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開業に必要な初期費用とは?お金のトラブルを防ぐために調達方法を知ろう!

開業に必要な初期費用とは?お金のトラブルを防ぐために調達方法を知ろう!

開業を目指すにあたり、必要な資金を事前に準備するのは重要なことです。しかし、具体的にどれくらいの金額が必要なのか知っていなければ、開業に向けた一歩を踏み出すことを躊躇してしまうでしょう。

開業は一朝一夕で行えるものではなく、時間をかけて進めていく必要があります。開業に必要な資金をすべて自己資金でまかなうことが難しい場合は、何らかの方法で調達しなければなりません。

この記事では、開業資金として具体的に必要な金額や自己資金および開業資金の調達方法などについて説明します。

開業を目指すものの必要な資金の額がわからず不安な方は、この記事を参考にしつつ、計画をしっかりと立てて開業の準備を進めていきましょう。

参考記事:起業に必要な資金はいくら?使える資金調達方法を紹介

開業に必要な2つの費用

開業前に必要な資金は、「開業資金」と「運転資金」の2つに分けられます。

それぞれの資金の詳細について、詳しく解説します。

●開業資金

開業資金とは、開業するにあたり準備する事柄に関してかかる費用を指します。

具体的な中身としてまず挙げられるのが、家賃・敷金・礼金・リフォーム費用といった物件に関わる費用です。

さらに、設備や備品の導入・購入費、仕入れに必要な費用、広告費用、ネットの契約費用なども開業資金に含まれます。開業の形態によっては、フランチャイズの加盟費用なども必要です。

●運転資金

運転資金とは、事業を開始して当面の間の出費をまかなうための資金を指します。事業を始めても、すぐに売り上げや利益を上げられるとは限らないため、現金の準備をしておくことが必要不可欠です。

また、売り上げがあったとしてもそれが売掛金という形である場合は、実際に入金されるのは2~3ヶ月後となり、その間の家賃や人件費などは、自己資金からまかなわなければなりません。

さらに、自身の生活費や融資に対する返済原資も、運転資金として確保しておく必要があります。

開業資金として具体的に必要な金額とは?

開業するにあたり、具体的にどれくらいの金額を用意する必要があるのかという点は、開業を目指す方にとっての懸念点でしょう。

ここからは、開業資金の目安や平均について詳細を説明します。

●開業資金の平均的な金額

日本政策金融公庫総合研究所が2020年7月に行った調査によると、開業資金の平均値は989万円、中央値は560万円でした。

また、実際にかかった開業資金の割合を見てみると、「500万円未満」が47.3%で最多、次いで「500万円~1,000万円未満」が27.3%となっています。

多額の開業資金を必要としない業種もあるため一概には言えないものの、平均値と中央値から考えると、数百万円を用意したうえで開業を目指すのが安心と言えそうです。

店舗を有する業種からパソコンひとつで開業できる業種までさまざまですが、店舗が必要な業種として飲食店を例に挙げて説明します。飲食業の開業に必要な費用の内訳は、おおむね以下のイメージです。

・ 店舗(物件)の初期費用
・ 内外装費用
・ 厨房機器などの導入費用
・ 家具や食器などの購入費用

店舗の初期費用には、保証金(家賃の10ヶ月分程度)、礼金(家賃の1ヶ月分程度)、仲介手数料(家賃の1ヶ月分程度)、1~2ヶ月程度の前払い分の家賃などが含まれており、合計すると約1年分の家賃程度となります。

家賃15万円の物件を契約したとすると、店舗の初期費用としてはおよそ200万円弱程度の金額が必要です。

内外装工事と厨房機は店舗の規模にもよりますが、10坪程度なら500万円~1000万円前後を見込んでおくとよいでしょう。家具や食器の購入費用は30万円前後が目安となりますが、ブランドやデザインにこだわるのであれば、それ以上の費用が必要になるかもしれません。

これらを合計すると1,000万円前後の開業資金が必要となり、それに運転資金を加えた合計金額を用意することになります。

また、同じく店舗を有する美容院の開業に必要な費用の内訳およびその金額は、おおよそ以下の通りです。

・ 店舗の初期費用:約200万円
・ 内外装費用:約500万円
・ 機器や什器などの導入費用:約200万円
・ 合計:1,000万円弱程度

店舗の初期費用は、立地や物件の規模によって若干変動します。開業を検討している業種でどれくらいの開業資金が必要になるかを踏まえたうえで、資金の準備を進めましょう。

●用意すべき運転資金の金額

運転資金は、基本的に半年分程度用意しておくと安心と言えます。事業を継続するために必要な金額が1ヶ月で30万円なのであれば180万円前後、50万円なのであれば300万円前後を用意しましょう。

