更新日:

開業届は出した方が良いの?提出方法や書き方を知って疑問を解消しよう!

開業届は出した方が良いの?提出方法や書き方を知って疑問を解消しよう!

開業を決めた時には、事前準備としてさまざまな手続きを行わなくてはなりません。その中のひとつとして、税務署への開業届の提出があります。

しかし、いざ開業届を出そうと思っても、提出方法や書き方がよく分からず、戸惑ってしまうこともあるでしょう。

この記事では、開業届の提出方法や書き方、提出するメリットなどについて紹介します。開業届の正しい扱い方を理解して、スムーズに事業をスタートさせてください。

開業届とは?

開業届は、個人事業を開業したことを税務署に届け出るための書類です。一般的には「開業届」と呼ばれていますが、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。

開業届の提出は所得税法の法律で義務付けられているものの、提出しなかった際の罰則はありません。

ただし、青色申告で確定申告をするには開業届の提出が必須なので、節税のためにも提出することをおすすめします。

開業届は税務署の窓口、または国税庁のホームページから入手できます。これから個人事業主として開業を検討している方は、忘れないうちに入手しましょう。

「国税庁ホームページ」

なお、開業時に提出する書類には、都道府県税事務所に提出する「個人事業税の事業開始等申告書」と呼ばれる書類もあります。

個人事業税の事業開始等申告書の提出は必須ではなく、提出しないケースも多いです。
関連記事 開業届を出すメリットとは?具体的な書き方や提出方法も解説

開業届とは?

開業届を提出する際に押さえておきたいポイント

初めて開業届を提出する場合、提出方法や持ち物が分からず、不安になってしまうかもしれません。

安心して開業届を提出できるよう、提出時に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

開業届は税務署に持参・郵送して提出する

開業届の提出先は、納税地を所轄する税務署です。税務署に出向いて直接提出する、または郵送で提出できます。

このほか、国税電子申告・納税システム「e-tax」を活用すれば、オンラインからも提出可能です。オンラインで開業届を提出する場合は、パソコンとICカードリーダライタ、マイナンバーカードが必要になります。

なお、所轄の税務署の所在地は、国税庁のホームページから調べられます。郵便番号や住所、地図などから検索できるため、事前にチェックしましょう。

提出期限は原則として開業から1ヶ月以内

開業届の提出期限は、原則として開業日から1ヶ月以内と決められています。提出期限が土日祝日に当たる場合は、その翌日が提出期限です。

開業届の提出期限を過ぎてしまっても、とくに罰則はありません。

しかし、提出期限が決まっている以上、基本的には期限内に提出を終えたほうが良いです。

開業届を提出する際に必要な持ち物

開業届を税務署に提出する際は、個人番号(マイナンバー)が分かる書類と本人確認書類が必要です。

税務署ではなりすまし防止のため、各申請書の提出をする方に「個人番号(マイナンバー)+本人確認書類の提示」というふたつの内容で本人確認を行なっています。

なお、マイナンバーカードを持っている方は、そのカード1枚で番号確認と本人確認ができるため、別途本人確認書類を用意する必要はありません。

また、開業届に訂正箇所がある場合、二重線と訂正印で修正する必要があるため、念の為に印鑑を持って行くと安心です。

郵送で開業届を提出する方は、返信用の切手と封筒、開業届の控えも必要になります。

開業届の書き方

開業届の書き方について、実際の項目を挙げつつ解説します。開業届の各項目の書き方は、下記のとおりです。

・個人事業の開業・廃業等届出書(書類の最上部):開業に○をつける
・税務署長:所轄の税務署名と書類の提出日を記入
・納税地:住所地(自宅)・所在地・事業所等のいずれかを選択し住所を記入
・氏名:自分の氏名と、右側に生年月日を記入
・個人番号:個人番号(マイナンバー)を記入
・職業:開業する職種と、右側に屋号(なければ空欄でも可)を記入
・届出の区分:開業に○をつける
・所得の種類:該当する所得に○をつける(不動産・山林による所得以外は事業所得)
・開業・廃業等日:開業日を記入
・開業・廃業に伴う届出書の提出の有無:青色申告に関する
・書類、消費税に関する書類を提出する場合は「有」にチェックを入れる
・事業の概要:職業欄に記載した職種の具体的な事業内容を記入
・給与等の支払の状況:専従者(家族従業員)や従業員を雇用する場合に記入
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無:申請書を提出する場合は「有」にチェックを入れる
・給与支払を開始する年月日:従業員に給与を支払う場合に記入

何を記入すれば良いのか把握しておけば、開業届の記入方法はさほど難しくありません。上記の項目を参考に、入手した開業届の内容を埋めていきましょう。

開業届を提出するメリット

開業時には店舗の取得や備品の準備など、さまざまな準備が必要なため、開業届を書いて提出することが面倒だと感じる方もいるかもしれません。

しかし、開業届を提出するメリットは多くあるため、できるだけ早く提出することをおすすめします。

・青色申告ができるようになる
・屋号付き名義で銀行口座を開設できる
・社会的な信用を得られる
・経営者や個人事業主に向けた共済に申し込める

以上のメリットについて、それぞれの内容を順番に解説します。

開業届を提出するメリット

青色申告ができるようになる

青色申告とは、税金面で有利になる特典がついた確定申告制度のことです。

下記のように青色申告をするメリットはさまざまあり、多くの個人事業主が青色申告で確定申告を行っています。

・最大65万円の特別控除が受けられる
・一定の条件を満たしていれば、家族への給与を経費にできる
・赤字を3年間繰り越せる

青色申告を活用して節税をすれば、経済的にもゆとりが生まれやすくなり、税金面に対する不安が少なくなるかもしれません。

なお、青色申告で確定申告をするためには、「青色申告申請承認書」の提出が必要です。提出期限は開業日から2ヶ月以内なので、開業届と一緒に提出すると良いでしょう。

屋号名義で銀行口座を開設できる

開業届を提出すると、屋号付き名義で銀行口座を開設できるようになります。

屋号名義の銀行口座を保有していれば、社会的な信用に繋がり、仕事をするうえで役立ちます。たとえば、お金の振込先を先方に伝える場合は、個人名義よりも屋号名義のほうが先方も安心できるでしょう。

