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2021年6月、プラスチックごみの削減を目指す新しい法律「プラスチック資源循環促進法」が成立しました。
2022年4月施行を目指すものですが、私たちの暮らしや未来にも密接に関わってきます。
こちらの新法について詳しく見ていきましょう。目次
新法成立でプラスチックごみ削減!使い捨てスプーンなども有料化へ?
環境汚染につながるプラスチックごみを減らすとともに、回収やリサイクルを強化するための新たな法律が2021年6月4日に成立しました。
「プラスチック資源循環促進法」と呼ばれるもので、2022年4月にも施行される見通しです。この法律には5つの柱があります。
1.プラスチック使用製品設計指針
2.特定プラスチック使用製品の使用の合理化
3.市町村の分別収集・再商品化
4.製造・販売事業者による自主回収及び再資源化
5.排出事業者の排出抑制及び再資源化等
このうち、飲食店経営者などに関係するのが2つ目の「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」です。
「特定プラスチック使用製品」とは、商品の販売やサービスに附随して無償で提供されるプラスチック使用製品で、具体的には政令で定めることになっていますが、プラスチック製の使い捨てスプーン、フォーク、ストローなどが指定される見込みです。なぜプラスチックごみを削減しなければならないのか?
今回、使い捨てスプーンなどプラスチック製品に関する法律ができた背景には、深刻な環境問題が横たわっています。
そもそも「プラスチック(plastic)」は、ギリシャ語の「プラスティコス(plastikos)」という言葉に由来。
「プラスティコス」は、「形づくる」「発達する」などの意味で、英語の「プラスチック」にも「自由に形をつくれる」という意味があります。
「プラスチック」と一口に言っても、レジ袋などの「ポリエチレン」、PETボトルなどの「ポリエチレンテレフタレート」、パソコンなどに使われる「ABS樹脂」、他にも「ナイロン」「アクリル樹脂」など、その種類は100以上あります。
プラスチックの最大の利点は、いろいろな形に加工ができること。
鉄のように錆びず、木のように腐らず、ガラスのように割れることなく丈夫。
しかも軽くて安いといった理由から、身の回りのあらゆるところでプラスチックは使われています。
一方で、プラスチックの種類によっては熱に弱い、傷がつきやすい、ホコリがつきやすいなどのマイナス面もありますが、こうした性能としての短所よりも近年、問題視されているのが廃棄後のプラスチックの存在なのです。ジャンボジェット5万機相当のプラゴミが海に流出
使い捨てスプーンや弁当の容器、肉や魚のトレーなどのプラスチック製品は、すぐにその役目を終え、不要なものになってしまします。
すると、腐らない、加工しやすいといったプラスチックの長所だったことが、今度は、自然に還らず、種類が多く処理やリサイクルが大変といった短所になってしまいます。
適切に回収や処理されなかったプラスチックの多くは、河川などから海に流れ込みます。
これが世界中で問題視されている「海洋ごみ」です。
世界経済フォーラムが発表した海洋ごみに関する報告書(2016年)によると、世界では少なくとも毎年800万トン分のプラスチックが海に流れ出しているとか。
これは、ジャンボジェット5万機に相当する量で、今のペースが続くと2050年には、海にいる魚のすべての重量よりも、プラスチックの方が重くなるという予測もあります。
海に流れ出たプラスチックは、波の力や紫外線の影響で細かく砕けますが、自然に分解されることはなく、「マイクロプラスチック」として半永久的に海中に溜まり続ける可能性も。
マイクロプラスチックは、海洋生物の体内に取り込まれ、食物連鎖を通じて人間の体内にも取り込まれていると言われています。
最近の研究では、2018年にオーストリア環境庁とウィーン医科大が日本人を含む世界8カ国の人の便を調べたところ、全員の便からプラスチックが検出。
また、2019年には、WWF(世界自然保護基金)から「1週間に1人平均5gのプラスチックを体内に取り入れていると見られる」との報告がありました。
ちなみにプラスチック5gは、クレジットカード1枚分の量です。
プラスチックが体内に蓄積することによる健康への影響はまだ解明されていませんが、懸念材料であることは間違いありません。使い捨てプラ食器禁止でごみが70%減?
米国ニューヨーク州では、2019年から使い捨て発泡スチロール容器が全面的に禁止となり、2020年からは使い捨てレジ袋も禁止になりました。
また、欧州連合(EU)では、2021年7月からプラスチック製や発泡スチロール製の使い捨て食器や食品容器を市場で流通させることを禁止する新しい規則が施行されました。
欧州委員会は海洋ごみの80%がこれらのプラスチックごみだとしており、新規則の実施で欧州の海岸を汚すごみが70%減ると推計しています。霞が関では実証実験化開始。プラごみ辞退でポイント獲得
日本でもすでに一部の企業がプラスチックごみの削減に取り組んでいます。
たとえば…
・シズラー:使い捨てスプーン・フォーク・ナイフセットを30円で販売。
・シャトレーゼ:プラスチックスプーンを1本2円で販売。
・ファミリーマート:パスタの一部容器を再生可能な資源由来の「バイオポリプロピレン容器」に変更。
・ローソン:都内の一部店舗で、プラスチック製使い捨てスプーンを木製のものに変更。
また、環境省とセブンイレブンは、2021年の6月から7月にかけ、合同庁舎内のセブンイレブンなど6店舗で、プラスチック製の使い捨てスプーンやフォークを辞退した利用客に3ポイント(3円分)のnanacoポイントを付与する実証実験を30日間行い、客の反応や店員の負担などを調査しました。
2022年4月に施行予定の「プラスチック資源循環促進法」では使い捨てプラスチック製品を配っている小売店に、何らかの削減策を義務づけていて、有料化や代替素材への切り替えなどが検討されています。
また、対象となる店の規模や使い捨てプラスチック製品の具体的な内容は2021年秋をめどに決まる見通しです。一足先に有料化したレジ袋の現状は?
プラスチックごみ削減に関する有料化で思い出されるのはレジ袋です。
環境省の調査によると、2020年7月に始まったレジ袋の有料化に伴い、コンビニエンスストアで買い物した人がレジ袋を辞退する割合は75%だったことが分かりました。
有料化する前の辞退率は28%で、3倍近くの人が辞退するようになったということです。同様にスーパーでも辞退する人が57%から80%に増加。
レジ袋に関しては、国内で排出されるプラスチックごみの2%程度で、環境保護には意味がないという意見もあります。
また、環境省の調査では、日本に漂着するプラスチック類のゴミのうち、スプーン・フォーク・ストローなどのカトラリーが占める割合は0.5%(平成28年度)という調査結果もあります。
しかし数%だから放っておいていいということではありません。
世界のトレンドはSDGs(持続可能な開発目標)です。
そのSDGsには、「ウェディングケーキモデル」と呼ばれる概念があり、環境がすべての土台となり、その上に社会があり、環境と社会によって経済を支えることを表現しています。
これまで、環境と経済はトレードオフの関係で両立しないものとされてきましたが、今後は環境があってこその社会であり、経済活動である、という認識を持つ必要があります。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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