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「ガチ中華」ブームが到来中!急増の理由や人気料理を解説

「ガチ中華」ブームが到来中!急増の理由や人気料理を解説

最近、本場中国の味「ガチ中華」を提供する店が全国で急増していることをご存知でしょうか。テレビや雑誌でも多く取り上げられ、「海外旅行気分を味わえる」「新たな食体験が楽しめる」と若者を中心に人気が高まっています。
この記事では、ガチ中華の特徴や人気の理由を解説するとともに、ガチ中華が多く集まるエリアや代表的な料理についても詳しくご紹介します。

ガチ中華とは

ガチ中華とは、日本人の好みに寄せていない本場の中国料理のことです。中国語圏から日本へ移住してきた人々が故郷の味を懐かしみ、提供するようになった本場の味であり、オーナーも調理・配膳スタッフも中国語圏出身であることがほとんど。
これまで日本人が親しんできた中華料理とは相当異なり、中国4大料理(北京料理、上海料理、広東料理、四川料理)以外の、日本ではなかなか味わえない中国の地方料理が楽しめるのも魅力です。

ガチ中華の店内では中国語が飛び交い、自分以外の客が全て中国語圏の人々ということも珍しくありません。日本語メニューがない場合も多く、会計が中国式でシステムがよくわからない、内装や外装が過剰で入りにくいといった点も「本場感」を感じるポイント。日本にいながら中国での旅行気分を味わえる場として、日本人からの人気も高まっています。

「中国料理」と「中華料理」は別物

「中国料理」とは、本場中国で食べられている本格的な料理を指します。一口に中国料理といっても、地域によって味も調理法も大きく異なるため、中国では「四川料理」や「広東料理」のように、地域ごとに料理を分類して呼ぶことがほとんどです。

その一方で、「中華料理」とは、中国料理を日本人の味覚に合わせてアレンジした中国風の料理を指します。例えば、日本の中華料理店で定番の「焼き餃子」「天津飯」「中華丼」「エビチリ」「ラーメン」は全て日本発祥の料理で、中国には存在しません。
また、四川料理の代表格である「麻婆豆腐」も、中華料理では日本人の舌に合わせて辛さや痺れが抑えられていることがほとんど。それゆえ、中国語圏の人々には物足りない、中国の麻婆豆腐とは別物だという意見がよく聞かれます。

ガチ中華の人気が高まる背景

在日中国人の増加

日本で暮らす在日中国人は年々増加傾向にあり、 それに伴って中国語圏の人々をターゲットとするガチ中華店のニーズが高まってきたとみられます。
昨今のコロナ禍では母国への帰省が難しい状況となりましたが、ガチ中華店へ行けば故郷の味が食べられると在日中国人の間で大きな話題に。中国版Instagramとして人気のSNS「小紅書(RED)」でも、在日中国人がガチ中華店での写真や動画を投稿し、拡散されている様子が見受けられます。

コロナ禍で日本人からの注目度もアップ

当初は中国語圏の人々をターゲットとしていたガチ中華ですが、テレビや雑誌、ネット記事などで取り上げられたことをきっかけに、日本人からの注目度も高まってきました。
2019年11月、東京・池袋にオープンした中国料理専門のフードコート「友誼食府(ゆうぎしょくふ)」は、ガチ中華ブームの先駆け的な存在。コロナ禍でも日本にいながら海外旅行気分が楽しめると、日本人にも大人気のスポットになりました。中国語が飛び交う異世界な店内に入り、中国語表記のメニューから内容を想像し、どんな料理が出てくるかわくわくしながら待つのも楽しいのだとか。
今まで知らなかった中国の家庭料理や地方料理を楽しめるほか、コロナ禍で外食に非日常を求める傾向が強まったこともあり、新たな食体験ができる場所としても支持を集めています。

