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【第2回:カナエタあとの方が大変!?儲かるためにおさえるべき5つのポイント】借り入れは税引後で返済している

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独立・起業し、飲食店などのお店を開業することは、「自分が考えたコンセプトやテーマに沿った"完全自分オリジナル"の〇〇を、お客さまに提供し、それによって報酬を得る」という夢の仕事です。
その夢の仕事を継続させるためには、自分オリジナルの〇〇を産み出す作業よりも、お店という組織を経営するという作業の方が、圧倒的に多いのです。
残念ながら、このポイントを少なく見積もって開業してしまう開業者が多いのが実情です。
canaeru(カナエル)では、忙しい開業予定者のために、「まずはこれだけ抑えておけば経営は継続する」というポイントまとめてみることにしました。
たくさんの経営本のどれを読めばいいのか分からない、セミナーなどで勉強する時間がない…という方に、まずはこれだけでも抑えてほしいポイントは5つです。
起業して会社経営、美容院や飲食店も開業。あらゆる業態を事業化し、成功させてきた株式会社グリーンツリー代表・森田健太郎氏が解説します。

第2回目は、税金について、知っているか?知らないか?で、経営に大きな差が出ること、知らないことで起こる廃業が多いことの実態を見てみましょう。

800万円以上の利益に対して掛かる税率は40%

森田:多くのお店はリースや銀行からの借り入れで出店をしています。自己資金だけで出店をしているケースは非常に少ないと思います。
たとえば銀行から3千万円を借り入れ、出店したとします。返済期間は5年とし、利息を無視すると、1年間での返済は600万円です。
この600万円は毎月銀行口座から自動的に引き落とされるため、ほとんどの経営者は税引後の利益で払っているという認識がありません。そもそも3千万円を銀行から借りた際、まるまる3千万円が入金(印紙代等は無視)され、税金がかかっていないわけですから、返済は法人税等を払ったあとのお金、つまり税引後で行われているのです。
これをきちんと理解していないと、税金が来たときにその金額を見てビックリしてしまうわけです。

現在、法人税減税が行われていますが、法人事業税を含めると、経常利益(正確には税引き前利益)の40%は税金として収めなければなりません。つまり3千万円を返済するには、40%を税金に持っていかれるため、5千万円の利益を出さなければならないのです。
繰り返しますが、5千万の利益がなければ3千万円の返済ができないことを知っておく必要があります。
5千万円を5年間で叩き出すためには、1年で1千万円の利益を出す必要があります。現在の日本の税法では800万円以上の利益に対して最高税率がかかることから、年800万円の利益を出すだけで相当優秀な会社と言えます。
7割の会社が赤字と言われている中、年に1千万円の利益を出すことは、相当儲かっている会社でなければ出せない数値です。

最高税率が掛かる利益800万で税金を払うと、借り入れ返済が600万だった場合、もうショートしてしまう

1年に600万円を返済する場合、1ヶ月に換算すると50万円です。何とか頑張ってその返済をしたとしても、期末を迎え、決算となると、いきなり利益の40%である400万円もも法人税が来るわけです。
更に、銀行口座にはお客様から預かっている消費税が含まれています。消費税とは、消費者である個人の人から吸い上げた税金を法人が個人に代わって納税をしているもので、法人には一切関係がない税金です。
勘違いをしている経営者がいるのですが、消費税が上がる直前に法人がモノを買ったとしても、消費税が上がったあとに法人がモノを買ったとしても、法人には一切関係がありません。
法人は預かった消費税から支払った消費税の差額を納税するだけなので、消費税が何%になろうが、経営には関係がないのです。
しっかりと経理処理をしている会社は、この預かっている消費税から支払っている消費税分を差し引いた額を毎月別の銀行口座に入れています。そうすると、驚くほど実際にはお金を持っていないことがわかります。
つまり1つの口座で管理をしていると、その中には未払消費税も含まれているため、リアルな数字が見えないのです。

