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【第6回】飲食店の客単価アップ術 24~ワンオペでも簡単にできる仕掛け~⑥ “売りたい商品”が売れるペア(組み合わせ)を紹介しよう
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愛嬌接客®専門家の木村氏による、飲食店向け接客コラム第6弾!
人手不足やコスト高により、ワンオペ経営の飲食店が増えてきている昨今。忙しい中でもちょっとした接客テクニックを取り入れることで、満足度の向上だけでなく客単価アップにもつなげることができます。
本コラムでは誰でもすぐに実践できるテクニックを全24回に分けて余すことなくご紹介!
今回は「ペア売り」をテーマに、売りたい商品に相性のよい商品を組み合わせる販売手法を解説。お店にもお客様にもうれしい効果が起こる条件やその理由をお伝えします。目次
はじめに
ワンオペや少人数で運営しているお店の特徴の一つは「メニューラインナップの柔軟さ」だと思います。実際に、同じ食材でも仕入れ先の都合で昨日と今日の仕入れの量が違ったり、買い出し先でお得な食材を見つけて少し多めに購入したり。お客様の反応が楽しみで頑張って仕込みをしたのに注文数が思ったより伸びず、営業後は賄いになってしまったり泣く泣く破棄したり…そんな悲しい経験ありませんか?
そういう時は「ペア(組み合わせ)で販売すること」をおすすめします。今回お伝えするのは、ペア販売でお客様に自信を持ってご提案する方法です。
セットメニューとペア(組み合わせ)の違い
前回は「セットメニューを作ってみよう」がテーマでしたが、今回は「ペア(組み合わせ)の提案」です。ここで「セットとペアの違い」をお伝えしましょう。それは「定番かケースバイケースか」ということです。
例えば、唐揚げセットは唐揚げ+ライス+味噌汁で900円、という内容も価格も決まっている固定メニューです。風習として単品の合計よりお安く提供せざるをえない環境ではありますが、オペレーションは効率的で回を重ねるごとに研ぎ澄まされていきます。
▼前回記事はこちら
【第5回】セットメニューを作ってみよう
一方「ペア(組み合わせ)」は、相性が良い「単品と単品」のご提案です。
「この魚介のパスタには赤ワインがよく合いますよ。今日は○○(商品名)が入荷しています。」などと注文の組み合わせを提案するため、セット販売のように価格の固定や値引きは不要です。また、季節や流行に合わせて柔軟に変えられる利点もありますし、仕入れ価格の高騰などがあっても無理に提供し続ける必要がありません。
ここからは、ペア(組み合わせ)のご提案のコツをお伝えしましょう。
お客様が思わず注文したくなる2つのテクニック
こんなことをイメージしてください。
例えば、いつもの仕入れ先から「かなりおすすめ!」と言われた、普段は購入していない飲み物や食べ物・野菜を買ってお店で販売することになったら。そんな日の2つの販売方法をお伝えします。1. 視覚を刺激する
まずは、店頭の看板、店内のPOPや黒板、メニューの差し込みなどに「○○入荷!」など、産地・味・価格とプチエピソードを書きましょう。SNSやHPでの紹介、ショート動画も内容の基本は同じです。
例えばPOPなら、
「京都○○産 加茂なす 入荷!○○さんのおすすめ♪
△△と一緒にいかがですか?」
のように、なすの情報のそばに相性がいいメニューを書き添えます。記載する基本情報は、店頭のPOPや黒板ならメニュー名・価格・産地・限定などのプチ情報・相性の良い商品、あたりがよいでしょう。
一方、SNSの投稿では全ての情報を文字だけで詰め込まないようにしましょう。三択クイズにしたり、静止画を繋げた動画、仕込みの手元を30秒ほど撮影し「何ができるかな?」「今日だけ限定販売」などと入力し、少し遊びを入れることで興味を持ってもらう演出も可能です。また、文章入力をせずにハッシュタグで「#売り切れごめん」「#限定入荷」「#○○(商品名)と相性バツグン」と、様子を表現する方法もあります。
ポイントは、両者とも「素早く仕上げること」です。こういったことがあまり得意ではないタイプの方は、初回からフォーマットを決めておくとスムーズにいきます。POPなら事前になぐり書きでもいいので見本を作っておき、限定販売したい商品の情報を、その都度、フォーマットで決めた配置に書くだけです。「きれいに、かっこよく仕上げたい」という願望が生まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、手書きでサッと書いた方が、お客様が見た時に「臨場感」「今日だけ感」が増しますので気にする必要はありません。
