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飲食店の自販機ビジネス、導入方法とそのメリットを解説!

日本は世界最大の自動販売機大国!

昨今、自動販売機が驚くほど多様化し、進化を遂げていることをご存知でしょうか?コロナ禍の影響で苦戦を強いられている飲食店も続々と自動販売機ビジネスに参入。その動きが日本全国に広がりつつあります。

この記事では、飲食店による自動販売機ビジネスの盛り上がりについて紹介するとともに、自動販売機の導入方法や注意点、メリットに関して詳しく解説します。

自動販売機の進化が止まらない!

一口に自動販売機といっても種類は幅広く、飲料、食品、たばこ、日用品雑貨などさまざまなものが売られています。切符や食券などを販売する券類自動販売機もその一つです。

日本は世界有数の自動販売機大国で、2021年12月末時点の自動販売機および自動サービス機(両替機やコインロッカーなど)の普及台数は400万3,600台にも及んでいます。設置台数ではアメリカが世界一ですが、人口や国土面積を勘案した普及率では、日本が世界一だといわれているのです。

日本人にとって当たり前の存在である自動販売機は、年々驚くほどの進化を遂げており、販売される商品やサービスも多様化傾向にあります。最近では、変わり種の自動販売機がテレビのニュースやバラエティ番組で紹介されるなど、話題になる機会も増えています。

出典 一般社団法人「日本自動販売システム機械工業会」

自動販売機の進化が止まらない!

飲食店が自動販売機ビジネスを始めるメリット

飲食業界において、新たなビジネスとして注目を集めている「自動販売機」。導入のメリットは下記のとおりです。


  • ●人件費をかけずに年中無休で売上を生み出せる

  • ●食材のロスを削減できる

  • ●非対面で食品を販売できる

  • ●店舗の宣伝になる


ここからは、飲食店が自動販売機ビジネスを始めるメリットを4つ解説します。

人件費をかけずに年中無休で売上を生み出せる

人件費をかけることなく24時間365日売上を生み出せる点は、自動販売機ならではのメリットです。

店舗でスタッフを雇用すると、働いた時間に応じて給与を支払う必要があります。また、接客や調理の指導をしなければならないため、オペレーションを安定化させるためにはある程度の時間が必要です。

しかし、自動販売機であれば売上を立てるために人件費や時間をかける必要がありません。

食材のロスを削減できる

自動販売機ビジネスは、食材(食品)ロスの削減にもつながる取り組みです。

飲食店営業において、使いきれなかった食材や売れ残った食品の廃棄は、残念ながら日々行われているでしょう。しかし、それらの食材を活用し「冷凍食品を販売する自動販売機」という受け皿があれば、食材や食品のロスは避けられます。

食材ロスの減少は経済的であるだけでなく、年々重要性が増している「環境対策」にも貢献できます。環境に配慮した取り組みを行っていることをアピールすることで、対外的な信頼性も増すでしょう。

非対面で食品を販売できる

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、多くの人が非対面・非接触を心がけるようになっています。2023年現在は回復傾向にあるものの、感染症の影響もあって飲食店への客足が大きく落ちた時期がありました。

このような状況下でも、自動販売機を導入すれば「飲食店の利用を控えている人」へのアプローチが可能になります。外食を避けつつも専門店のメニューが食べたい人にとっては、願ってもないサービスとなるでしょう。

店舗の宣伝になる

自動販売機を設置すれば、店舗の宣伝も同時に実現できます。食品を取り扱う自動販売機はまだまだ珍しいため、設置するだけで人目をひくでしょう。

店舗の前だけでなく、店舗から離れた場所に設置すれば、広告塔としての効果も高まります。これまでお店の存在を知らなかった人や足を運ぶタイミングがなかった人にもお店の存在をアピールできるでしょう。結果として、店舗に来店してくれる人が増えるかもしれません。

自動販売機ビジネスで取り扱う食べ物の種類

自動販売機ビジネスで取り扱う食べ物は、大きく下記2つに分類されます。


  • ●自店舗のメニューを冷凍したもの

  • ●既製の冷凍食品


それぞれの特徴を確認していきましょう。

自動販売機ビジネスで取り扱う食べ物の種類

自店舗のメニューを冷凍したもの

自動販売機ビジネスで取り扱うメニューとして代表的なのは、自店舗のメニューを冷凍した商品です。売上を上げるだけでなく、自店舗のプロモーションも目的とする場合は、看板メニューを販売することが望ましいでしょう。

ただし、自動販売機で販売するためには「冷凍しても味が落ちないようにする」「人目を引くパッケージにする」などさまざまな工夫を凝らす必要があります。店舗で提供しているメニューを「ただ冷凍しただけ」にならないよう、消費者が満足する商品を開発しましょう。

