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《第13回》ワンオペでもOK!飲食店の客単価アップ術24-売りたい商品が売れるメニューブックを作ろう

《第13回》ワンオペでもOK!飲食店の客単価アップ術24-売りたい商品が売れるメニューブックを作ろう

愛嬌接客®専門家の木村氏による、飲食店向け接客コラム第13弾!

人手不足やコスト高により、ワンオペ経営の飲食店が増えてきている昨今。忙しい中でもちょっとした接客テクニックを取り入れることで、満足度の向上だけでなく客単価アップにもつなげることができます。
本コラムでは誰でもすぐに実践できるテクニックを全24回に分けて余すことなくご紹介!

第13回は、売りたい商品の注文がアップする「メニューブック」活用のすすめをお届け。モバイルオーダーやタブレットオーダーなど、端末を使った注文方式の導入が進んでいますが、手元で商品を選べるメニューブックはお客様の注文意欲アップに導くことができるツール。併用してテーブルに置いておくことがおすすめです。

今回は、売れるメニューブックをつくることができるテクニックを10点ご紹介します!

1店舗に1冊はメニューブックを作りましょう

今や、注文方式をモバイルオーダーやタブレットに切り替えている店舗様も多いかと思います。有料なうえ最初のセッティングに時間がかかるかもしれませんが、慣れると便利ですよね。売り上げの管理と連動している場合も多く、もう無しの運営は考えられない!というオーナー様が多いのではないでしょうか?
今後も進化し続けると思うので、このまま継続いただくと良いと思うのですが、今回は「お客様の心を動かす」という視点でプラスαのご提案です。
ズバリ、お店側が「売りたい商品が売れる」メニューブックを作りませんか?メニューブックのみのお店であればブラッシュアップに、端末オンリーのお店は画面レイアウト作成の参考になれば幸いです。

なぜ、この時代にメニューブックなのか?

私は飲食業界に35年携わっていますが、購買点数や客単価アップの秘訣は大きく2つだと思っています。それは「接客力」と「メニューの告知方法」です。中でも“手元で見られるメニューブック”は、お客様の購買点数や単価をアップできる可能性が広がります。
少し古い話になりますが、2012年に日本のマクドナルドで「商品の提供時間を早める方策」として、レジカウンターのメニューが撤去され、レジカウンターの背後上にあるメニューボードのみとなったことがありました。その直後から「見えにくい」「分かりづらい」といった苦情が相次ぎ、約一年後にレジカウンター上のメニューリストが復活しました。
私は日頃からマクドナルドをよく利用していて通常は同じものをオーダーするのですが、この期間中は「今の新商品は何かな?」と見つけるのに大変苦労しました。その結果、毎回「首が痛い…」と疲れ、探すのを諦めてしまうことが何度もありました。日本のマクドナルドの新商品の価格はレギュラー商品より高額の設定がほとんどですので、マクドナルド側に立ってみると、高単価の商品が売れるせっかくの機会を逃していたということになりますよね。

メニューブックは重大な販促ツール

話を現在に戻しますが、年末に差し掛かる今の時期のワンオペや少人数での接客・販売は時間をかけられないこともありますよね。でもこの繁忙期が一年で一番、購買点数や客単価アップが叶う期間です。メニューブックは、商品の魅力を自分の代わりに伝えてくれる営業さんです。メニュー名と価格のシンプルな羅列だけでなく、ワクワクする内容にしましょう。
今回のコラムは、読んでいただいた方が早急にメニューブックを作ったり改善したりと、貴店の売り上げアップに少しでも早く貢献できることを願って執筆しました。ぜひ最後まで目を通していただき、早めに取り組んでいただけると嬉しいです。

商品が売れるメニューブック10の基本

1. フォントサイズは客層に合わせる

40代以上がメインターゲットであれば、フォントを大きくする(サイズは18pt以上を推進)、黒など濃い色にする(薄いグレーなどは✕)、文字は太くする。この3つは抑えましょう。若い方が中心の店舗は、通常メニューを拡大コピーしたものを常備しておくだけでも構いません。

2. 商品画像の掲載は売りたい商品に絞る

商品の画像点数は、メニュー数全体の3分の1から半分以下くらいにしましょう。画像をつけるメニューは、看板商品や力を入れていて売りたい商品・原価が低いなど利益の大きい商品・見た目のインパクトがある商品・メニュー名では伝わりにくい商品などをチョイスするといいでしょう。

3. モバイルオーダーとの併用なら抜粋でOK

若い方が中心の客層で、端末でのオーダーがメインであれば、メニューブックには全商品を載せず「売りたい商品だけ抜粋したもの」でもかまいません。とにかく、紙のメニューブックがあることが顧客サービスにも繋がります。

