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人気の猫カフェを開業するために必要となる手続き・店舗設計・注意点を解説

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アニマルカフェの火付け役となった猫カフェは未だに根強い人気があり、新規参入の余地があるビジネスです。
ただし、猫カフェは一般的なカフェと異なり猫を飼養してお客さんに展示する業種であるため、開業する際には特別な申請や資格が必要となります。
今回は、そんな人気の猫カフェを開業するためのポイントを3つの項目にわけて解説します。

1. 猫カフェを開業するための手続きと必要な条件

猫カフェは、飼育している猫とお客さんが触れ合える環境を提供するビジネスであるため、開業する際にはまず事業所の管轄保健所にて第一種動物取扱業の登録を行う必要があります。

猫カフェは第一種動物取扱業における「展示」の業種に該当し、新規登録を申請する際は管轄保健所に以下の6点の書類を提出します。

1.第一種動物取扱業登録申請書
2.動物の愛護および管理に関する法律に抵触しないことを示す書類
3.飼養施設の平面図および付近の見取図
4.登記事項証明書と役員の氏名および住所(法人の場合)
5.事業所と飼養施設の土地・建物で事業の実施に必要な権原を示す書類
6.動物取扱責任者研修の修了証コピー

なお、第一種動物取扱業として登録するためには、後述する動物取扱責任者の要件を満たしたスタッフが1店舗あたり1名必要となります。経営者を含む常勤スタッフから選ぶといいでしょう。

第一種動物取扱業の登録申請を終えると保健所の担当者が事業所の検査に訪れます。申請内容と実際の施設に差異がなく、検査をクリアして保健所から登録証が交付されれば第一種動物取扱業として登録完了です。

第一種動物取扱業の登録は永年ではなく5年ごとの更新性であり、更新の申請は有効期限が満了する2ヶ月前から可能です。更新を怠ると登録が抹消されてしまうほか、登録せずに猫カフェの営業を行うと罰金が課せられるので注意しましょう。

猫カフェでの実務経験や特定の資格があれば動物取扱責任者になれる

動物取扱責任者になるためには、以下3点いずれかの要件を満たしている必要があります。

1.雇用形態に関わらず猫カフェで6ヶ月以上の実務経験がある
2.動物を取り扱う知識や技術の取得を専門とする教育機関を卒業している
3.第一種動物取扱業を営む際に必要な知識や技術を習得していることが証明できる愛護動物取扱管理士などの資格を保有している

1年以上のカリキュラムが用意された動物の専門学校を卒業した人や、実際に猫カフェで6ヶ月以上働いた経験がある人などは動物取扱責任者になれます。動物取扱責任者に選任されたスタッフは、新規および定期的に動物取扱責任者研修を受講しなくてはいけません。

猫カフェで飲食物を調理して提供するケースは営業許可が必要

猫カフェでドリンクやお菓子などの軽食を調理して提供するケースは飲食店としてみなされるため、食品衛生法に則り管轄保健所にて営業許可を得る必要があります。

同認可を得るためには食品衛生責任者の資格を有したスタッフを1店舗あたり1名設置しなくてはいけません。

営業許可を取得する一般的な流れは以下のとおりですが、必要な申請書類は自治体によって異なるため管轄保健所にて確認しましょう。

1.飲食店の営業に関する施設基準審査などの事前相談
2.営業許可申請書や食品衛生責任者の資格を証明する書類などの提出
3.保健所の担当者による施設の確認検査
4.営業許可書の交付

食品衛生責任者の資格は食品衛生責任者養成講習会を受講することで取得可能です。また栄養士や調理師といった食品の衛生に関する特定の資格を保有している場合、講習会を受講しなくても食品衛生責任者の資格が得られます。

ただし自販機を設置してドリンクを提供するなど、既成品の飲食物を提供するタイプの猫カフェであれば営業許可および衛生管理者は必要ありません。

猫カフェで飲食物を調理して提供するケースは営業許可が必要

収容人員が30名以上の猫カフェは防火管理者の設置が必要

スタッフを含む収容人員が30名以上の猫カフェを開業する場合は、防火管理者を設置しなくてはいけません。防火管理者の資格は店舗の面積が300㎡未満の場合は乙種、300㎡以上の場合は甲種となります。

防火管理者の資格は日本防火・防災協会などで防火管理講習を受講すれば取得可能です。消防設備点検資格者あるいは自衛消防業務講習修了者の資格を有する場合、防火化管理講習の一部科目が免除されます。免除を受けず一般で講習を修了するためには1〜2日かかるため、あらかじめスケジュールを確保しましょう。

2. 猫カフェを開業するための店舗設計

第一種動物取扱業を営む際は、動物の愛護と管理に関する法令を厳守して経営することはもちろん、飼養施設の管理と構造・規模などに関する要件も遵守しなければなりません。飲食店として営業許可を取得する場合には、また別の施設基準を満たしている必要があるので注意しましょう。

猫カフェを開業する際は基本的に以下の要件を満たす店舗設計を行いますが、細目の定めは市区町村によって異なるため管轄保健所への相談も必要です。

2. 猫カフェを開業するための店舗設計

衛生面に配慮して飼養施設を管理する

飼養施設および設備の点検を1日1回以上実施し、飼養施設の定期的な掃除と消毒を行い、汚物やエサの食べ残しなどを放置しないように心がけましょう。

猫の臭気や体毛の飛散を防止するために空気清浄機と排泄物を密閉して管理できる容器などを設置し、ハエやネズミといった害虫・害獣の侵入を防止または駆除できる設備を用意します。

