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【小阪裕司コラム】第183回:意外と気づかない売り上げ不振の理由②

【小阪裕司コラム】第183回:意外と気づかない売り上げ不振の理由②

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

商品だけでなく“私たち”も知ってもらう

 今回は、前回の続き。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある手作り弁当・お惣菜店からのご報告。今年に入ってオープンした同店。苦しい状況だったところ、ワクワク系を知り、実践会に入会。その後1か月間でまず行った二つの実践と、その手ごたえ、驚きと気づきが今回の話だ。(前回「3か月間」と書きましたが、正しくは「1か月間」。訂正します)
 行った一つは、ワクワク系的な商品POP(店頭販促物)を作って付けることだった。その効果はてきめん、お客さんとの会話が増え、お客さんがPOPを見ながら商品を吟味するようになり、「こんなのあったんだ!」と上乗せして買われることも増えて来た。
 それだけでも十分驚きだったが、さらに驚いたのはもう一つの実践によって起きたことだ。それは「自己紹介の作成」。入店してすぐ目に留まる商品用冷蔵庫の側面に、厨房担当のお母さんと自分の簡単な自己紹介と、猫にデフォルメした自分たちの似顔絵を描いた。また、店で配布している簡単なメニュー表にも、イラストと一緒に簡素なプロフィールをつけてみた。
 すると、お客さんがその内容に触れたり、初めての方から「猫が好きなんですね」「絵も描けるんですか?」と声をかけられるようになった。そんな中、事件(と彼女は言う)は起こった。初回来店時にメニュー表を渡したお客さんが、次の来店時に「これ食べてちょうだい」とお土産を持って来てくれたのだ。しかもそれは某有名ブランドのピスタチオチョコレート。なぜピスタチオかといえば、その自己紹介に、自分がピスタチオ好きであることが書いてあったからだ。

積極的な情報発信で絆が生まれる

 彼女は言う。「お客様は、商品についてすべてを認識しているわけではない」「むしろ何もわからない状態で売り場を見ている」。だからこそ、こちらから情報を与えなければならないと。そして、先ほどの差し入れ事件。簡単に自己紹介をするだけで、お客さんとの距離が縮まること、絆が生まれることも実感したと。いずれも、入会して1か月で結果が生まれるようなワクワク系の基礎だが、意外と気づき難い点でもある。彼女も、それが売上不振の原因とは思わなかった、間違った思い込みがあったと振り返るが、売上不振の真の理由には、なかなか気づけないものなのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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