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飲食店を開業するなら調理師はいたほうが有利!その理由と受験資格を紹介

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飲食店の開業を考えている方の多くは、すでに飲食業界で長く働いてきた経験がある場合がほとんどだと思います。ですが、最近は異業種から飲食店の開業にチャレンジしようという方も増えており、中には、調理師免許が必要なのかどうかあまり理解できていないという方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、国家資格である調理師免許があると飲食店の開業に有利な理由や、調理師国家試験の受験資格について詳しく説明します。

調理師免許がなくても開業可能!

飲食店の開業に、調理師免許は必要ありません。
ただ、厚生労働省が定めた食品衛生法により、飲食業の開業においては、都道府県知事の定める基準によって、「食品衛生責任者」を置かなければならないとされています。[注1]

この食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が実施している講習会に参加することで得られ、講習は通常1日間で終わります。

[注1]
厚生労働省「食品衛生法概要」

知識より実力が重要!「調理師」を置くことは努力目標となっている

各店舗には食品衛生責任者を置く義務がありますが、「調理師」については調理師法以下のように書かれている「努力目標」となっています。

“第八条の二 多数人に対して飲食物を調理して供与する施設又は営業で厚生労働省令の定めるものの設置者又は営業者は、当該施設又は営業における調理の業務を行わせるため、当該施設又は営業の施設ごとに、調理師を置くように努めなければならない”

引用元
調理師法 e-Gov


有名実業家がSNSで、「調理師資格不要論」をつぶやいて話題になったこともありますが、飲食業の世界では「美味しいかどうか」で料理人の評価が決まり、店の売上が決まります。
上位資格の専門調理師・調理技能士と違い調理師資格の試験は筆記試験のみで実技はありません。知識があっても腕がなければ意味がないという実力主義の業界なので、調理師免許の有無はあまり問題にされないようです。

調理師免許があると何が良いのか?有利な点を紹介

調理師免許がなくても開業はできますが、調理師学校はたくさんありますし、求人の必要条件として「調理師免許」を求める職場も数多くあります。主に給食関連会社や大手飲食チェーンのマネージャー級には調理師免許が求められるようです。就職の場合、給料が良い・昇進が早いなどのメリットも。
しかし、自分で開業する場合はどうでしょうか。

ここからは、自分で飲食店を開業する場合に調理師免許を自分で保有している、あるいは、従業員に調理師免許を持っている人がいると有利な点を上げてみます。

調理師免許があると何が良いのか?有利な点を紹介

食品衛生責任者の講習会が免除される

調理師免許保有者は、申請することで講習会を受けなくても食品衛生責任者になることが可能です。
例えば、従業員に調理師免許を持つ人を雇っていれば、オーナーが講習会に出なくてもすみます。複数の店舗を出店する予定ならば、店に一人ずつ調理師免許を持つ従業員を置く方が、食品衛生責任者の講習会に行かせるよりも店としての経費は安上がりです。

衛生面などで信用できるお店であることを証明できる

調理師免許を取得するには必ず食品衛生や公衆衛生などを学ぶ必要があります。
食材や調理方法などについての知識があるということを国に認められたという証でもあります。

また調理師免許は、調理師法により麻薬や違法な薬物の使用をしている人や罰金刑以上の刑を受けた人を免許の欠格事由に該当するとし、都道府県知事は免許の剥奪をすることができます。(罰金刑以上とは、裁判所で有罪判決を受けて科せられた、罰金、禁錮、懲役、死刑のことで、交通違反などの行政処分による反則金は罰金ではありません)

つまり、調理師免許を保持していることは、お店・料理の衛生対策について信用できる証にもなりますし。クリーンなお店としてイメージアップにもつなげられるでしょう。

調理師免許の取得方法は2種類

調理師になるには2つの方法があります。ひとつは調理師学校を修了すること、もうひとつは国家試験に合格することです。

調理師専門学校を修了することで調理師免許が取れる

中学卒業、あるいは高等学校卒業後、1年から2年かけて調理の知識と技能を学ぶ調理師専門学校を終了すると、調理師免許を得ることができます。

調理師法調理師法第三条一には、

“学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十七条(高等学校の入学資格)に規定する者で、都道府県知事の指定する調理師養成施設において、一年以上、調理、栄養及び衛生に関して調理師たるに必要な知識及び技能を修得したもの”

引用元
調理師法 e-Gov


は、都道府県知事に申請することで調理師免許を取得できるとされています。
この「都道府県知事の指定する調理師養成施設」とは、「厚生労働大臣指定・調理師国家試験免除校」と指定されている全国の調理師専門学校のことです。

調理師国家試験に合格することで調理師免許が取れる

もう一つの調理師免許取得方法は、調理師国家試験を受験し、合格する方法です。
調理師法調理師法第三条二には、次のようにあります。

“学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十七条(高等学校の入学資格)に規定する者で、多数人に対して飲食物を調理して供与する施設又は営業で厚生労働省令の定めるものにおいて二年以上調理の業務に従事した後、調理師試験に合格したもの”

引用元
調理師法 e-Gov


学校に通わなければ合格できないと考えがちですが、調理師免許試験の合格率は6割以上。通信講座も含め、独学でも合格している人はたくさんいます。

調理師免許試験の受験資格に関して注意すべき点

調理師免許試験には受験資格が規定されていています。
中学校卒業以上であることと、

“多数人に対して飲食物を調理して供与する施設又は営業で厚生労働省令の定めるものにおいて二年以上調理の業務に従事した”

引用元
調理師法 e-Gov


経験が求められます。
この受験資格について注意すべき点をまとめてみました。

・・・2年以上の経験は週4日以上かつ1日6時間以上のアルバイトでもOK

この2年以上の経験は、正社員である必要はなく、アルバイトでも認められます。また、継続していなくても、通算して2年以上であれば受験資格があります。しかし、週4日以上かつ1日6時間以上の勤務であることが条件です。

・・・実務経験となるのは「調理」実務

必要な実務経験として認められるものは、以下のとおりです。

飲食業…外食産業全般(ホールや事務のみは不可)
中食業…お惣菜・お弁当(販売のみは不可)
魚介類販売業…鮮魚店・スーパーの鮮魚コーナーなども(販売のみは不可)
施設級職業…病院・福祉施設・寮・社員食堂(1回20食以上または1日50食以上調理に限る)

ポイントは「調理」実務を通算2年間以上経験していたかどうかですね。
コンビニでも、「揚げ物」などの調理を伴う仕事をしていた場合は「飲食業」に含まれる場合もあります。
詳しくは各都道府県のホームページ等で調理師試験受験資格について確認しましょう。

飲食店の開業を目指すなら調理師免許を持つ人がいたほうが有利

開業にあたって調理師免許は不要とはいえ、免許を持っている人がいたほうが、お店のイメージアップに断然有利です。従業員として雇えば即戦力にもなりますし、何かと忙しい開店前にオーナーが講習会に通う手間も省けます。
しかし、調理師免許を持つ従業員にはそれだけ給料を多く払う必要があります。始めはこぢんまりとしたお店から始めるつもりならば、独学で国家試験を受けるのも一つの方法ですね。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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