自己破産すれば借金はチャラ、でも、税金からは逃れられない

起業したばかりの頃は、従業員から預かっている所得税も半年に一度の支払のため、同じ口座に入っています。
そのため銀行にキャッシュがあるように見えるわけですが、期末を迎え、法人税400万円の納付書と、更には未払消費税分の納付書が税務署から送られてきて、その額に驚き、にっちもさっちもいかない状況となるのです。
変な話、サラ金から借りても自己破産すれば借金はチャラになりますが、税金は逃れられません。自己破産して税金もチャラになるのを認めると、国家が破綻してしまいます。
もし法人税が払えず遅延が起きると更に延滞税が発生します。平成26年1月から延滞税の利息は14.6%から多少下がりましたが、それでも2ヶ月以上の遅延はなんと9.2%です。とんでもない利率なのです。

更に追い打ちをかけるのが中間納税(中間申告)です。第二期からは、第一期に出した納税額の半分を第二期が始まって半年後に払わなければならないのです。
つまり第一期に400万円の法人税・事業税が発生していた場合、第二期も同じぐらいの利益は出るだろうからと、国家は第二期が始まって半年後に200万円を納税しろと言ってくるのです。
もし第二期の利益が最終的にゼロであれば、中間納税で納付した200万円は戻ってきますが、それが戻ってくるのは半年以上先です。
もし利益がゼロであれば、銀行への600万円の支払いができないことを意味します。繰り返しますが、3千万円を借りたということは、年1千万円の利益を出さなければ払えないのです。
この中間納税を知らずに、いきなり納付書が来て、納税ができないといったケースも後を絶ちません。

「利益を圧縮して税金を減らす」策でキャッシュを残す

大前研一氏の「この国を出よ」という書籍の中に、ユニクロの柳井氏との対談があります。そこで柳井氏は、「10億の利益を出しても6億税金で持っていかれる。半年後には3億の中間納税が来る。だから実際には1億しか残らないのと同じだ」と発言をしています。
当時は法人税が50%、法人事業税が10%だったため、合計で60%も納税しなければならなかったからです。これが経営なのです。
こういったことを知らずに経営をすることは、無謀以外の何ものでもありません。つまりひとつ目のポイントは「借り入れは税引後で返済している」ということをきちんと理解する必要があるということです。
ではどうすればよいのでしょうか?結論としては、キャッシュフローをよくするしかありません。
具体的に説明すると、利益を圧縮して税金を減らし、キャッシュを残して銀行への支払いもできるようにする手法です。
利益が1千万円よりも減ると銀行への支払はできませんが、減価償却をうまく使えば、利益を減らしてキャッシュを残す方法があります。

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■プロフィール

森田健太郎
1967年広島県生まれ。日本大学大学院理工学研究科物理学専攻博士前期課程修了後、KDDI株式会社に入社。1年間システムエンジニアを経験し、営業部門に異動。2年後、実績が新聞、雑誌などに多数取り上げられ、注文が殺到。東京支店達成率ナンバーワンに躍進。
1998年、ヘッドハンティングによって外資系ソフトウェア会社であるマカフィー株式会社に転職。1999年に日本でナンバーワンセールスとなり、2000年8月には世界ナンバーワンセールスアワードをハワイで表彰。同年11月、最年少部長に昇進。9四半期連続で目標達成という偉業を成し遂げる。
2001年、独立系ソフトウェアベンチャー企業にヘッドハンター経由で役員として転職。入社してわずか4年で売上を13倍にする。
2006年3月、株式会社グリーンツリーを設立。初年度からホームページを容易に制作できるソフトウェア販売(CMS業界)でトップレベルの会社に躍進させる。設立から現在までずっと黒字経営を続けており、2012年11月にはホームページ累計導入社数が1,000社を超える。
2011年11月、コンビニの5倍もある美容事業に参入し、一号店を3カ月で黒字化させる。
2017年11月現在、ホームページ導入社数は約2,000社、美容室は4店舗、一般社団法人 日本優良品協会 監事なども務める。

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