ガチ中華が多く集まるエリア

東京近郊では、以下のエリアにガチ中華店が多く集まっています。

・池袋/新宿エリア(池袋/高田馬場/新大久保/新宿)
・上野/御徒町エリア
・錦糸町/小岩エリア
・蒲田エリア
・西川口エリア

これらのエリアは在日中国人が多く暮らす地域であり、ガチ中華のニーズが高い傾向にあります。最近ガチ中華の出店が盛んな高田馬場は、中国人留学生が多く通う早稲田大学が近く、中国人向けの日本語学校も多いのが特徴です。
現在、東京都内にはガチ中華店が少なくとも300店舗以上あるとみられ、さらに大阪、名古屋、福岡など全国にも広がっています。

特に、ガチ中華ブームの火付け役となった「池袋」 にはガチ中華店が集中し、池袋駅の北口から西口にかけて、本場の中国料理店が軒を連ねる一角があります。
2019年に「友誼食府(ゆうぎしょくふ)」がオープンしたのを皮切りに、2021年には「食府書苑(しょくふしょえん)」「沸騰小吃城(ふっとうシャオチーチェン)」と中国料理専門のフードコートが続々とオープンし、盛り上がりが過熱しています。

■友誼食府(ゆうぎしょくふ)
2019年11月のオープン以来、中国語圏の人々が足繁く通う、ガチ中華ブームの先駆け的存在。フードコート内には6店舗が並び、上海、四川、台湾など各地の料理を提供しています。会計システムが独特で、料理の注文を店舗スタッフに伝えた後、入口にあるレジで料金を専用ICカードにチャージ。注文した店舗にそのICカードを手渡して、料理を受け取る流れとなっています。

■食府書苑(しょくふしょえん)
2021年6月、友誼食府と同じビルの2階にオープンした、約50席の広々とした大型フードコート。四川、雲南、西安など各地の料理と台湾タピオカの全7店舗が並びます。フードコートに併設されている書店前のレジで一括オーダーし、レシートを店舗スタッフに渡して料理を受け取ります。

■沸騰小吃城(ふっとうシャオチーチェン)
2021年9月にオープンした、福建、上海、東北、重慶、湖南、湖北、雲南の中国各地の名物メニューを味わえるフードコート。小吃(シャオチー)と呼ばれる一品料理が中心で、さまざまな地方料理を少しずつ食べ比べることも可能です。席に用意されているQRコードを読み取りスマートフォンで注文、受付で会計を行うスタイルとなっています。

ガチ中華の代表例

四川料理

ガチ中華の代名詞といえるのが、麻辣(マーラー)と呼ばれる痺れるような辛味が特徴の四川料理です。日本の中華料理にはない、本場中国のガチな辛さを体感したいという方に人気です。

「麻辣湯(マーラータン)」は、唐辛子や花椒などの香辛料と野菜、肉などを煮込んだ、汗が噴き出るほど激辛な四川省発祥のスープ料理です。都内で複数店舗を展開している量り売りスタイルの「七宝麻辣湯」をはじめ、麻辣湯を提供する店が急増中。ガチ中華人気を牽引する存在となっています。
麻辣湯は韓国でもブームになっており、韓国国内や日本最大のコリアンタウン・新大久保でも麻辣湯を提供する店舗が増えています。

「四川火鍋」は、四川料理を代表する激辛鍋料理。唐辛子や花椒、豆板醤などを入れたスープに豚肉や野菜、鴨血(アヒルの血を固めたもの)などを入れて煮込み、ごまだれなどにつけて食べます。大量に投入された唐辛子の赤さを見ただけでも、本場中国のガチな辛さが想像できます。串に刺した食材を火鍋スープにひたして食べる「串串香(ツァンツァンシャン)」も人気です。

東北料理

日本ではあまり馴染みのない「東北料理」ですが、中国の東北地方やモンゴルといった寒さの厳しい地域の定番食材は羊肉。中でも有名なのは、羊をぶつ切りにし、クミンや唐辛子などのスパイスをふりかけて焼いた串焼きの「羊肉串」です。
今では中国の街角や屋台街で頻繁に見かけるグルメとなりましたが、元々は東北地方発祥の料理で、臭みもなく食べやすいと日本人にも人気があります。

