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【小阪裕司コラム】第192回:お客さんが真に買っているものとは①

【小阪裕司コラム】第192回:お客さんが真に買っているものとは①

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

“お得さ”をメインにした「牡蠣オーナー制度」のPR

 今回は、次回と2回に渡り、現代の商売におけるとても重要な本質に関わるお話をしたい。「お客さんが真に買っているものは何か?」という問いに関することだ。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、牡蠣養殖業を営む会社からのご報告。
 同社では、昨年から試験的に始めた新しいサービスがある。それは「牡蠣オーナー制度」というものだ。よくある「リンゴの木のオーナー制度」などに似たもので、ここでリンゴの木にあたるものは、垂下式牡蠣養殖で用いるホタテの貝殻だ。牡蠣の稚貝が付着しているホタテを「カルチ」と呼ぶが、1枚のカルチから、牡蠣は通常5~10個収穫できる。そのカルチ、10枚1口のオーナーになってもらうのだ。
 昨年のモニター運営がうまくいき、オーナーさんたちにも大変好評だったため、今年から本格運用を始めた。コースは4種類。一人でがっつり楽しみたい方向けの「プレミアムコース」や、家族でお子さんも一緒に参加できる「ファミリーコース」など、それぞれ自分に一番向いているコースに入会してもらう趣向にした。
 そして、メンバー募集に当たり今回、次の点を訴求した。収穫量が少なかった場合に収穫量の最低保証をすること。そして、SNSや募集チラシでは「最高で100個以上の収穫も狙えます!」「昨年のモニターさんは、一番多い人は130個以上収穫できました!」などとアピールした。

PRに対する予想外な反応

 すると思いがけない反応があった。結果的に今回32組が申し込んでくれたのだが、今回参加を見送った方の中に、「100個ももらっても困るので今回は見送った」「そんなに食べられないから100個もいらない」といった声が少なからずあったのだ。後で聞くと「参加したかったんだけど…牡蠣が100個以上も届くかもしれないので困るからやめておく」というのである。
 これには同社三代目も驚いた。彼の感覚から言えば、各コース料金と自社で売っている牡蠣の価格を考えれば、最低でも保証しなければならない収穫量はあり、さらに実はもっと収穫できることは一番のPRポイントだと思っていたからだ。
 そして今年のオーナー制度が始まると、さらに衝撃的な出来事があった。これら一連の出来事から、「お客さんが真に買っているものは何か?」の問いへの答えが浮き彫りになるのだが、その出来事とは何か?この続きは次回に。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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