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【第7回】飲食店の客単価アップ術 24~ワンオペでも簡単にできる仕掛け~⑦先に勧めることで「タイミング逃し」を防止しよう
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愛嬌接客®専門家の木村氏による、飲食店向け接客コラム第7弾!
人手不足やコスト高により、ワンオペ経営の飲食店が増えてきている昨今。忙しい中でもちょっとした接客テクニックを取り入れることで、満足度の向上だけでなく客単価アップにもつなげることができます。
本コラムでは誰でもすぐに実践できるテクニックを全24回に分けて余すことなくご紹介!
今回は、失敗しがちな「商品をおすすめするタイミング」をテーマにお届け。来店後にどのタイミングで、かつどんな言葉をかけると効果的なのかを具体例を交えながら解説します。目次
はじめに
飲食店で「客単価アップ」を狙ううえでよくある失敗の一つが、“おすすめするタイミングを逃してしまうこと”です。お客様がすでに注文を終え、料理が届いてから「もう一品どうですか?」と勧めても、多くの場合「もう十分です」と断られてしまいます。人は食欲のピークにいるときほど追加注文を検討しますが、一度「注文終了モード」に入ってしまうと心の扉が固くなってしまいがちです。
「タイミング逃し」を防ぐためには、先手必勝で“最初に”おすすめをしておくことが大切です。今回は様々な“おすすめのタイミング”についてお伝えします。
“タイミング逃し”とは?
お客様は注文のとき、「何を食べたいか」だけでなく「どれくらい食べられるか」「予算はいくらにするか」を同時に考えています。
最初は、まだ余裕をもって選んでいるので「セットにする?」「もう一品追加する?」といった提案が受け入れられやすいのです が、料理が運ばれてきて食べ始めたあとでは、心理的に「もう決めたからいいや」という気持ちが強く働きます。よってこの時に「よろしければ…」と、追加注文をすすめられても断りたくなってしまいます。
これがいわゆる「タイミング逃し」です。“先に勧める”お店側のメリット
① オペレーションがスムーズになる
例えばワンオペのお店では、後から急に追加注文が入ると調理や配膳の流れが崩れてしまうことがあります。あらかじめ追加される可能性のあるメニューを先に決めてもらえる と、オペレーションもスムーズに進み結果的に待ち時間の短縮や接客の余裕にもつながります。
② 提案を受け入れられやすい
例えばカフェでランチを頼むお客様に、食後に「デザートはいかがですか?」と聞くよりも、最初の注文時に「ランチに+300 円でデザートが付きますが、いかがですか?」と伝える方が断然受け入れられやすいです。なぜならお客様はその時点で“食事全体のイメージ”を組み立てているからです。最初からセットとして認識していれば「今日は少し贅沢してみようかな」と思ってもらえるのです。
“先に勧める”時に便利なクッション言葉を活用する
お客様に「おすすめを伝える」って慣れていないと勇気がいりますよね。そんなときは“クッション言葉”を添えてみましょう。クッション言葉とは、コミュニケーションをとるときに使うちょっとした一言です。
たくさんのバリエーションがありますが、今回は言いにくいことを伝えるときに使うとスムーズに話しやすくなる言葉を提案します。
以下に、お客様に使うのに便利なクッション言葉である「よろしければ」を、似たニュアンスで書き出しています。貴店に合うセリフやシチュエーションでイメージしてみてください。① 「差し支えなければ…」
例:差し支えなければ、こちらのセットも人気なんです。
② 「ご参考までに…」
例:ご参考までに、本日のお魚料理もおすすめです。
③「念のためご案内ですが…」
例:念のためご案内ですが、少し小さめのサイズもございます。
④「よかったら…」
例:よかったら、この時期だけの限定メニューもございます。
⑤「お好みに合えば…」
例:お好みに合えば、こちらの辛口も人気です。
⑥ 「ご興味があれば…」
例:ご興味があれば、ワインとのペアリングも承ります。
⑦ 「一応ご紹介しますと…」
例:一応ご紹介しますと、ランチ限定でデザートがお得です。
⑧ 「お嫌でなければ…」
例:お嫌でなければ、こちらもぜひお試しください。
⑨ 「軽くご案内すると…」
例:軽くご案内すると、本日のおすすめは新鮮な鯛のお刺身です。
⑩ 「少し補足しますと…」
例:少し補足しますと、こちらのメニューにはスープも付いてきます。
これでも、ほんの一部です。お店の雰囲気や客層に合わせてアレンジしてくださいね。
ご来店直後「おすすめ提案10のタイミング」
①ご着席後にお冷やとおしぼりを置いた時
