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ビュッフェの原価率って?ホテルが朝食をビュッフェにする理由

ビュッフェの原価率って?ホテルが朝食をビュッフェにする理由

さまざまな料理を大皿に入れて提供し、お客さんに好きなだけ取って食べてもらうビュッフェ(バイキング)形式。
大食いの人が大勢来たら損をしてしまうのでは?
そんな心配もありますが、実は経営者にとって、とても有益なサービスなんです。

ビュッフェ形式のメリットは?

ビュッフェやバイキングは、“食べ放題”をうたった専門店のほか、ホテルのレストランなどでよく見かけるサービスです。
最近では一般の飲食店でもランチタイムに導入するケースが増えてきました。
その理由はどんなところにあるのでしょうか。

広がるマーケット

景気がいまひとつ上がらない昨今、限られた予算でお腹いっぱいに食べたいという顧客が増加していることが、ビュッフェ形式が広がりをみせる理由としてあります。
また、味の好みが多様化しているので、グループで外食をする際には、なかなか店を決められないというケースも見られるようになりました。
お得な価格でメニューが豊富なビュッフェやバイキングなら、そうした顧客のニーズにも対応できます。
ほかにも、たとえばアイスのトッピングを自分の好みで自由に盛ることができるなど、ある種のエンターテインメント性もありますので、ちょっとした集まりや誕生会などのイベントにはぴったり。
子どもや会社員をターゲットにするなら、時間帯は自ずとディナーよりもランチタイムが狙い目になってきます。

人件費を安く抑えられる

ビュッフェ形式は店側としてもメリットが多く、なかでも人手の確保が最小限で済むというのはうれしいポイント。
例えば食材だけ用意し、お客さんに作ってもらう料理をいくつか導入すれば、調理スタッフの数を抑えることができます。
また、とくに掻き入れ時のランチタイムには、手際よく給仕をこなせるベテランスタッフが大勢いるのが理想ですが、それなりの人件費もかかります。
その点、ビュッフェやバイキング形式なら、空いた皿を下げたり、少なくなった料理を補充したりといった基本的な作業がメイン。
会計も一人当たりの額が同じなので、アルバイトの学生でもすぐに対応が可能になります。

そもそも、ビュッフェは儲かるの?

通常、飲食店で儲けを出す原価率のボーダーは30%といわれています。
しかし、冒頭で触れたように、ビュッフェ・バイキング形式では本当に食べ放題で儲かるのかどうかが気になるところです。
その仕組みを見ていきます。

原価率のからくり

ビュッフェ・バイキング形式は、通常よりも来客数が多くなり、食材を大量に仕入れなくてはならないので当然、仕入れ額も高くなることが予想されます。
しかし、実際にはまとめてオーダーすることでボリューム・ディスカウントをしてもらえるので仕入れ単価が下がり、総仕入れ額は以前とそれほど変わらないということも。
人件費を大幅に抑えることができることも合わせて考えれば、経費の点でトータルではかなりのメリットがビュッフェ・バイキング形式にあるのです。

実際に計算してみよう

原価率30%で計算してみると、例えば、850円の通常ランチを提供しているときに20人の来客があった場合、売上は1万7,000円。
そこから仕入れ代金を引くと、粗利は1万1,900円にしかなりません。
さらに人件費や光熱費などの必要経費を引けば、へたをすると儲けがマイナスになってしまうことも考えられます。
一方、ビュッフェ・バイキング形式なら、価格を1,500円に上げてもお得感があります。
この価格に引かれて50人の来客があった場合、同じ計算で売上は7万5,000円、粗利は5万2,500円にもなります。
集客の見込めるビュッフェ・バイキング形式を試めさない手はありません。

ランチタイムならではの施策

長いこと居座って食べ続けるお客さんは困りますが、ディナーやティータイムと違い、回転が速いランチタイムには、こうした人はそれほど多くはいません。
仮に大食いの人が大勢来店し、原価率が40%に跳ね上がったとしても、先ほどの計算で粗利は4万5,000円確保できますので、依然として通常ランチよりビュッフェ・バイキング形式に軍配が上がります。
また、ランチタイムで呼び物となるメニューに多少利益を削ったとしても、原価率の低いお酒などを提供するディナーでカバーすることもできます。
ビュッフェ・バイキング形式はランチタイムに実施するという理由がここにあります。

ホテルが朝食をビュッフェにするワケとは?