開業に必要な資金をすべて自分でまかなうのは難しいケースも多いと思いますが、その際には金融機関からの融資でまかなうこととなります。しかし、6ヶ月分の運転資金をすべて金融機関から借り入れるのは難しいのが現実です。

ある程度の金額は自分で用意し、足りない分を融資などでまかなう形が一般的となっています。

関連記事 開業・起業に必要な資金はいくら?資金調達方法や使える助成金・補助金・融資制度を紹介

自己資金の調達方法

起業するにあたって、自己資金を多めに用意できているほうが経営の安定感が増すことは間違いありません。

自己資金を調達する6つの方法について、詳しく説明します。

関連記事 開業・起業に必要な資金はいくら?資金調達方法や使える助成金・補助金・融資制度を紹介

●貯金をする

コツコツと貯金をして開業に向けての資金を貯めることが、自己資金の調達方法としてはもっとも真っ当な方法と言えるでしょう。

開業したい時期から逆算して、貯金を始めるタイミングや毎月貯金する金額を決めることが重要です。

●退職金を利用する

前職を辞める際に受け取ることができる退職金を利用するのも、自己資金を調達する方法のひとつです。

企業によって退職金が支給されるタイミングは異なりますが、一般的には退職から1~2ヶ月後程度で受け取ることができます。

前職での勤務期間にもよるものの、貯金よりもまとまった資金をまとめて調達できる点がメリットです。

●保険を解約する

保険を解約すると、加入期間や支払ってきた保険料に応じて解約返戻金を受け取ることができます。退職金同様に、まとまった資金を一気に調達できる方法です。

ただし、解約してから新たな保険に加入するまでは未加入の状態となり、その間の保証は何もないことには注意しなければなりません。

また、保険を解約した時に受け取れる「返戻金」の制度が設けられていないケースもあるため、ご自身の契約内容を確認したうえで保険の解約を検討しましょう。

●株式や投資信託を売却する

資産形成のために株式や投資信託を保有しているのであれば、その一部を売却することで資金調達を行う方法も考えられます。

しかし、株式や投資信託を売却することで得られる利益は、売却時の相場に大きく左右される点には注意が必要です。相場の変動を加味したうえで、売却のタイミングを見計らうことをおすすめします。

●不動産を売却する

不動産を保有していれば、それを売却することで十分な資金を確保できるでしょう。不動産を売却せずに担保として借り入れを行えるローンも選択肢のひとつです。

ただし、売却を行うにしても、不動産は株式や投資信託とは異なりすぐに売却できるとは限らず、希望通りの金額で売却できない可能性もあります。

想定よりも低い金額での売却になりそうな場合、それでも自己資金確保のために売却するか、それとも不動産を担保として融資を受けるかなど、あらかじめ決めておくことが望ましいです。

●両親や知人などから贈与を受ける

両親や知人から贈与という形で援助を受けて資金を用意するのも、自己資金を調達する方法のひとつです。

開業する本人と贈与してくれるお相手との関係性のうえに成り立つ方法ですが、贈与には「贈与税」という税金が課される点には、注意しなければなりません。

一般的には1年間の贈与金額の合計が110万円以下であれば贈与税は発生しませんが、条件によっては贈与税が課されるケースもあるため、贈与を受ける際には税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

開業資金の調達方法

業種によっては多額の開業資金が必要となるため、そのすべて自己資金でまかなうのは難しいでしょう。一部は自己資金でまかないつつ、それ以外の何割かはほかの方法で用意するのが一般的です。

ここからは、開業資金を調達する具体的な方法を説明します。

開業資金の調達方法

●日本政策金融公庫から融資を受ける

日本政策金融公庫は政府出資の金融機関で、個人事業主や中小企業の支援を主な目的としています。

開業資金を調達する場合には、「新創業融資制度」や「中小企業経営力強化資金」といった制度を利用するとよいでしょう。

新創業融資制度とは、新たに事業を始める時に利用できる制度のことで、3,000万円を上限(うち運転資金は1,500万円以内)に融資を受けることができます。

ただし、創業資金総額のうち10分の1以上を自己資金として用意できていなければ、融資を受けられません。事業をはじめるにあたって1,000万円が必要なのであれば、少なくとも100万円は自己資金で用意する必要があります。

中小企業経営力強化資金とは、市場の創出や開拓(新規開業を含む)を行う場合に利用できる制度で、7,200万円を上限(うち運転資金は4,800万円以内)に融資を受けることができます。

