着せ替えて、来店客らを楽しませている事例をお伝えした。来店客には毎回「可愛いー」と大うけ。ついには衣装とセットで販売するに至ったというものだ。
この事例を当会では、月刊の会報誌などで、実践者本人が書いた詳細なレポートと共に皆で共有した。するとほどなく他の会員から、この事例を真似て行われた様々な取り組みが寄せられるようになった。
そのひとつは、ある動物病院からのものだ。当院にも入り口の自動ドアの前に足踏み式のアルコールディスペンサーが置いてある。そこで院長は、先のアルコールディスペンサーの事例が書かれたこのコラムのPDF をプリントしてスタッフに渡し、「暇な時間にこういうの作ってみない?」と言ってみた。するとスタッフはすぐに動き出した。そして1時間ほどで、「できたので、見てください」と声がかかった。それを見て院長は驚いた。入り口の足踏み式のアルコールディスペンサーは、“マーライオン”になっていたのである。
マーライオンをご存じだろうか?シンガポールのマーライオン公園にある、顔がライオン、体が魚の巨大な像だ。マリーナベイを見渡すように立ち、口からは水が噴射され、噴水のようになっている。ここで想像していただきたい。足踏み式のアルコールディスペンサーの噴射部分がマーライオンになっている様子を。そこに「ペダルを足で踏んで、マーライオンに消毒してもらってね」の張り紙もあり、その後訪れた来院客からは笑顔がこぼれた。他社の成功例から学ぶ力、応用する力を付ける
事例とは、このように“活かす”ことが肝要だ。それによって、自社・自店でも同じ成果が得られるだけでなく、他社の成功例から学ぶ力、それを応用する力が付く。当会は異業種の集まりゆえ、必ずしも同じ業種の事例とは限らないが、実は業種や対象顧客が大きく異なっても、およその成功例は再現できる。ただその際には、重要なコツがある。この続きは次回に。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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