ビュッフェ・バイキング形式というと、最初に思い浮かぶのはホテルや旅館の朝食です。
ランチやディナーに先駆けて朝食に導入された理由には、時間が早いのでホテル側の人員が確保できないほか、ばらばらに注文を受けてしまうと食材の在庫管理が難しくなり、宿泊客の満足度を上げながら、安定したサービスを提供することができなくなってしまうからなのです。

これは、ビュッフェ・バイキング形式の最大の利点として、結構知られているもの…。
しかし、この「朝食」をビュッフェ・バイキング形式にするのは、人件費だけの問題ではないのです。

ビュッフェ・バイキング形式が朝食から始まった…とも言われるのは、仕入れ・在庫の問題と言う見方もあります。
ビュッフェ・バイキング形式には、前日のディナーのために仕入れながらも使われなかった食材を、さまざまな料理にアレンジして提供できるというメリットがあるのです。

食材廃棄の問題は、経営に大きく関わってきます。
特に、お店をオープンしたての店長やオーナーは、この「食材の仕入れ」の目利きが甘いことは否めず、原価を大きく圧迫しているケースが少なくありません。

ホテルの場合は朝食ですが、例えば、ランチをビュッフェ・バイキング形式にすれば、ホテルの朝食と同じような考え方で、食材廃棄を減らすことができる可能性があります。
個人飲食店のオーナーは、ぜひ一考したい戦略なのです。

メニューをひと工夫して集客に活用する

ビュッフェ・バイキング形式でオリジナルのメニューを提供し、集客に活用する、という手もあります。
客層に合わせてサラダなどの定番メニューは確保しつつ、お店独自のカラーを出すメニューを投入しましょう。

例えば、ビュッフェ・バイキング形式の看板メニューとして、「通常ディナーに提供する高価なものが安価で楽しめる」といった策を打てば、競合とのランチ戦線と差別化することができます。
カニが看板のお店があったとしましょう。
ランチタイムにはゆでガニの食べ放題を提供しつつ、ディナーでは、さらに「焼きガニ」や「カニのしゃぶしゃぶ」といった、もうひと手間かけたバリエーションを用意。
ポスターなどでうたっておけば、「こんなにおいしいのなら、一度、夜も行ってみよう」という気分にさせられます。
ランチの利用者にディナータイムのクーポン券を配れば、宣伝費を抑えながらの集客にも期待できます。
カニは高級食材なのでちょっと極端な例ですが、オリジナルのハンバーグ、ちょっとめずらしいパスタ、本格的なパエリアなど、ディナーに差別化したメニューを持っていれば、ランチビュッフェなどへの転用は、充分な集客ができるはずです。

また、例えば、近隣のスイーツ店などと連携して、そのお店のスイーツを提供する…というような策も効果があります。
スイーツ店も、飲食店のランチビュッフェにオリジナルのスイーツを提供することで、来店促進になりますし、お互いがwin-winの関係を保てます。

メニューを使った集客は飲食店の基本です。
そこにビュッフェ・バイキング形式というスキームも合わせて考えれば、お店の大きな売りになる可能性を秘めているとも言えます。

【イタリアンレストラン】の開業方法はこちら≫「イタリアンレストランを開業するには?開業資金や準備、繁盛するための対策とは?」

【レストラン(食堂)】の開業方法はこちら≫「レストラン(食堂)を開業するには?開業資金や準備、繁盛するための対策とは?」

この記事の監修

株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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