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【小阪裕司コラム】第198回:顧客リストが20倍になったささやかな改善とは

【小阪裕司コラム】第198回:顧客リストが20倍になったささやかな改善とは

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

きっかけはちょっとした工夫

 前回、人を惹きつけるA型看板の「一言」についてお話しした。ちょっとしたはたらきかけで、お客さんの行動が変わる実例だ。今回ももう一つ、ほんのちょっとした改善で、お客さんの行動が変わる事例をお届けしよう。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある飲食店からのご報告。
 前回は餃子居酒屋だったが、今回はある地方の日本料理店。比較的単価の高いお店だ。同店では、顧客化を行うため、お客さんの個人情報をいただいているが、その方法は、各テーブルの上に置かれている記入用紙(芳名帳のように綴じたもの)に、名前や住所などを自主的に書いていただくやり方だ。書いてくれた方にはその後、お便りや料理の背景やエピソードを綴った小冊子をお送りしている。
 今回店主らは、この用紙の記入率を高めるため、テーブル上の置く位置を検討してみることにした。それまで記入用紙はテーブルの端に置いており、お客さんが用紙に気づいていない可能性があるのではないかと考えたのだ。
 そこで位置を少しずらし、お客さんの視界に入りやすく、少し邪魔になるくらいの場所に置いてみた。さらに記入用紙のページをあらかじめ開いておくようにしたところ、記入してくれるお客さんが顕著に増えた。具体的には、それまで月に1名程度だった記入者数が、月に10~20名に、リストは最大で20倍のペースで集まるまでになったのである。

課題解決の方法は身近なところにもある

 前回のA型看板同様、この実践もちょっとした改善だ。なにせ、記入用紙の置く位置を変えて、開いただけなのだから。しかしそこに気づき行った結果、顧客リストは爆増した。さらに店主らが言うには、記入後送っているお便りや小冊子を受け取った人の3割が再来店しているとのことなので、当然の結果として顧客リスト増は、客数増・売上増につながっていく。
 前回今回共に飲食店の事例だが、現在飲食店で客数減や売上減に悩む店は多い。また、顧客リストが大事と分かっていても、来店客に個人情報をいただくことは難しいと感じている店も少なくない。しかしその課題が、記入用紙を置く位置をずらし、開いておくだけで解決するとしたらどうだろう。実はワクワク系マーケティング実践会には、このような改善事例は数多い。もしかするとあなたのお店や会社が抱えている課題も、ほんのちょっとした改善で大きく解決するのかもしれないのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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