返済期間は設備資金が20年以内(うち据置期間2年以内)、運転資金が7年以内(うち据置期間2年以内)となっているため、余裕を持って返済できるでしょう。

どちらも便利な制度なので、条件をクリアできるのであればぜひ利用を検討してください。

●自治体の融資を利用する

都道府県や市町村といった自治体が、開業支援のための融資制度を設けている場合もあります。

たとえば東京都では、新規の創業資金や創業後の事業資金として利用できる「創業融資」を設けており、「自己資金に2,000万円を加えた金額の範囲内」の融資を受けることが可能です。

返済期間は、設備資金が10年以内(うち据置期間1年以内)、運転資金が7年以内(うち据置期間1年以内)と、余裕を持って設定されています。

しかし、自治体によって制度の内容は異なり、このような制度自体がない場合もあるため、居住地における制度の有無および内容を理解したうえで、利用すべきか検討しましょう。

●補助金や助成金を利用する

国や自治体が設けている補助金や助成金も、開業資金の調達に役立つ方法です。融資とは異なり、調達した金額を返済する必要はありません。

補助金と助成金の違いはほとんどありませんが、補助金は予算があらかじめ決められているため「最大何件・何円まで」という決まりがあり、場合によっては申請しても受給できない可能性があります。

一方の助成金は、受給するための条件が設けられており、それをクリアしていればほぼ確実に受給することができます。

補助金を受給したいのであれば、申請件数や申請状況などをチェックしたうえで、余裕があるうちに申し込みましょう。

●銀行などの民間金融機関から融資を受ける

開業資金を調達するには、銀行や信用金庫といった民間の金融機関から融資を受ける方法もあります。

連帯保証を受託してくれる「信用保証協会」の保証付き融資を利用するケースが大半なので、金融機関だけではなく、信用保証協会の審査も通過しなければなりません。

また、民間金融機関は、利益の追求を目的として民間の資本によって営まれているため、融資を受けるハードルが少し高めになっていることは覚えておきましょう。

●ビジネスローンを利用する

銀行やノンバンクなどが取り扱っているビジネスローンを利用して、開業資金の調達を行うこともできます。

とくにノンバンクのものは最短即日での融資が可能な場合もあり、資金調達を急ぐ時には重宝するでしょう。

ただし、日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資などと比較すると、金利の設定は少々高めになっています。利用するのであれば必要なだけ調達し、計画的に返済していくことが重要です。

●クラウドファンディングで資金の出資を募る

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から出資を募ることができるサービスです。

事業の内容に共感してくれる方がたくさんいれば多くの資金を調達できるうえに、融資ではないので出資者への返済も不要となっています。

出資者に対してリターンを設定するケースが多く、魅力的なリターンを設定することで多くの出資が集まる可能性が高まるでしょう(例:1万円の支援でオリジナルグッズを贈呈、など)。

ただし、事業の内容が魅力的でないと判断されたり、設定してあるリターンに興味を持ってもらえなかったりすると、想定していたほどの金額を調達できない可能性もあることは念頭に置いておいてください。

また、掲載するプラットフォームに対して一定の手数料が発生するため、手数料の金額について事前に調べることをおすすめします。

●ベンチャーキャピタルから出資を受ける

ベンチャーキャピタルとは、出資自体を事業としている会社のことを指し、ベンチャーキャピタルから出資を受けることができれば多額の費用を調達できます。

しかし、出資を受けるためには、事業内容や将来性などに関する厳しい審査を乗り越えなければなりません。

簡単に資金調達できる方法ではありませんが、事業内容に自信があってまとまった金額を必要としている場合にはおすすめの方法です。

●家族や知人から借り入れる

家族や知人から資金を借り入れる場合は、金融機関から融資を受ける方法とは異なり、厳密な審査を受けずとも資金を調達することができるかもしれません。

ただし、お金のトラブルは人間関係を壊してしまう要素になりかねないので、無理なお願いや常識を超えた要求は避けたほうが無難と言えます。

きちんと借用書を作成したうえで借り入れ、返済は銀行口座への振り込みを通じて記録を残すなど、トラブルにならない工夫を心がけましょう。

開業資金の金額や調達方法を把握して計画的に準備を進めよう

開業に必要な金額は業種によって異なるため、開業を目指す事業に合わせた資金計画を立てる必要があります。

自己資金を調達する方法として、退職金を利用する、株式や不動産を売却するなどさまざまな方法がありますが、コツコツ貯金を行うことも大切です。

また、自己資金でまかなえない資金を調達するための方法には複数の選択肢がありますが、どの方法で資金調達を行うべきかの判断はなかなか難しいものです。

資金調達の方法をひとりで判断できない場合には、開業準備を支援してくれる「canaeru」のようなサービスを有効活用してはいかがでしょうか。

開業に関する相談の受け付けやセミナーの開催など、さまざまな角度から開業支援を提供しているので、開業を目指している方はぜひ利用を検討してみてください。

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この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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