更新日:

飲食店の『まかない』は無料提供不可?まかないでスタッフを獲得する方法

飲食店の『まかない』は無料提供不可?まかないでスタッフを獲得する方法_記事画像

美味しい"まかない付き飲食店"でのアルバイトは、今も昔も人気があります。
その理由としては、1食分の節約になる、プロの味がタダで食べられる……といったものが多いようです。しかしこのまかない、実は、タダで提供するわけにはいかないのです。
飲食店経営者として知っておきたい、まかないのルールについて、チェッしていきましょう。

"まかない"を無料で提供すると税金を取られるってホント?

余った食材を利用したり、あるいは、店で出しているメニューと同じものを作ったりとまかないのスタイルは店によってさまざまです。
多店舗展開している飲食店などでは、まかないの料金を給与から差し引いて支給しているケースが一般的のようですが、個人経営の小さな飲食店では、なんとなくタダで提供しているというケースもあるようです。しかし、まかないは税務上、報酬と同じ扱いなのです。

"まかない"を無料で提供すると税金を取られるってホント?

要注意!現物給与とは

現物給与とは、労働の対価として、商品や食事で支給すること。つまり、飲食店にとっての"まかない"(=食事)はこの現物給与にあたり、所得税や住民税の課税対象となるのです。

まかないが課税対象にならない2つの条件がある!

まかないを「現物給与」ではなく「福利厚生費」として計上すれば、課税の対象になりません。しかし、そのように処理するには一定の条件がつきます。
まかないを課税対象から外すための条件として、国税庁のウェブサイトには、以下のような記述がありあます。役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば給与として課税されません。

1.使用人、役員が食事の価額の半分以上を負担していること。
2.次の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。
(食事の価額)—(役員や使用人が負担している金額)
つまり、1食400円のまかないならば、
1.使用する側の飲食店側が、従業員のまかない金額の200円を負担
2.200円×14回=2800円(3,500円以下)
で、2つの条件をクリア。よって、課税対象からは外れ「福利厚生費」として処理が可能ということになります。
従業員の懐事情を思うとまかないくらいは無料にしてあげたいと思ってしまいがち。しかし、無料としてしまうことで、従業員本人が負担する所得税と住民税が増えることになってしまうのです。

まかないの有無がアルバイト選びのポイントに?

学生やフリーターにとって「まかない付き」は、今も昔も大きな魅力です。
このまかないの有無をアルバイト選びのポイントとしている人も多いようです。しかし、先述のとおり、まかないは税務上、無料で提供すると課税対象となってしまいます。また、余った材料を利用すると言っても、材料はもともと店がお金を出して仕入れているものです。
従業員を採用する際はまかないは、無料ではないということを面接時に説明し、希望する人にはまかないの金額を給料から天引きするということをあらかじめ、きっちりと伝えておくことが必要です。

まかないの有無がアルバイト選びのポイントに?

いまさら有料にできない??有料化して、従業員に文句を言われないためには?

まかないについてのルールは、飲食店によってさまざまです。しかし、そのルールを従業員に理解してもらえない場合、スタッフとの信頼関係が崩れてしまうことも十分に考えられます。例えば「まかない料金はお給料から天引き」、「14回までは、200円。それ以降は、400円」など、わかりやすく明確に提示しましょう。また、これまで無料で提供していた場合は、給料そのものに、まかないの分の金額を上乗せすれば、従業員の手取り給与額にはそれほど響きません。
まずは、まかないについての明確なルールを作り、理解を深めてもらうことから始めましょう。

"まかない"が仕事にもたらすメリットとは?

最近では「まかないフェス」が開催されるなど、飲食店関係者以外からも注目を集めているまかないですが、従来は、調理は若手従業員が担当し、店長や料理長が味見をして評価をするという、いわば修業の場という意味合いも兼ねていました。しかし最近では若手とベテランの区別なく順番制や担当制をとっている店や、メニューの味を覚えさせるという教育的な観念から、料理長が自ら作って提供する店などもあり、そのスタイルは店によってさまざまです。
このように、まかないは、従業員の成長や提供する料理のレベルアップなど、飲食店にとっては大きなメリットが期待できます。

"まかない"が仕事にもたらすメリットとは?

お客様に正確な料理の説明ができるようになる

自分の店の味を知ることで、お客様に料理の説明をより正確にできるようになります。また使っている食材がわかっていれば、アレルギーを気にされるお客様にも配慮ができます。宗教上の理由で口にすることのできない食材が入っていないかを訊ねる海外からのお客様にも、自信を持って応じることができますし、使っている調味料がわかっていれば「小さなお子さんには刺激が強いかもしれない」といったアドバイスもできます。
このような接客は、お客様とのコミュニケーションにも繋がり、お店の信頼にも繋がっていきます。

仕事に対するモチベーションアップ

まかないの調理は、従業員が自分の腕を試すチャンスの場です。同じ厨房内で働く料理のプロや、プロを目指す同志たちが口にするので、その反応や味の評価を、即時に自分の糧とすることができます。また、使える材料や予算が決まっている場合は、日々の仕入れやメニューの組み立てを、自分自身の頭で考えるきっかけにもなります。

従業員同士のコミュニケーション

今も昔も「同じ釜の飯を食う」ことは、仲間同士の連帯感や結束力を高めます。また、飲食店では、厨房内のムードがよくなれば、売り上げが伸びるとも言われています。従業員同士のコミュニケーションが良好でスムーズに取れていれば、離職率も低くなり、求人にかけるさまざまなコストも削減することができます。

「まかない廃止」も検討の余地あり

まかないは、1食単位で考えると少額に感じますが、スタッフが多くいる場合など、大きな負担となる場合があります。そのような飲食店では潔く「まかない廃止」を検討することも一案です。
もちろん、余った食材を使うことは、食材の廃棄ロスを減らすためにも重要なことです。しかし、仕入れた食材はすべて「お客様のためのもの」という感覚を、従業員が持つことは、決してマイナスなことではありません。というのも、ある洋菓子店では、売れ残ったケーキなどの商品を従業員が持って帰ること、従業員価格(割安)で購入することを禁止しています。オーナーによると、従業員には、自分の店の味が「定価に見合っているか」そして「お客様からいただく対価として見合っているか」を、常に意識させたいとの強い思いがあるのだそう。
徹底したポリシーを持ったこの洋菓子店は、従業員同士の雰囲気もよく、今では行列のできる人気店となっています。飲食店にとってのまかないのスタイルは自由です。自分の店にあったまかないのスタイルを見つることが、繁盛店への近道となっているかもしれません。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

canaeruは年間300件以上の開業サポート実績!

メールアドレスの登録で
開業までのサポート完全無料で受けられます!

個人情報の取り扱いについて

メールアドレスを入力してください

無料会員登録でできること
① 「日本政策金融公庫」の創業融資をはじめとする資金調達の相談が出来る!
② 開業時に必要な事業計画書の作成サポートが受けられる!
③ 店舗開業や運営に関するさまざまな疑問点・お悩みを何度でも相談可能!
※ 金融機関出身者、元飲食店オーナーら店舗開業のプロが対応します

PAGETOPへ