既製の冷凍食品

自動販売機ビジネスで取り扱う商品は、自店舗メニューのみに留まりません。販売利益やトレンドを重視する場合は、既製の冷凍食品を仕入れて販売する選択肢もあります。

冷凍食品メーカーによる商品ラインナップも年々広がりをみせており、冷凍餃子やラーメンのほか、寿司やスイーツなどさまざまな自動販売機向けの商品が出ています。導入検討時にトレンドとなっている食品を選ぶのも一案です。

飲食店が自動販売機を設置する方法

自動販売機メーカーから購入することで導入可能です。一般的な飲料用の自動販売機は、安価なもので20〜30万円台から販売されていますが、食品用の自動販売機の相場は50万〜70万円程度。冷凍機能を持つものや、冷蔵・冷凍を兼ね備えるものであれば100万円を超える場合もあります。

メーカーによっても価格は大きく異なるため、まずは問い合わせるところから始めましょう。自動販売機のリースやレンタルを行っている業者もありますので、費用面が気になる場合はそちらを検討するのもおすすめです。

飲食店が自動販売機を設置する際の注意点

飲食店が自動販売機を設置する際には、機器の管理に手間がかかる点に注意しましょう。ドリンクの自動販売機であれば、自販機メーカー側が商品の補充や賞味期限の管理を行ってくれます。しかし、自店舗のメニューを自動販売機で取り扱う場合は、補充・管理作業を自ら行わなければなりません。

実店舗の営業と両立しようとすると、商品の準備や補充、在庫・賞味期限の管理が大きな負担になる可能性も出てくるでしょう。手間を少なくしたい場合は、売上・在庫状況や賞味期限をリモート管理できるシステムが搭載された自動販売機を導入するのもおすすめです。

また、自動販売機での販売は「食品表示に関する法令」の適用対象外ではありますが、安心して食べてもらえるように原材料名や賞味期限などを明記することをおすすめします。おいしい作り方・食べ方などを記載したリーフレットを添付すると、お客様に一層喜んでいただけることでしょう。

さらに、近年はキャッシュレス決済の導入があらゆる場所で進んでいます。現金を持たない人も増えてきているため、キャッシュレス決済への対応も必須です。

飲食店の自動販売機ビジネス参入事例

自動販売機の需要が高まっていくにつれて、多くの飲食店が自動販売機ビジネスに参入しています。

ここからは、専門店による参入事例を3つ紹介します。ぜひ、新たな取り組みを始める参考としてください。

ラーメン・餃子店

ラーメンの自動販売機の多くは、冷凍生麺や具材、スープがセットになっており、お店の味を24時間楽しめます。子ども連れで来店することに抵抗がある子育て世代や、ラーメン屋に一人で行くのは恥ずかしいという女性客にも支持され、新しい顧客層の開拓にもつながっています。

餃子に関しては、冷凍餃子の無人販売店が急増するなど全国的なブームになりつつあり、自動販売機ビジネスとも相性の良い商品です。夕食のおかずにもお酒のアテにもぴったりで、ストックもしやすいことから、リピート購入にも期待できます。

冷凍販売であれば賞味期限が長くなるため、飲食店側にとっては食品ロスの削減につながるメリットも挙げられます。

フランス料理店

京都にあるフランス料理店では、店舗で提供しているメニューを包装容器に入れ、自動販売機での冷蔵販売を開始。フランス料理が自動販売機で買えるという物珍しさから、SNSでも大きな話題になり、商品の補充が追いつかないほど大人気となっています。

田舎風パテ(パテ・ド・カンパーニュ) 580円、牛ほほ肉の赤ワイン煮込み 980円など価格もお手頃。フランス料理店へ行くことに抵抗がある方でも気軽に1点から購入できる上、実店舗への来店のきっかけにもつながります。

もんじゃ焼き専門店

もんじゃ焼きで有名な東京・月島では、冷凍のもんじゃ焼きキットが買える自動販売機が登場し、話題になりました。1.5人前で価格は1,200〜1,500円。ペットボトルに入った出汁と具材がセットになっており、もんじゃを食べる際に使用する「ハガシ」も2枚付属されています。おいしい焼き方の説明書や動画もあるため、自宅のホットプレートでお店の味を手軽に楽しめると大ヒットしています。

飲食店による自動販売機ビジネスが軒並み成功している理由は、こんなものも自動販売機で買えるんだという目新しさにあります。自動販売機となかなか結びつかない商品であるほど、その物珍しさから大ヒットにつながる可能性が高まるといえるでしょう。

自動販売機ビジネスの参入には補助金が活用できる!

自動販売機ビジネスに参入する際には、各種補助金を活用しましょう。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、国や地方自治体などがテイクアウトや非対面販売を強化するための補助金制度を実施しています。ここからは代表的な補助金制度を3つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

自動販売機ビジネスの参入には補助金が活用できる!

