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タピオカのお店はどれだけ生き残れるか…飲食業界はプロダクトアウトが主流?個人飲食店が潰れる秘密はここにある

タピオカのお店はどれだけ生き残れるか…飲食業界はプロダクトアウトが主流?個人飲食店が潰れる秘密はここにある_記事画像

「マーケットイン」「プロダクトアウト」というマーティング用語をご存知でしょうか。
製造業やサービス業などで使われ、消費者に対する提供側の販売戦略のことを指します。
現在の飲食業界においてはプロダクトアウトが主流で、そんな姿勢が実は失敗のもとになっている、ともいわれています。
経営者であれば必ず知っておきたい、この2つの言葉。
何を意味するのか、さっそく見ていきましょう。

「プロダクトアウト」と「マーケットイン」とは?

1950年代半ばから70年前半にかけての日本の高度経済成長期は、戦後のくらしを立て直すための生活必需品のニーズが爆発的に高まり、大量生産・大量消費の時代でもありました。
しかし、つくれば飛ぶように売れていた時代も終焉を迎えると、大量生産は供給過剰に陥ります。
「いいものだから売れるだろう」というメーカー視点を優先して提供してきたことが受け入れられなくなってしまったのです。
そこで起きたのが発想の転換。
顧客視点に立ち、世の中のニーズを汲み取ることの重要性が謳われるようになりました。
こうした考え方が後に「マーケットイン」と呼ばれ、相対する考え方が「プロダクトアウト」と呼ばれるようになったのです。
こうみると「プロダクトアウト」は古い考え方で否定的、「マーケットイン」は新しい考え方で肯定的とも感じます。
しかし、どちらにもメリット・デメリットはあり、「良い」「悪い」の二元論では片付けられないのです。

プロダクトアウト

プロダクトアウトとは、自社の強みや方針から作りたい商品を作る、つまり作り手の意思を尊重したモノ作りを意味します。
このような考えから生まれた商品は革新性やオリジナリティも高く、市場を独占するなど時に画期的な商品になる可能性も。
しかし、消費者の気持ちに刺さらなければ、結果として失敗するリスクもあります。

マーケットイン

一方のマーケットインは、市場のニーズを読み取り、反映させた上で行われるモノ作りのこと。
このような商品の場合、消費者の満足度も高いため、ある程度の売上は見込めるかもしれません。
しかし、似たような商品も多いために埋もれてしまう危険性や、プロダクトアウトに比べて、革新的な商品は生まれにくいという側面があります。

世の中的には「プロダクトアウトはだめだ」という風潮があるけれど…

自社の理論のみで商品開発を続け、ヒットがなかなか出ないAという企業があるとします。
これではもはやプロダクトアウトではなく、単なるAの独りよがりで、継続不可能なビジネスモデルであるといえるでしょう。
そもそもモノ作りの出発点はこんな商品があったらいいな、という思いから動き出すもの。
プロダクトアウトはそんな潜在的ニーズに対し企業側が持つ開発力やアイディアなどを優先させて形にすることで、マーケットインは顕在化したニーズを優先させ、マーケティングを行った上で形にしていくものだからです。
あくまでもプロダクトアウトとマーケットインの根底には消費者のニーズがあった上で成り立っているもの、と考えるべきなのです。

飲食業界におけるプロダクトアウト・マーケットインの考え方

憧れの飲食店を始めるにあたり、思い描いた店を実現しようと奮起する人は多いもの。
実はこのような考えこそ、消費者視点の抜け落ちたプロダクトアウトに陥りやすいのです。
こだわりのインテリアや内装にお金をかけすぎ、自分の食べたい、作りたい料理しか提供しない。
これでは失敗するのは目に見えています。
定年退職した方が夢だったカフェやそば屋を始めて失敗するのは、消費者ニーズを汲み取らず、経営ノウハウも後回しに自分だけの思いで突っ走ってしまったケースがほとんどです。

また社会現象となっているタピオカミルクティー店がこれだけ多いのは、消費者ニーズの高まりを受けた形、まさにマーケットインの典型といえるでしょう。
しかし、数年後にも同じように生き残っているかは大いに疑問です。
売れるもの、市場に求められているメニューを提供することは大切ですが、差別化なくしては顧客に飽きられてしまう時がくるはず。
本来、マーケットインとプロダクトアウトは対立するものではありません。
「自分のやりたいことだけに固執する」「消費者ニーズだけ固執する」のはいずれも失敗のもと。両者のバランスを考えて戦略を立てることが大切なのです。

「デキる料理人ほど失敗する可能性が高い」。その理由とは?

これまで一社員だった料理人が独立・開業した途端、失敗してしまった……というケースは少なくありません。
経験も技術もある料理人なのに、なぜ上手くいかないのか。
代表的な原因をみていきましょう。

自分の技術・舌を過信している

たとえば念願だった自分の店を郊外の住宅街に出店したとします。
その時、3万円のコースをだしていた都心の高級店で働いていたからと、資金力も歴史も立地も異なる自分の店で同じような価格設定をしてしまったらどうでしょうか。
そもそも家族が多い住宅地と銀座や六本木などの一等地エリアではかけられる外食費が同じであるわけもなく、当然客層も違ってきます。
いくら料理が美味しくても、立地や価格を見誤ってしまうと来るはずのお客様を自ら逃す羽目になってしまいます。
「料理の美味しさは負けるわけはない。だから場所や値段も関係なく、お客さんは来てくれるだろう」と自分の腕だけを過信するのは、失敗の始まりです。

経営者としての自覚のなさ

企業型の飲食店であれば、社長を筆頭に、経理や広報、料理人、フロアスタッフなどの役割が明確で、各自が与えられた仕事をこなすというフローが出来上がっています。
これまで社員として、料理を作ることだけに専念できていた環境であれば、経営の勉強は必要なかったかもしれませんが、独立・開業を目指すのなら話は別。
料理のスキル以上に経営者としての才覚を磨かないといけないのです。
飲食店の成功は料理の味はもちろん、物件選びからはじまり、売りとなるメニューの立案、サービス、宣伝など経営を成り立たせるための様々な要因がうまく回っていることに他なりません。
料理人として自分の店を出すということは、自身が経営者になる、ということを意味しますが、失敗してしまう人はそんな自覚もなく、経営スキルが圧倒的に足りなかったのです。

何を売るのか?誰に売るのか?

飲食店では、初回の来店客が2回目の来店をしてくれる確率は高くても4割程度、さらに3回目の再来店は2割程度といわれています。
リピート率を上げるためには「料理が美味しい」という以外の、プラスアルファの何かがないといけません。
そんな時こそ、プロダクトアウトとマーケットインの手法を考えてみましょう。
アイディアを駆使してあっと驚かすような新メニューなのか、はたまたトレンドを意識したメニューなのか。
もしくは新しい顧客サービスなのか。
市場やお客様のニーズもしっかりと読み取り、「これがうちの一番の強みであり、売りである」ことを打ち出すことが肝心です。

また、同時に店づくりの核となるコンセプトは事前にしっかりと固めておくことも大切です。
たとえば最先端の食材を使って最先端の料理を出したい、というコンセプトであれば、おのずとターゲットは常にアンテナを張っている人で、そんな人が多い都市部に出店しようという風に自然と絵を描けるはずです。
飲食店経営は、「美味しい」だけでなく、「誰に何を売るのか」という明確なコンセプトや視点を持つことが必要不可欠なのです。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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