また、プライベートの口座と事業用の口座を分けられるため、支出の管理も楽になります。

社会的な信用を得られる

開業届を出さなくても個人事業主を名乗ることはできますが、正式に手続きをしていない以上、「個人事業主である」という証明がしづらくなります。

万が一証明を求められたときに提示できる資料がないと、信用されない可能性もあるでしょう。

開業届を提出すれば、個人事業主として登録がなされていることを正式に証明できるようになり、社会的な信用を得ることにも繋がります。

経営者や個人事業主に向けた共済に申し込める

開業届を提出すると、経営者や個人事業主に向けた共済に申し込めるようになります。

共済にはさまざまな種類があり、個人事業主が申し込める共済の例として「小規模企業共済」があります。

小規模企業共済とは、経営者や個人事業主向けの退職金制度です。掛金を月々積み立てて、退職・廃業時に受け取れます。

一般的な会社員とは違い、個人事業主には退職金がありませんが、小規模企業共済に加入しておけば将来的な経済面の不安を取り除く一助になるでしょう。

このほか、取引先の事業者が倒産した際に掛金の10倍までの金額を借りられる「経営セーフティー共済」など、万が一に備えられる共済にも加入できます。

開業届に関するよくある疑問を解説!

ここからは、開業届に関するよくある疑問をQ&A方式で紹介します。

「提出時にお金はかかる?」「住所変更にはどんな手続きが必要?」など、些細な疑問も解説するので、ぜひ参考にしてください。

開業届の提出にお金はかかる?

基本的には、開業届の提出にお金はかかりません。入手から提出までの手続きは無料で行えます。

ただし、郵送で開業届を提出する場合は、切手代がかかるため注意してください。自分が送る分だけでなく、返信用の切手代も必要です。

副業でも出さないとダメ?副業がバレる可能性はある?

「開業」とは、自分で事業を立ち上げることを意味します。そこに本業・副業の境界線はありません。

そのため、副業でも開業したのであれば、原則として開業届の提出が必要です。

開業届の提出だけが原因で、副業が周囲にバレる心配はありません。ただし、住民税などほかの事柄によって明るみになる可能性はあります。

会社の就業規則を確認したうえで、会社にも副業を行っている事実をあらかじめ知らせておいたほうが無難と言えるでしょう。

関連記事 会社員におすすめの副業10選!確定申告や注意点についても解説

開業届を出すと確定申告が必須になる?

開業届の提出をきっかけに、確定申告が必須になることはありません。開業届は事業を開始する方が提出する書類であり、確定申告とは何も関連性がないためです。

そもそも確定申告とは、税金の納付が必要な方が行う手続きのことを指します。税金の納付が必要かどうかの判断基準に、開業届の提出の有無は影響しません。

開業届を出した後に住所を変更したときは手続きが必要?

引っ越しなどを理由に事業先の住所を変更する際は、変更後の情報が記載された開業届の提出を行ってください。

また、住所の変更によって所轄の税務署が変わる場合、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を、住所変更前の税務署に提出する必要があります。

なお、それぞれの書類の提出期限は下記のとおりです。

・開業届:事務所を移転した日から1ヶ月以内
・所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書:納税地の異動があった後、遅滞なく

所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書の提出期限は、明確には定められていません。提出を後回しにして忘れないよう、早めの提出を心がけましょう。

節税のためにも開業届は提出しておこう!

開業届を出さずとも事業は行えますが、所得税法で提出が定められている以上、基本的には提出する必要があると考えてください。

青色申告で確定申告できるようになるなど、節税面でのメリットもあるため、開業時には忘れずに所轄の税務署へ提出しましょう。

「開業届は記入方法が難しい」というイメージを持っているかもしれませんが、意外と簡単に記入できます。書き方に心配な点がある方は、ぜひこの記事を参考にして開業届を書いてみてください。

開業には、開業届の手続きを行う、開業資金を集める、事業を行う物件を探すなど、さまざまな苦労がつきものです。

スムーズに開業できるか不安な方は、開業に関する相談ができる「canaeru(カナエル)」のようなサービスも活用しつつ、開業準備を整えましょう。

ご相談はこちら

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

canaeruは年間300件以上の開業サポート実績!

メールアドレスの登録で
開業までのサポート完全無料で受けられます!

個人情報の取り扱いについて

メールアドレスを入力してください

無料会員登録でできること
① 「日本政策金融公庫」の創業融資をはじめとする資金調達の相談が出来る!
② 開業時に必要な事業計画書の作成サポートが受けられる!
③ 店舗開業や運営に関するさまざまな疑問点・お悩みを何度でも相談可能!
※ 金融機関出身者、元飲食店オーナーら店舗開業のプロが対応します

PAGETOPへ