業態転換等支援事業

業態転換等支援事業は、新型コロナウイルス感染症の影響によって経営環境が悪化した飲食店が業態転換を行う際に経費の補助が受けられる制度です。

この支援事業において「業界転換」とは、下記の2点を指しています。


  • 現在扱っている商品・サービスの内容を変える

  • 商品・サービスの提供方法を変える


このうち「商品・サービスの提供方法を変える」が、自動販売機ビジネスに該当しています。

実施元農林水産省・日本能率協会コンサルティング
補助限度額最大1,000万円
補助対象者中小・中堅規模の飲食店
申請要件新型コロナウイルス等の感染症拡大防止対策を前提とした業態転換を行う
など

公式サイト 農林水産省「業態転換等支援事業」


事業再構築補助金

事業再構築補助金(通常枠)は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための支援を目的とした補助金制度です。「新たな事業にチャレンジしたい」「事業モデルを転換させたい」といった思いを持つ事業者をターゲットとして、2021年からスタートしました。

実施元中小企業庁
補助限度額最大2,000万円(従業員数が20人以下の場合)
補助対象者以下に該当する事業者
・新分野展開:新たな製品等で新たな市場に進出する
・事業転換:主な「事業」を転換する
・業種転換:主な「業種」を転換する
・業態転換:製造方法等を転換する
・事業再編:事業再編を通じて新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかを行う
申請要件・新型コロナウイルス感染症の影響などによって売上が減っている
・事業再構築(新分野展開・事業転換など)に取り組む意志がある
・認定経営革新等支援機関と策定した事業計画を持っている

公式サイト 中小企業庁「事業再構築補助金」

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金(一般型)は、小規模事業者等による販路開拓や業務効率化を実現するための経費を補助する制度です。対象は「販路開拓」と「業務効率化」に取り組む事業者ですが、自動販売機の導入はこのうち「販路開拓」にあたります。

実施元全国商工会連合会
補助限度額・50万円(通常枠)
・100万円(インボイス枠)
・200万円(賃金引上げ枠、卒業枠、後継者育成枠、創業枠)
補助対象者常時使用する従業員数が5人以下の事業者(飲食店の場合)
申請要件・小規模事業者であること
・直近過去3年分の課税所得年平均額が15億円を超えていないこと
など

公式サイト 商工会議所地区「小規模事業者持続化補助金」

飲食店の自動販売機ビジネスに関するQ&A

飲食店の自動販売機ビジネスに関するQ&A

売上はどのくらいになる?

自動販売機の売上は、販売額と販売数によって決まります。メニューによって数字は変わりますが、販売額を1,000円、1日の販売数を15個を仮定して計算をしてみましょう。

【販売シミュレーション】
販売額:1,000円
1日の販売数:15個

1,000円×15個=15,000円(1日あたり)
15,000円×30日=450,000円

上記計算式にあてはめると、月間45万円の売上が見込めます。あくまでも仮定の計算ではありますが、プロモーション目的や食材ロスの削減を考えれば、売上以上のメリットが得られるでしょう。

設置後の管理方法は?

自動販売機の設置後は、日々機器を管理する必要があります。設置前に、自ら管理するか専門業者に管理を委託するかを決めましょう。

自ら管理する場合は、商品の準備や補充、在庫・賞味期限の管理を毎日行わなければなりません。一方、業者に委託すればその手間はほとんどなくなります。しかし、業者への委託時はある程度の費用がかかることを念頭におきましょう。自動販売機導入による利益が減るため、どのような収支計画になるのかを綿密にシミュレーションすることをおすすめします。

維持費はどのくらいかかる?

使用頻度や設置場所などによって変動しますが、毎月の電気代は5,000円〜8,000円程度。冷凍機能を持つものだと料金がより高くなる傾向にあります。
また、故障した場合の修理代金を負担しなければならない場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

営業許可は必要?

調理機能を持たない自動販売機の場合、常温で長期保存できる食品を販売する際は許可届出が不要とされています。
一方、冷蔵冷凍が必要な食品や、常温であっても保存時間が短期である食品を扱う場合は届出が必須です。販売する商品によって必要な許可が異なりますので、保健所に確認・相談の上、手続きを進めてください。注意すべき具体例として、以下が挙げられます。

✓乳類販売業許可が必要なもの
→牛乳自販機

✓アイスクリーム類販売業許可が必要なもの
→アイスクリーム自販機

✓魚介類販売業許可が必要なもの
→冷凍包装済みの魚介類自販機

✓食肉販売業許可が必要なもの
→冷凍包装済みの食肉自販機

✓一般酒類小売業免許が必要なもの
→酒類の自販機

なお、一般酒類小売業の免許については、所在地を所轄する税務署で申請手続きを行います。酒類は対面販売が原則とされているため、深夜は自動販売機での販売を停止するなど、未成年の飲酒や飲酒運転を防止するための対策も必要とされます。

この記事の監修

株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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