「いらっしゃいませ」のご挨拶やご来店のお礼のあとに「本日のおすすめは○○でございます。」などと案内する流れでさりげなく、ゆっくりお伝えしてみましょう。
②ドリンクの注文時
「お飲み物と、こちらを一緒に頼まれる方が多いですが、いかがですか?」など、スピードメニューやつまみ系をおすすめしてみましょう。
③常連様を席に案内している時
雑談風に「そういえば、今日入ったばかりの○○があるんですよ!」と、○○についての情報を、楽しげにお伝えしてみましょう。
なお、「□□さんは○○がお好きでしたよね?」と、常連様の“好み”を把握しておすすめすると、ほぼご注文いただけます。
④メニューの説明をお願いされた時
まず「一番人気なのは…」と切り出して人気メニューを紹介し、次に「実はファンが多い」と、おすすめを紹介しましょう。
⑤お客様が着席し、メニューを渡す時
「初めてご来店ですか?でしたら、まずは○○をお召し上がりになりませんか?」と、軽く聞いてみましょう。
⑥季節やイベントを感じてほしい時
「今日は急に寒くなったので、温かいお鍋が人気なんです」など話しかけてみましょう。「ほんとですね~。私も注文しようかな~…」という展開になることも少なくありません。
⑦注文を迷っている様子を見た時
「もしよろしければ、今日のおすすめをお伝えしましょうか?」と声をかけてみましょう。
⑧人数やシーンを確認した時
“分けやすい料理”も、お客様にとっては、一つの選択枠になるので「今日はお二人ですか?でしたら、シェアしやすい○○料理も、いかがですか?」などプラスαでおすすめしてみましょう。
⑨乾杯のドリンクを決めた後でメニューを選んでいる時
「○○(ドリンク)に合うお料理でしたら、△△がおすすめですよ」とペアリングの提案をしてみましょう。
⑩注文を吟味している時 ※人気メニューがまだオーダーされていない状態
本日は看板メニューの〇〇が残り三食ですが、ご注文されますか?」と、確認してみましょう。「注文したつもりだった。」なんてことが時々あります。
具体的なおすすめ提案
① スピードメニューとしてのおすすめ提案
注文時、おすすめを伝えるときの会話に「早く提供できます」といったニュアンスの言葉を入れるだけでご注文いただける確率が上がります。例えば居酒屋なら、お客様の反応を見ながら「よかったら焼き鳥と一緒に“塩だれきゅうりのおつまみ”はいかがですか?すぐに召し上がっていただけるのと、焼き鳥ともよく合いますよ。」と、メインで注文した商品と相性がよく、早く提供できることを伝えてみましょう。
② セットにするとお得になるおすすめ提案
カフェなら「ランチセットに+200円でドリンクを付けられますが、ご一緒にいかがですか?」と聞いたり、ラーメン屋であれば「替え玉される方が多いので、先にご注文いただくとスムーズですが、お客様はどうされますか?」と提案してみましょう。ワンオペや少人数での運営なら思い切って「注文決定後の追加は通常料金になる」と決めて「先にセット注文をする方がお得」と、アピールしていくのも一つの方法です。
“先に勧める“2 つの注意点
注意点①「押し売り感を出さない」こと
無理におすすめしても逆効果です。大事なのは、あくまでも“選択肢の提示”という姿勢です。「ドリンクセットにしますか?」や「本日のおすすめは○○定食です」といった決めつけた言葉よりも「ドリンクを一緒に頼まれるお客様が多いですが、よろしければいかがですか?」や「本日は○○定食がお安くなっており、早くご提供できますが、ご注文はいかがなさいますか?」などと柔らかく聞いて選択を委ねる方が、お客様も「じゃあ」と受け入れやすくなります。おすすめはしますが、最後はお客様に決めていただく。このバランスが大事です。
注意点②「複雑な構成にしない」こと
ある大型飲食店で、メニューを選ぶタッチパネルが複雑すぎて“注文を諦めて店を出る人が続出している”という情報がニュースになっていました。個人店では、モバイルオーダーの導入店が増えていますが、実際に私も「表示が分かりにくい構成になっている」注文画面を多く見ました。おすすめされた商品を注文したかったのでスマートフォンを操作しながら探しましたが全然見つけられず、店員さんに聞くと、店員さんも数分操作しやっと見つかった!といったことがありました。多くても、3回以内のタップで見つかるように登録しましょう。
まとめ
客単価アップのポイントは「タイミングを逃さない」こと。
追加を勧めるなら、注文が決まる前の“まだ迷っている時点”で提示するのが最も効果的です。これだけで自然に売上は伸び、さらにオペレーション効率も良くなります。ワンオペや小規模店ほど、この小さな工夫が売上と働きやすさに直結します。ぜひ「先に勧める習慣」を取り入れてみてくださいね。- NEW最新記事
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