またSNS発信は、編集にこだわりすぎるとあっという間に一時間くらい経過します。それに、大雑把な配信でも十分バズる可能性はあります。慣れるまでは「きれい・かっこよく」の理想は頭の片隅に置いて、編集作業は長くても10分くらいで終えましょう。
2. ストーリー(商品にまつわる背景)を添える
何かを買う時や選ぶ時はストーリーが分かると購買意欲が高まります。当店が実際に行っていた実例は、おススメする時に少しだけエピソードトークをすることです。
例えば、気心の知れた常連様などには、ご来店されたらすぐに「○○さん!お待ちしてました(笑)今日のお刺身、とってもおすすめなんです!」と、お声がけします。そうすると、お刺身が好きなほとんどの常連様は「へ~!どんな?」と興味を持ってくださるので、「同じ魚の真ん中(一番美味しい部分)は、あの有名なミシュラン常連店が買ったそうで、当店は端っこを分けてもらったらしいんです。」とエピソードを伝えます。そして、先に味見をした大将に目線を送ると、「端っこでも充分に美味しかったですよ」とお客様に伝えてくれました。
ちなみに同じ魚でも「真ん中と端っこ」では仕入れ値が違うので「ミシュラン常連店と同じ味が当店では格安で堪能できる」というストーリーがウケていました。
もちろん、その刺身に合う日本酒の組み合わせもお伝えすると「せっかくなので美味しいお刺身とおすすめの日本酒を楽しむ」という理由で8割くらいのお客様は注文してくださいました。
ご新規様の場合、例えば「日本酒」をご注文されたら「お客様、日本酒がお好きなんですか?」と声をかけてみましょう。そして「もしよろしければ…」と常連様と同じ内容を伝えます。
ポイントはあくまでもサラッと伝えることです。「あ、無理にではないんです。滅多に仕入れることができないレベルのお刺身なので日本酒が好きな方に味わっていただきたくて、お声がけしただけなんです。気が向いたらご注文ください。」と、笑顔で伝え、お客様から一旦離れること。常連様とも共通しますが、「注文します」という返事を待っているような圧をかけないことが大切です。
ペア(組み合わせ)のおすすめによる心理的効果
ペア(組み合わせ)でおすすめすることで、お客様にとって以下の5つの心理的効果が生まれます。
1. 選択の負担が減る
2. 満足度のアップ
3. 話のネタになる
4. スタッフとの距離が縮まる
5. 新鮮さを体験できる
1.は、前回でもお伝えしましたが「メニューを迷うお客様」は多いです。迷っているお客様にとって「おすすめの組み合わせ」があると決断が早くなります。
2.は、ペアで紹介されると「この組み合わせがベストなんだ」と感じ、満足度が上がります。また、お客様の好みによって、商品を変えると更に「特別感」が増します。
3.は、スタッフから聞いた商品にまつわるエピソードや珍道中などは「ネタのストック」になり、面白い情報が入るお店やスタッフだな、と興味が沸きます。
4.は、スタッフからの一言提案はお客さんとの距離を縮めます。明るく軽快に話しかけるか、落ち着いて丁寧に話しかけるかは、あなたやお店の雰囲気・時間帯とお客様によって変えてみましょう。
5. は、いつもと違う日常をプチ体験いただけるからです。心の片隅で「今日こそ違うものを頼んでみたい」と思っているにもかかわらず、毎回同じ注文をしてしまう常連様には、良いキッカケになるでしょう。
おわりに
人間の五感が脳に伝わる順序は、「聴覚→視覚→触覚→味覚→嗅覚」だそうです。
今回のテーマであれば、まずあなたからの「声がけ(聴覚)」。
次に店内のPOPや差し込みメニューを見たり、場合によっては事前にSNSで知ってくださっている二度目の「確認(視覚)」。そして実際にメニューを手にしたり、日本酒やワインならボトルを見せてもらったりして(触覚)お客様の脳に情報が集まります。
味覚は想像になりますが、店内の「美味しそうな香り(嗅覚)」で「○○&△△は確かに美味しそう。期待を外さないかも」と、信頼感が重なってご注文へとつながります。
このように、お客様があなたのおすすめペアを注文してくださる裏側には、小さな理由がたくさん存在します。あるアンケートで「メニュー選びに失敗した理由」の2位は「期待していた味と違った」という感想でした。いつしか「あなたのおすすめなら何でもいいですよ。」とお返事いただけるように一つ一つ丁寧に積み上げていきませんか?
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