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コロナ禍をきっかけに需要が急拡大したフードデリバリーサービス。そんな中、タクシーデリバリーの需要も日本全国でじわじわ広がりつつあることをご存知でしょうか?
他のデリバリーサービスと比べて配送料や料理単価は高いものの、輸送品質・サービス品質の高さから、高級レストランも続々と参画。おせち料理のデリバリーを開始する動きも見られるなど話題が絶えません。
この記事では、今後さらに期待と注目が集まりそうなタクシーデリバリーを徹底解説!タクシーデリバリーが始まった背景やタクシーデリバリーの特徴と魅力、個人店での導入方法についてもご紹介します。
タクシーデリバリーとは?
タクシーデリバリーとは、タクシーを使用したフードデリバリーサービスのことです。飲食店は料理の注文が入ると、調理と同時にタクシーの配車を依頼。タクシードライバーが料理をピックアップし、注文者へ届ける仕組みです。
注文方法や支払方法はサービスによって異なりますが、電話またはネットからの注文が主流。支払いはクレジットカードによる事前決済のほか、タクシードライバーへ現金払いという場合も多く見られます。
配送料はタクシー事業者や配送距離・時間によって異なりますが、最低で2,000円程度から。他のデリバリーサービスと比べて配送料は高いものの、輸送品質・サービス品質の高さから、高級レストランが多く参画しています。
ジャンルは、寿司、ステーキ、懐石、中華、イタリアン、フレンチなどさまざま。料理単価は、安くて1,000円台〜5万円を超えるものもあります。平均注文単価は2万円を超え、非常に高単価です。タクシーデリバリーが始まった背景
タクシーは「旅客自動車運送事業」に該当し、元々は宅配事業者のように荷物だけを運ぶことは禁じられていました。タクシー事業者は旅客運送、宅配事業者は貨物運送とはっきり区別し、相互参入を規制することで過当競争を防ぐ狙いがあったためです。
ところが、2020年、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに状況は一変します。緊急事態宣言の発出と外出自粛要請の影響で、通信販売やフードデリバリーのニーズが一気に増加。宅配業界の需要が大きく高まった一方で、タクシー業界では客数が急激に落ち込み、苦境に陥りました。
そこで、国土交通省は2020年4月〜9月末までの期間限定で、特例措置としてタクシー事業者が有償で飲食店の食料・飲料を運送することを許可。この措置によって、1,500を超えるタクシー事業者がフードデリバリー事業に参入し、タクシーデリバリーが日本全国に広がるきっかけとなりました。
その後、旅客運送業務への影響がないこと、食料・飲料の運送時の安全性に大きな問題がないことから、同省は2020年10月以降も許可を継続すると発表しました。
許可の期限は2年と定められていますが、期限後も所定の手続きを行うことで、フードデリバリー事業の許可延長が可能となります。各タクシー事業者は、配車可能地域内の飲食店と手を組み、こぞってデリバリーサービスの拡大を進めています。
タクシーデリバリーの特徴と魅力
■広範囲に大量配送が可能
自転車やバイクによるデリバリーサービスに比べて、タクシーデリバリーは配達可能エリアが広いのが特徴です。
また、一度に多くの荷物を運べることから、10人分のお弁当など大量の注文配送も可能。家族や親戚が集まる場や、企業のランチミーティング、研修、セミナーといった場でも重宝されています。
■サービス面における安心感
安全運転や接客教育を受けたプロのタクシードライバーが対応するため、事故やお客様とのトラブルも少ない特徴も。接客・輸送品質の評判が高いタクシーを使用するなら安心できると、高級レストランや料亭、高級ホテルのダイニングが数多く参画しています。
タクシーデリバリーなら自転車やバイクとは違って荷物が傾く心配がなく、ケーキなどのデリケートな食品も安心。タクシー内に冷凍庫を設置することで、アイスクリームなどの冷凍食品も届けられます。■記念日やお祝いの食事ニーズが高い
他のデリバリーサービスと比べて、配送料や料理単価は非常に高いものの、高級・有名店の料理を自宅で楽しめることが大きな魅力です。毎日の食事としてはもちろん、記念日やお祝いなどハレの日の食事として利用される割合も高く、いつもより少し贅沢したいというニーズにも応えられます。
タクシーデリバリーは、普段から高級・有名店で食事をする富裕層にも利用されるため、タクシーデリバリーに参画することで新規顧客の獲得も期待できます。
おせちのタクシーデリバリーサービスも登場!
2021年10月、「GO Dine(ゴーダイン)」を手掛ける株式会社Mobility Technologiesがおせちのデリバリーを始めると発表しました。
Mobility Technologiesは、タクシーアプリ「GO」「JapanTaxi」を手掛ける日本交通株式会社の関連会社です。日本交通は、2020年4月にタクシー事業者によるフードデリバリーが認められたタイミングでいち早くタクシーデリバリーサービスを開始しています。
「GO Dine」とは、2021年5月にリリースされた日本初のタクシーデリバリー専用アプリ。配送可能地域は東京都の23区に限られていますが(2021年11月現在)、料理の注文から決済までをアプリ内で完結できます。
タクシーデリバリーの場合、電話またはネットブラウザからの注文が主流で、支払いはタクシードライバーに現金で、ということもしばしば。そのため、他のデリバリーサービスのようにアプリ内で完結できるGO Dineに注目が集まっています。
そんな中、新たな商機として注目されたのがおせち料理でした。
百貨店や通信販売のおせち料理は、事前に大量に作り、冷蔵・冷凍配送するのが一般的。作りたての生おせちを届けるには、お客様に店舗へ取りに来ていただくか、店舗側で1件ずつ宅配するしか方法がありませんでした。
しかし、おせちデリバリーサービスの登場によって、その日に作られた生おせちをタクシーで即日届けることが可能に。これまで店舗スタッフが行っていた宅配の手間を省くことができ、その時間を生おせちの調理に回すことができるようになりました。
GO Dineでは、人気ホテルやパティスリーの生クリスマスケーキのデリバリーサービスも開始。生のクリスマスケーキを購入するには店舗に出向くしかないという考えが一般的であり、タクシーデリバリーによって自宅に届くというのは画期的です。
こうした生おせち、生クリスマスケーキのデリバリーは、輸送品質に優れたタクシーデリバリーだからこそ実現可能なもの。今後はこうした動きがタクシーデリバリー業界全体に広がっていくと見込まれます。
個人店でも導入可能
個人経営の飲食店であっても、その地域のタクシー事業者が行っているタクシーデリバリーサービスに参画することで導入可能です。
タクシーデリバリーの特徴を十分に理解した上で、お客様の需要に合わせた料理を準備しましょう。
もともと料理単価が低い飲食店であっても、企業のランチミーティング、研修、セミナーのお弁当需要に焦点を絞り、勝負するという手もあります。
自治体や地域の商工会・商工会議所によっては、タクシーデリバリーの利用推進事業や、飲食店に対する支援プロジェクトを設けている場合も。
タクシーデリバリーの導入を検討する際は、そうした情報もチェックされることをおすすめします。
ライター:上田はるか(フリーライター)
大学卒業後、輸入食品商社に勤務し、新規店舗の立ち上げや自社直営ティーサロンのメニュー開発を経験。その後、大手ギフト会社の企画開発部、広報宣伝部を経てフリーランスに。現在はWEB媒体をメインに、食ジャンルの原稿執筆を行う。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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