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【小阪裕司コラム】第182回:意外と気づかない売り上げ不振の理由①

【小阪裕司コラム】第182回:意外と気づかない売り上げ不振の理由①

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

軽視していた店頭での販促

 今回は、「意外と気づかない売り上げ不振の理由」のお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある手作り弁当・お惣菜店からのご報告だ。
 同店は、今年に入ってオープンした新店。周囲からは「失敗するからやめておけ」と言われながらの開業だったそうだが、実際オープン後も順調ではなく、2月ごろには不安が強くなって来ていたという。そんな折、SNS広告でワクワク系を知り、拙著などを購入、手探りでやってはみたが手ごたえなく、実践会に入会したとのこと。そこからの3か月間でまず行った2つのことと、そこでの手ごたえ、気づきが今回の話だ。
 行ったことのひとつは、「値札表だけでなく、商品の簡単なPOP(店頭販促物)を作ってつけてみる」。店主いわく、同店で供されるものはだいたい家庭でも出されているもの。見れば「これはハンバーグ」「これはサラダ」と分かる。見れば分かるのだから、表示するのは値段だけでいいと思っていた。しかし、ワクワク系を本格的に学び始め、「実際はそうではなかった。むしろ逆である、ということに衝撃でした」と店主。そこで早速のPOP作りとなった。

POP作りで生じた変化

 POP作りを行って「まず驚いた」と店主が言うのが、お客さんが商品を手に取る回数が増えたこと、そしてちょっとした会話が生まれたことだ。商品名だけのときは「これは何か入ってるんですか?」といった質問があり、それに答えるやり取りがあっただけ。しかしPOP作成後は、まずその手の質問がなくなった。そしてそれ以外の会話が増えたのだ。例えば、畑で採れたよもぎ団子やふきの煮物を出したときは「作るの大変よね」と言ってもらえ、「今朝採りたてです」と一言書き添えたことで「畑があるんですか?」「新鮮でいいですね!」と喜んでもらえたり。全体的に、お客さんがじっくりと説明を見、商品を吟味する時間も増えた。その上で、「こんなのあったんだ! じゃあ、今日はちょっと、これを買ってみようかな」と上乗せして買われることが増えて来た。こうしたお客さんの行動の変化は、そのまま買い上げ率、買い上げ点数(=客単価)、ひいてはリピート率の向上につながる。
 店主にはそれだけでも十分驚きだったが、さらに驚いたのはもう1つ行ったことによって起きたことだ。それは何か。この続きは次回に。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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