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【第10回】飲食店の客単価アップ術 24~ワンオペでも簡単にできる仕掛け~⑩「アレンジの提案」をしてみよう

【第10回】飲食店の客単価アップ術 24~ワンオペでも簡単にできる仕掛け~⑩「アレンジの提案」をしてみよう

愛嬌接客®専門家の木村氏による、飲食店向け接客コラム第10弾!

人手不足やコスト高により、ワンオペ経営の飲食店が増えてきている昨今。忙しい中でもちょっとした接客テクニックを取り入れることで、満足度の向上だけでなく客単価アップにもつなげることができます。
本コラムでは誰でもすぐに実践できるテクニックを全24回に分けて余すことなくご紹介!

今回は、お客様の満足度アップにつながる「アレンジの提案」についてお届け。満足度が上がって再来店につながることに加え、客単価アップも実現できる気の利いた一言をご紹介します。

はじめに

ここまでの回では客単価アップの方法で「もう一品ご注文いただく」ということが定番だとお伝えしてきましたが、まだ他にもお客様の心が動かされる方法は存在します。
それは「アレンジの提案力」です。外食をした時「美味しかったけどネギが乗っていたらもっと美味しかったのに…」や「お腹がいっぱいだけど残すのは申し訳ないな…」といった経験はありませんか?
今回は、このようなことが少しでも減る“気の利く一言”を「アレンジの提案」として3つご紹介します。なお今回は、「ご提案のメニューリストはなく口頭でお伝えする」といったニュアンスをイメージしてください。「アレンジの提案」が上手にできるようになると、お客様の「満足度」や「客単価」を同時に上げたり「リピート来店」につながります。
貴店のメニューや客層を思い浮かべながら読み進めてくださいね。

1. トッピングの足し算・引き算

トッピングを使ったアレンジ提案は、もっとも簡単な方法です。「+100円でチーズトッピングも人気です」「ガーリック抜きもできますよ」など、といった一言は“お客様の好みに寄り添う姿勢”を見せつつ、追加料金の提案や原価を下げることを自然にできるのがポイントです。
なお“○○抜き”は場合によっては販売価格も下げることになるかもしれませんが、「面倒くさがらず“○○を抜いてくれる”」というお店(シェフ)は、経験上多くのリピーターを作ることが可能です。オーダーをお聞きした後「苦手な食材や調味料はありませんか?可能な限り対応させていただきます」と、お客様に確認してみましょう。喜ばれることが多い一言です。

慣れない方は「メニューリスト」を作成してみましょう

接客の経験が浅かったり得意でない方は、なかなか最初の一言が出ないかもしれません。そんな方は、まず「リスト」を作りましょう。手元で確認できる「追加トッピングリスト」を作ったりPOPを貼ったりしておくと、お客様と共有して見ることができるため会話しやすく、緊張感もほぐれます。

2. 量のアレンジ

お客様の適量を知る

「多め・少なめ・倍盛り」などの提案は、お客様の“満足度“をアップさせます。分かりやすくお伝えするために表にまとめてみました。大まかにはなりますが、おおよそ以下のような「アレンジの提案」がおすすめです。

ご提案のおすすめリスト

ご提案20~30代後半
男性
30代後半~50代
男性
20~50代
女性
60代以上
男女
小学校高学年~
大学生
多め男性〇女性△
少なめ男性△女性△
倍盛り××男性◎女性△

◎…とても多くのお客様に喜ばれる可能性が高い
   ※無料であれば更に喜ばれる
〇…多くのお客様に喜ばれる可能性が高い
△…三分の一くらいは喜ばれる・人による・状況による
✕…ほとんど喜ばれない可能性が高い

◆表の解説
・年齢に限らず多くの女性には「多め」より「少なめ」のご提案が喜ばれます。
・男性の場合30代後半くらい~40代半ばの方は「食欲旺盛」な方と、そうでない方に分かれてきます。後者の方々は「そろそろ小食になってきた」「健康に気を配り始めた」「ダイエットまたは体系維持」などの理由が多いです。
・高校生や大学生の中には「元々、食が細い」という方が一定数いらっしゃいます。

アレンジ提案の言葉

「多め(1.5倍など)にもできますが、どうされますか?」
「3分の2くらいの量にできますが、いかがでしょうか?」など

3. 団体様へ個数を増やすご提案

・基本形のご提案
4名様のグループで「3個入りのコロッケ」を一皿。というご注文の時は「4個に変更しましょうか?」などと提案してみましょう。
このパターンの場合、私の経験上では8割くらいのお客様がとても喜んでくださり「お願いします!」と、ご注文くださいます。

