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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
自分たちが提供しているものの価値を考える
今回は、「値上げ」にあたって社内で猛反対が出たある会社が、トップのある一言でがらっと変わり、結果、スムーズな値上げが行えた、という事例をご紹介しよう。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある清掃会社でのことだ。
同社は、企業のオフィスや店舗などに清掃のサービスや玄関マットなどを提供している。ご多分にもれず、価格を上げざるを得ない局面にあり、上げるべきか否か、上げるとしたらどれくらい上げるのか、社内では侃々諤々の議論がなされていた。そこに経営陣としては3割から4割の値上げを考えていると伝えると、多くの社員から「そんなに上げたら、顧客が離れてしまう」との声が次々と上がった。
その猛反対の中、同社トップは社員らにこう問いかけた。「あなたたちが提供しているものは、その程度の価値しかないものなのか?」。
そうしたところ、空気が変わった。社員の視点が価格から、「自分たちが提供しているものの価値」に変わったのだ。その結果、議論はまったく違う展開を見せた。自分たちが提供しているものの価値を見直し、どんなところが評価されているか再認識し、ならばもっと価格を上げてもいいはずだという流れになっていった。中には、「いっそ5割くらい上げてもいい!」という声さえ出てきた。社員のモチベーションも一気に上がったという。
この物価高騰の中、値上げするかどうか、上げるとしたらどれくらい上げるのか、誰もが悩ましいところだろう。その議論の中では、得てして価格にばかり目が行きがちだ。しかし、そんな状況だからこそ、「自分たちの提供する価値」に目を向けることが重要だ。「価格」は「価値」に従う
拙著『「価格上昇」時代のマーケティング』にも書いたように、『「価格」は「価値」に従う』。ゆえにその価値はお客さんに伝わらなければならず、そうでなければ価格は通らないのだが、今回の例ように、往々にして自分たちの「価値」ははっきりと意識されていない。そして、意識されていなければ、それがお客さんに伝わることはない。
今回の例の会社では、この後、順次値上げを行っているが、いずれもスムーズに進んでいるという。自分たちの「価値」を明確にし、意識し、伝えていくこと。それが、「価格上昇時代」を力強く生き抜くためのセオリーなのである。〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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