さらに鳴き声による騒音や逃げ出しを防ぐため、周辺の生活環境に配慮して飼養施設にゲージを設けるなど適宜対応しましょう。

飼養施設の構造と規模は猫を安全に飼養できる設計を行う

飼養に使うゲージはそれぞれの猫が歩行する、横になるといった日常生活の動作を問題なく行える広さであり、給餌・給水を行う器具やトイレおよび遊具などを用意する必要があります。

猫の怪我を防止するために鋭利な突起物や障害物などがなく、破壊して逃げ出してしまうリスクのない十分な強度を備えた安全なゲージで飼養しましょう。

営業許可を得て飲食物を提供する場合は施設基準を満たす必要がある

猫カフェでお客さんに飲食物を調理・提供する際に必要な営業許可を得るためには一定の施設基準を満たす必要があります。また衛生面の観点から猫がキッチンに侵入しない設計が求められるため、お客さんが猫と触れ合うスペースとキッチンの間に仕切りなどを設けて対応しましょう。

施設は不衛生な場所に設置せず、営業するうえで十分な耐久性と耐水性がある構造でダクトやフードによる換気設備が必要です。

さらに害虫・害獣の侵入を防ぐための防除設備、食品・食器を洗うための洗浄設備、食品を保管するための冷蔵設備、作業場と懸け隔てられた更衣室および従業員専用の手洗い設備、お客さん用のトイレなどを設けましょう。

新型コロナウイルス感染防止も忘れずに

猫カフェも通常の飲食店と同様に感染防止への取り組みが必須となります。来店客の体温検査やアルコール消毒の要求はもちろん、店舗内が密にならないように人数制限を設ける、あるいは席数を減らすなど調整を忘れずに行いましょう。

3. 猫カフェを開業する際の注意点

猫カフェを開業する際は先述した各種届出書の提出および許可の習得を忘れずに行い、さらに猫の体調管理にも気を配る必要があります。感染症を予防するためのワクチン接種はもちろん、ストレスと疲弊を軽減するためにお客さんと触れ合う時間が12時間を超えないように注意しましょう。

また生後1歳以上の成猫のみを飼養している場合は午後10時までの営業が認められていますが、生後1歳未満の子猫を飼養する場合は午後8時までと定められています。猫カフェを開業する際は猫それぞれの体調管理に目が行き届く十分な人員を確保し、スタッフそれぞれが生き物を取り扱うという自覚を持たなくてはいけません。

警視庁の発表によると動物虐待事犯の摘発件数は平成24年以降から増加傾向であり、猫カフェを筆頭とするアニマルカフェのブームによって世間の動物愛護に対する関心が高まり通報の増加につながったとされています。[注1]
猫の飼養に対して世間が向ける監査の目は厳しくなりつつあるため、猫カフェを開業する際は適切な飼養環境と体制を心がけましょう。

[注1]
警視庁:平成29年における生活経済事犯の検挙状況等について[pdf]

3. 猫カフェを開業する際の注意点

まずどのような規模・形態にするかをじっくり考えたうえで店舗設計を

一言で猫カフェといっても、店舗の規模や形態によって、必要となる申請や資格は異なります。
まずはどのような店にしたいのかをじっくりと考えたうえで、求められる店舗設計を行っていきましょう。

猫カフェ開業にあたって必要な費用は?

①物件の費用
物件の費用についてですが、大体毎月20万円〜30万円前後かかると言われています。また、物件の費用についてはそれだけにとどまらず、保証金や敷金・礼金・仲介手数料など、初期費用だけで恐らく200万円〜300万円ほどかかってきます。
ただし、エリアや坪数などによって費用は大きく変わります。

②光熱費
水道・ガス・電気など毎月必要となってくる費用です。毎月維持しないといけない費用だけでも、大体10万円程度かかってしまうと言われています。

③従業員の給料
従業員を雇うのであれば、正社員だと給料がだいたい月に20〜25万円払わなければなりません。バイトでも、時給1000円だとすれば何万円も月に支払わなければなりません。

④猫の費用
猫カフェでは、猫を飼うので事前に猫を購入しておかなければなりません。1匹15万円〜20万円だとしても、10匹揃えればかなりの額になります。しかしながらこれについては、保健所にて貰い手のいない猫を引き取って経営をすることも可能ですので安くつけることは可能です。

⑤猫の餌代諸々の費用
猫の餌代は飼う匹数によって変わってきます。しかしながら、大体が月数万円かかかってしまいます。また、その他にも医療費用や掃除の費用、遊ぶおもちゃの費用など、猫にかかる費用はかなり多額なものとなってくるでしょう。また、初めだけでなく継続して必要になってくるので余計お金がかかります。

⑥道具類の費用
猫カフェにおいて必要な道具類は様々あります。エアコンや照明、カフェですので冷蔵庫や電子レンジなどといったものも必要になってきます。これらを全て揃えれば、300万円〜500万円ほどは見ておく必要があります。安く抑えたいのであれば、リサイクルショップなどで揃えるという手もあるでしょう。

⑦内外装の工事費用
内外装の工事費用は、水道管や電気など全てするのであれば、基本的に500万円〜1000万円程度かかります。しかしながら、居抜きの物件などある程度すべきことが終わっている物件をさがせば300万円程度ぐらいまで抑えられる可能性があります。

⑧提供する食事代
カフェということで、提供する食事代も必要です。それぞれの店舗によってこれは変わってきますが、軽い食事であれば月数万円に抑えれますが、本格的な食事を提供するのであれば、月に30万円程度かかるでしょう。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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