4. 一枚タイプの形式がおすすめ

メニューブックの様式は大きく分けると、一枚(+裏面)タイプ・三つ折りタイプ・見開きタイプの3つになります。私の長年の体験ですが、ページ数が多いほど注文数が少ない傾向があるように思います。(理由は選びにくい・探しにくい・メニューブック内で比較しにくい等)
ですので、単価の安い商品が多いなら、一目で全メニューを見られる一枚タイプのメニューブックをおすすめします。

5. 優先順位は売れる構成>おしゃれな見た目

余白があってスッキリ見やすいレイアウト・ごちゃっとした宝物探しのようなレイアウト、また厚めの紙やコピー用紙など、どれが良い・悪いではありません。お店の客層や雰囲気に合わせましょう。ただし「売れる構成>おしゃれな見た目」は意識してください。

6. 一番売りたい商品には視線誘導を活かす

お客様がメニューブックを見る目線の動きは横書きなら「Z」、縦書きなら「N」が主流です。したがって共にⒶの場所に「一番売りたい商品」を配置します。大きく目立つように画像やイラストを添えて書きましょう。

6. 一番売りたい商品には視線誘導を活かす

7. カテゴリー分けは必須

メニューのカテゴリーを作りましょう。
ちなみにカテゴリーはコース料理風だと「前菜・サラダ・メイン・ごはん・デザート」、ジャンル別だと「前菜・小鉢物・揚げ物・焼き物・肉料理・魚料理・麺類・デザート」、などがあります。
なおメニュー数が少ない場合は「揚げ物・焼き物」を「ビールと相性バッチリ!」や、「肉料理・魚料理」を「メインディッシュ」などとカテゴリーをまとめると、見た目がスッキリし、カテゴリーの内容も適量になります。

8. 商品番号を付けてオーダーミス防止

客層や従業員が国籍問わず老若男女であれば、商品に番号を付けましょう。お客様も従業員も「商品名と番号」のダブルチェックで、かなりのオーダーミスが防げます。

9. ストーリーを添えると注文意欲がアップ

「売りたい商品」は、大きめのスペースを使って“ストーリー”を添えましょう。例えば「この唐揚げは、店長が20年かけて作り上げた秘伝のタレに二日間漬け込んだ逸品です」や「このサラダの野菜は○○おばあちゃんが園長を務める□□農園の新鮮な美味しい野菜で作っています」など、ただの商品名だけでなく、読んだお客様が注文したくなるようなエピソードや、商品以外の画像も付けましょう。

10. アットホーム感が◎!手書きのイラスト&文章

手書きの文章やイラストなども入れましょう。客単価にもよりますが、「アットホーム」「手作り」というキーワードが合う飲食店では「手作りのメニューブック」のほうがかえって喜ばれます。
ただイラストが得意であれば簡単かもしれませんが、そうでなければ、全体の8割をパソコンやスマホアプリなどで作り、残りの2割を手書きにすると良いでしょう。挑戦してみたいけど自信がない……という方は、カラフルなサインペンなどでカテゴリーの箇所に線を引いたり楕円形で囲うだけでも手作り感がアップします。また商品の画像はAIでイラスト風の画像に変えることもできます。この一工夫だけで黒色のみのメニューでも華やかさやワクワク感が出てきます。

まとめ

いかがでしたか?今回は「客単価がアップ」したり「購買点数が増える」ことを特に意識してまとめてみました。
お料理は美味しいのに、全然魅力が伝わっていないメニューブック。また端末メニューの更新をほとんどせずに古い情報のままのモバイルオーダー。あるお料理を注文したくても見つからず、質問した従業員さんも見つけ出すことが困難だった“商品と関連しないカテゴリー”に入れられたお料理…。こういった多くのチャンスロスも来店客として体験しました。

冒頭で「メニューブックは、商品の魅力を自分の代わりに伝えてくれる営業さん」と、お伝えしましたが、お客様から見たときに「見やすい」「分かりやすい」「ワクワクする」そんなメニューブックにリニューアルしてみましょう。
年末年始のご活躍を願っています。

この記事の執筆

オフィスわんさか 代表 愛嬌接客®専門家_木村美季 きむらみき

オフィスわんさか 代表 愛嬌接客®専門家

木村美季 きむらみき

飲食業界に約34年間携わり、女将として約15年間の飲食店経営の経験を持つ。
延べ34万人以上のお客様を接客した経験から、現在は全国の商工会議所や飲食店・サービス業界にて“リピーターが生まれる接客術”「愛嬌接客®セミナー」を展開中。
元・吉本新喜劇女優というポテンシャルを最大限に活かしたノウハウ「愛嬌接客®」は商標も登録済み。

また、研修や講演・コンサルティングだけではなく、現場の生の声を忘れぬよう、世界中から旅行者が集まる、大阪で一番忙しい道頓堀にて毎週土日、「株式会社くれおーる」の店舗で訪日外国人を中心にたこ焼きを販売している。

《資格・所属など》
箕面商工会議所(登録専門家) /一般社団法人 日本ほめる達人協会 特別認定講師/一般社団法人 楽花成の会 広報(関西飲食店オーナー の会)

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