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【小阪裕司コラム】第201回:「問い合わせ」が少ない理由は

【小阪裕司コラム】第201回:「問い合わせ」が少ない理由は

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

認知度アップのためにはじめた情報発信

 今回は、積極的かつ適切な情報発信が相手の行動を引き出すお話。「新規見込み客からの問い合わせ」という行動についてだ。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の認知症対応型グループホームからのご報告。
 今回の取り組みは、「新規入所者様の獲得と他居宅介護支援事業所からの問い合わせを増やす」目的で行われた。同ホームにおいては、新規入所者の獲得が一般の店における新規客の獲得となるが、問い合わせは入所者のご家族からでなく、ケアマネージャーからとなる。彼らは市内各所にある介護支援事業所にいるが、これまでそこからの問い合わせは少なく、別ルートからの入居者が多い状況だった。
 そこで、地域における認知度を高め、ケアマネージャーとの新たなつながりを築くことで入所者の獲得につなげようと考えた。具体的には、チラシを作成し、市内の各居宅介護支援事業所へFAX送信を行ったのである。とはいえそのチラシはさほど手の込んだものではなく、表面には施設内外の写真と幾つかの特徴を書き、「現在の空室○部屋(○月末○日現在)」として空室情報を記載し、電話、メールなどの連絡先を記載したもの。裏面は同ホームを含むグループ全体のシンボルキャラクターが大きく書かれ、他の施設の連絡先が列記されたものだ。
 結果はすぐに出た。5件の問い合わせが入ったのだ。その中に、これまで問い合わせのなかった新規の介護支援事業所が3件あり、他の2件も施設見学や入所申込みにつながり、想定以上の反響があった。中でも特徴的だったのは、あるケアマネージャーからこう言われたことだ。「いつも満床で入所できないと思っていたので、チラシを見て驚きました」。

思い込みを払拭する働きかけ

 この事例からの学びはまさにこの言葉にある。お客さんの側にはこういう思い込みがあるということだ。今回の業種に限らず、お客さんからの問い合わせが少ないとき、売り手としてはつい「認知度が低いのではないか」「提供している商品やサービスにそもそもニーズがないのではないか」などと考えがちだが、実際にはお客さんは十分認知しており、ニーズもある。しかし、このような思い込みで行動をしないでいるケースは多いのである。だからこそ、こちらからの積極的な働きかけが必要だ。また、今回のケースでは「空室情報」がカギだったが、このように、相手に何を知らせれば行動してくれるのかをよく考え、適切な情報を発信することが肝要なのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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