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【小阪裕司コラム】第144回:自動釣銭機の効果的な使い方とは

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

レジはお客さんとの会話の機会

 あなたがお店を経営しているとして、「自動釣銭機」を導入するとすれば、どんな目的で導入するだろうか。そしてそれをどのように使うだろうか。聞くまでもないような問いかもしれないが、これをあっと驚く使い方をした店がある。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある文具店からのご報告だ。
 同店では、店を大きくリニューアルしたことから、新たなレジを導入することとした。店主ら曰く今回は「奮発して」自動釣銭機付きのものに決めた。レジ導入の際、メーカーの方と設置場所について話していると、自動釣銭機を導入する最大のメリットは「お客さんに自分で会計作業をしてもらえること」と言う。レジ打ちは店側で行って、釣銭機の側をお客さんに向ければ、お客さんが自分で会計を完結させてくれる。トラブル防止にもなるとのことだった。ところが店主らの設置要望に、メーカーの方は驚いた。彼らはこう依頼したのだった。「自動釣銭機も、店側に向けて設置してください」。
 あなたは、この自動釣銭機の使い方を、何のためだと思うだろうか?店主らの狙いは次のようなことだ。彼らは、レジはお客さんとの一番の会話の機会と考えている。かといって、お客さんとの会話に集中し過ぎるとおつりを間違えやすいことは、店頭でレジ打ちを体験した人ならよく分かる。そこで自動釣銭機を使えば、話に集中しつつ、おつりも間違えない。彼らの話によれば、「今回自動釣銭機を導入したのは、お客様とゆっくりお話しするためでもあって」とメーカーの方に伝えたところ、目をぱちくりさせていたという。「レジのメーカーさんとは、お客様が自己完結してしまうことに何の魅力も感じないという話では、盛り上がれませんでした(笑)」。

自動釣銭機の導入で得たもの

 とはいえ、たしかにお客さんとゆっくり話ができるようにはなるだろうが、それがお店の業績にプラスになるのかどうか。無駄が増えるだけではないかと疑念を持つ方もいるだろう。しかし、店主らは言う。「自動釣銭機のおかげで、おつりの確認などに神経をはることなくお客様との会話に集中でき、ポイントカードの案内もスムーズです」。事実、このレジを導入して以降、カード会員の獲得件数は2.6倍になった。真の商売繁盛のためには、何に目を向け、決断し、やるべきか。大いに示唆に富んだ話である。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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