湖南料理

中国の激辛料理といえば四川料理のイメージが強いですが、中国一辛い地方料理といわれるのが「湖南料理」です。四川料理の辛さは「麻辣」なのに対して、湖南料理は「酸辣」といわれ、辛味と酸味を合わせた味付けが特徴となっています。

日本人がよく知っている湖南料理と言えば「酸辣湯」が有名です。日本では酸辣湯麺として麺を投入して食べることも多いですが、実は酸辣湯麺は日本発祥の料理。本場中国では酸辣湯スープの中に麺を入れて食べる習慣はなく、具材の一つとして春雨を入れて食べるのが一般的です。

「辣椒炒肉(ラージャオチャオロウ)」は、豚肉と青唐辛子を甘辛く炒めた湖南料理で、回鍋肉とよく似た見た目をしています。青唐辛子の辛味に加えて、醤油のコクとたっぷりの油が食欲をそそり、白ご飯が進みます。家庭料理としても愛されているおふくろの味です。

「剁椒魚頭(ドゥオジャオユィトウ)」は、湖南料理を代表する魚料理。縦に切った淡水魚の頭に、剁椒という塩漬け唐辛子をかけ、蒸し焼きにした一品です。剁椒は、刻んだ生の唐辛子、にんにく、ショウガ、砂糖、塩、酒を混ぜ合わせて5日ほど漬け込んだもの。淡白な味わいの魚と酸味の効いたまろやかな辛さがクセになり、一度食べ始めると箸が止まらなくなります。

「口味蝦(コウウェイシャ)」は、グツグツと煮える鍋に、たっぷりのザリガニと唐辛子、生姜、スパイスが入った定番の屋台料理です。日本では馴染みのないザリガニ料理に抵抗を感じる方も多いかもしれませんが、辛味スープを絡ませることで臭みも感じづらく、プリプリ食感がクセになります。

ご当地麺や小吃も

地域ごとに異なるご当地麺や小吃(軽食)も、ガチ中華で楽しみたいジャンルです。

「ビャンビャン麺」は、中国陝西省の西安を中心に食べられている麺料理。小麦粉、水、塩を原料に作られる太く平たいきしめんに似た形状と、一文字の画数57という難解な漢字でも有名です。

「過橋米線(カキョウベイセン)」は、中国雲南省を代表する麺料理。お椀に入った熱々のスープに「米線」というお米で作られた麺、野菜、肉を入れていただきます。同じ米から作られるビーフンやフォーとはまた違ったもちもち食感が特徴で、中国では若い世代に人気のファーストフードになっています。

「煎餅果子(ジェンビングオズ)」は、天津、北京、山東省などで親しまれる中国式のクレープ。焼き立てのクレープに甘辛いみそを塗り、卵やレタス、ねぎ、ソーセージなどを巻いて食べます。朝食やおやつとして食べられることが多く、今では中国全土の屋台や、世界のチャイナタウンにも広がっている人気の小吃(軽食)です。

ガチ中華ブームをヒントに、新たな店舗施策を

中国語が飛び交う店内で、本場中国の料理と雰囲気を楽しめる「ガチ中華」。コロナ禍がようやく落ち着き始め、海外旅行にも行きやすくなってきたものの、手軽に旅行気分を味わえる、本場中国を体験できる点では価値が高く、ガチ中華ブームはまだまだ盛り上がると予想されます。

飲食店開業を検討している方はもちろん、既存の飲食店においても、ブームの理由やその後の動向を追い続けることはとても大切です。「旅行気分・非日常感が楽しめる」「新たな食体験ができる」といったガチ中華ブームの理由もヒントに、新たな施策を練ってみてはいかがでしょうか。

ライター:上田はるか(フリーライター)

大学卒業後、輸入食品商社に勤務し、新規店舗の立ち上げや自社直営ティーサロンのメニュー開発を経験。その後、大手ギフト会社の企画開発部、広報宣伝部を経てフリーランスに。現在はWEB媒体をメインに、食ジャンルの原稿執筆を行う。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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