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【小阪裕司コラム】第85回:こういう相手に出会ったとき2

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

購入してもらうために続けていること

 前回、リサイクル・リユースショップでの、買取の話をした。新規客と短期間に急速に信頼が深まり、任せられ、紹介までしてもらえた話だ。人がそのように、信頼できる、任せられると思う決め手は何だろうか?そこで今回は、この問いの答えにも通ずる、こういう話をしよう。
 今回の報告は、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の不動産業、同社営業社員のお一人からのものだ。彼曰く、不動産の購入は一生に一度の大イベント。初めて会うお客さんには緊張している方が多く、売りつけられないか、しつこく営業されないか、などの疑念も持っている。
 そんななか、彼も以前はお客さんの希望を聞き、物件を案内して、買う・買わないの判断をしてもらう、そういう定型の仕事の流れだったという。しかしワクワク系を知り、この考え方を吸収する中で、「あなたから不動産を買いたい」と思ってもらいたい、と考えるようになった。そんな彼が3年前から始め、続けていることがある。それは、初回面談時での自己紹介だ。

自己紹介がお客様との距離を縮める

 毎回冒頭に、「本日ご来店を頂いた目的は不動産のご相談であることは承知しておりますが、担当をさせていただく私の自己紹介をさせて下さい」と切り出すところから面談は始まる。そこで出される資料は不動産の資料ではなく、彼自身の資料だ。書かれているのは、出身が島根県であることや、剣道3段であることなど。多くの方は、「不動産の話を聞きに来たけど、自己紹介が始まるのは予想外だ」といった反応をするそうだが、そこで笑いも取りながら、自己紹介は5分から10分続く。その後ようやく、会社の実績や業務などについての説明となるのだが、この自己紹介、この3年間で拒否されたことはないという。「自己紹介をしてから不動産の話に入るのと入らないのとでは、お客様との気持ち的な距離感が違う」と彼。
 最近嬉しかったことは、2年ほど前に面談し、その後なかなか希望に沿う物件が見つからなかったお客さんが、2年前の初回面談のことを覚えており、「剣道やってた人だよね!」と言ってくれたこと。このお客さんには無事中古戸建をご購入いただき、リフォーム工事まで全部任せてもらったとのこと。
 さて、ここでもう一度問いたい。人がお店や営業担当者に、この人から買いたい、任せたい、と思う決め手、その気持ちを短期間に急速に築く決め手は何だろうか?

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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