・ご提案の応用編
 6名~8名様くらいで一軒目のご来店のお客様には、一通りご注文をお聞きしたら「ご注文いただきありがとうございます。私からご提案があるのですが、お伝えしてもよろしいでしょうか?」と、お声がけしてみましょう。
お客様が興味を持ってくだされば「例えば、○○と△△は二皿ずつだと全員が召し上がれるちょうどの量です。そして●●と▲▲はお人数分の個数に変更できます。そこで□□と■■は実は、ベースの味が同じなので、どちらか一皿のご注文でも良いかな?と思いますが、いかがなさいますか?」といった「個数のアレンジ提案」を、お客様の反応を見ながら会話形式でやりとりすると「分かってる!」「気が利く!」「オーダーに無駄がない!」と、大変喜ばれます。こういった「自然な提案力」が身につくと、時々ですが「おすすめメニューを二、三皿ください」と初来店のお客様にオーダーをお任せいただけるようにもなります。

大事なこと

必ず「価格」をお伝えしましょう

量の増減やトッピングの追加や削除などを、お伝えする時は同時に「価格のアップ・ダウン・キープ」を必ずお客様に伝えましょう。
特に「価格のアップ」と「量が減るのに価格はそのまま」の2つは、お客様に事前にお伝えしておかないと後々のトラブルの元です。また「量が増えるのに価格はそのまま」や「量を減らすが価格も下がる」といった、お客様にとって「お得になること」も、必ずお伝えしましょう。理由は、価格がどうなるのか分からないままだと注文しにくいためです。
なお、その際、庶民的な雰囲気の飲食店なら価格を、ハッキリと分かりやすくお伝えした方がよく、高級路線の飲食店やハレの日需要が高い飲食店なら小声で「お値段が少し変わります」と言った伝え方が望ましいですが、貴店の客層と雰囲気に合った言い方でお伝えしてください。

「お客様の呟き」に耳を傾けましょう

上手くいくポイントの一つは「お客様の呟き」に耳を傾けることです。「足りるかな~」や「ちょっと量が多いな~」といったお連れ様との会話がされたら「できますよ。」と笑顔でお伝えしてみましょう。
そして、お一人様であれば独り言はもちろんのこと「メニューブック(タブレットオーダーやモバイルオーダーも)を見る時間が長い」「メニューブックを何度もペラペラめくっている」「店内をキョロキョロしてPOPを見ている」などは“何かを探している行動”なのでおすすめできるチャンスです。
また、こういった行為がなかったり、ご注文が早く決まったお客様でもオーダーをいただいた時に「ありがとうございます。今日はカツカレーに納豆のトッピングを100円でお付けできますが、いかがですか?」と、お聞きしてみましょう。

「余計な提案」には気を付けましょう

気を付けたい「余計な提案」は大きく3つあります。

A「“お子様連れの保護者様”への増量・追加などの提案」
B「“女性のお客様”への増量の提案」
C「“お一人様だけ”への提案」

Aは、予算を考えながら注文されるご家庭が多いと思われるので、お子様が注文したくなるような誘導をすると「ガツガツとおすすめされた店」との印象が残るのでリピートされません。せめて数回ご来店いただいてから、遠慮がちに提案してみる慎重さが必要かと思います。
BとCは「デリカシーに配慮が必要な提案」です。Bについては、現在の日本の女性は「太りたくない」と思っている方が多い傾向です。そんな中「増量ができる」と店員に言われると「“たくさん食べそう”と思われてる?」と、ショックを受けたり気分を害されたりすることは簡単に予想できます。
Cは二人以上でのご来店で“同じ条件のオーダー”にも関わらず、お一人だけに「増量・追加」など、お伝えしてしまうことです。あらゆる誤解を招きますのでお声がけは平等にしましょう。

まとめ

いかがでしたか?冒頭に「ご提案のメニューリストは無く口頭でお伝えする」としたのは「臨場感」や「あなただけ感」を感じていただくためです。お客様別のアレンジの提案は、売るための仕掛けではなく、お客様への“気づかいの形”。「このスタッフは私のことを見てくれている」そう思わせるサービスは、どんな方法よりも喜ばれます。「その場でアレンジ」ができるのはワンオペ営業の最大の武器。“押し売り感ゼロ”で満足度120%のアレンジ提案をぜひしてみてくださいね。

この記事の執筆

オフィスわんさか 代表 愛嬌接客®専門家_木村美季 きむらみき

オフィスわんさか 代表 愛嬌接客®専門家

木村美季 きむらみき

飲食業界に約34年間携わり、女将として約15年間の飲食店経営の経験を持つ。
延べ34万人以上のお客様を接客した経験から、現在は全国の商工会議所や飲食店・サービス業界にて“リピーターが生まれる接客術”「愛嬌接客®セミナー」を展開中。
元・吉本新喜劇女優というポテンシャルを最大限に活かしたノウハウ「愛嬌接客®」は商標も登録済み。

また、研修や講演・コンサルティングだけではなく、現場の生の声を忘れぬよう、世界中から旅行者が集まる、大阪で一番忙しい道頓堀にて毎週土日、「株式会社くれおーる」の店舗で訪日外国人を中心にたこ焼きを販売している。

《資格・所属など》
箕面商工会議所(登録専門家) /一般社団法人 日本ほめる達人協会 特別認定講師/一般社団法人 楽花成の会 広報(関西飲食店オーナー の会)

オフィスわんさか
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