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多店舗経営のメリットとデメリット

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念願の店舗開業を果たした後、順調にリピーター顧客を増やし、売り上げも黒字を重ねるようになると考えたいのが2号店の開業。つまり多店舗経営への展開です。
店舗を増やすことは多くの起業家の夢でもあり、事業の拡大に重要なステップとも言えますが、同時にデメリットも潜んでいるものです……2号店を出店することで得られるメリットとは?

メリット1:認知度とブランド価値の向上

最大のメリットは認知度の向上です。2店舗目がオープンすれば、地域内での認知度も向上し、お客様に安心と信頼を与えられます。また、別地域にオープンさせることで、新規顧客を獲得できます。いずれもブランドとしての価値が向上し、認知度もアップ。相乗効果で1店舗目の売上も上がるため、大きなメリットになるでしょう。

メリット2:スケールメリット

店舗が増えれば、仕入れの量が増加し、単価も安くなる場合があります。これを「スケールメリット」と呼びます。例えば町の小さなカフェと、多店舗経営しているカフェでは、同じ材料や食材でも仕入れ値がまったく異なります。それが、価格にも反映されるわけです。
ロット数を増やすと1点当たりの割引率が高くなることがほとんど。つまり2店舗目、3店舗目と増やしていくことで仕入れる商品の量が増えるため原価率を抑えることに繋がります。これは食材などだけでなく、定期的に補充が必要な什器や備品、さらには制服などのレンタル料などにおいても適用されます。この「スケールメリット」は多店舗経営において一番見えやすい利点とも言えるでしょう。

メリット3:環境による変化のリスク回避

世の中の環境はすぐに変わります。店舗の最寄り駅に大きなショッピングセンターができれば、訪れる人は増える分お客様を取られてしまうこともあれば、大きな道路が開通による交通量増化で近隣に競合店が続々とオープンする場合も……。1店舗のみの経営では、周辺環境の変化による影響をもろに受けて閉店……と言う悲しい結果もあり得ます。
しかし、2店舗、3店舗と多店舗経営していれば、いずれかの店舗が不振に陥っても他店舗の売上でサポートできます。1店舗だと耐えられない打撃も、多店舗展開することで経営に粘り強さが生まれます。いざとなったら1店舗目を畳んで他の店舗に注力するなど、多店舗経営には戦略の幅を広げ、破綻を回避するメリットがあるのです。

メリット4:スタッフのモチベーションの向上

1店舗だけの経営の場合は、役職が限られてしまうため、長年働いていても役職が付かない、昇給がないなどの理由でスタッフのモチベーションが下がってしまう可能性があります。場合によっては、他の飲食店の方が優遇されているといった理由で退職されてしまうなど、人材不足に悩む可能性もあるので注意が必要です。
一方で、多店舗経営の場合には、オーナー以外にもマネジメントに関わる人材が必要です。例えば、スタッフ、リーダー、店長、エリアマネージャーなどのキャリアパスを設定すると、スタッフがキャリアパスを意識して取り組むため、モチベーション向上につなげることができます。スタッフのモチベーションが向上することによって、店舗全体の売り上げ向上も期待できるようになるでしょう。

デメリット1:開店の初期費用が掛かる

多数のメリットがある多店舗展開ですが、デメリットにはどのようなものが挙げられるでしょうか。やはりネックとなるポイントは、開店に際して初期費用が掛かること。
既に1店舗目を経営している人なら経験済みですが、やはり2店舗目以降の開業にも、初期費用は少なくとも数百万、多ければ数千万円が必要です。店舗内装、設備投資、什器備品代金、広告費、さらには人件費まで。借り入れもできますが1店舗目の返済が残っている場合、さらに借金が増えることになります。
店舗が増えれば利益も増えますが、以降の事業が軌道に乗らなければ「火の車」状態になってしまいます。そうなると、せっかく順調だった1店舗目の利益を食い潰すことにもなりかねません。店舗運営を左右する「資金」については慎重に考えることが必要でしょう。

デメリット2:人材の確保、教育のコスト

多店舗経営に乗り出すにあたって、優良な「人材の確保」と、それに対する「労力」が大きなデメリットとなる場合も。人材採用が難しいと言われる昨今です。1店舗目では優秀な人材に恵まれたとしても2店舗、3店舗でもそうとは限りません。しかも新規オープン時には複数人~数十人必要となる場合もあり、新たなスタッフの教育もゼロから始めねばなりません。さらに1店舗だけなら、オーナーである自分とアルバイトやパートスタッフだけで賄えていても、2店舗以降は各店舗の管理を任せられる社員の雇用も考えなければならなりません。各店舗においてオーナー不在の状況が増えるので、全面的に信用できる人材の確保が必要となるのです。

多店舗経営に適しているタイミングとは

多店舗経営は、1店舗経営を行う場合より採算効率などが良くなるため、すぐにでも店舗を増やすことを望んでいる人が多いかもしれませんが、タイミングを誤ってしまうと大きな損失を抱えることもあるので注意が必要です。
そこで、多店舗経営を失敗しないために、展開していくのに適しているタイミングについて見ていきましょう。

店が繁盛している

繁盛していない店の多店舗経営を行ったとしても、その店の名前が知れ渡っていないため、展開した後のリスクが大きくなります。そのため、まずは多店舗経営の元である本店が繁盛しているかどうかが重要です。例えば、ピーク時に満員である、並んでいるお客さんがいるなどです。このような状況であれば店の名前が知れ渡っているため、多店舗経営を行っても展開先で需要が期待できるほか、軌道に乗るまでは本店の利益で支えることができるので、安定した多店舗経営を行うことができるでしょう。

店を任せることができるスタッフが育った

オーナーは、同時に複数の店舗の管理はできません。そのため、多店舗経営では、オーナーと同じくらい経営に対する熱意を持ったスタッフが育ったかどうかが重要です。スタッフが育っていない状況で多店舗経営を行うと、展開先のトラブルの影響で本店の経営が危うくなる可能性もあるので、スタッフが育ってから多店舗経営を始めるようにしましょう。

金融機関から融資許可がでた

多店舗経営のデメリットでも触れたように、多店舗経営は1店舗目を始めた時と同様、初期投資がかかるので、多額の支出を伴います。金融機関から融資許可が出た場合には、手元に資金を残しながら展開できるので、万が一の事態に備えることができますが、身銭を切って展開する場合には、万が一の事態に備えることができずに経営が悪化してしまう可能性があります。そのため、金融機関からの融資許可が出るなど、経営基盤が整ってから展開した方がリスクを抑えることができるでしょう。

まとめ

多店舗展開は成功すれば事業として飛躍的に成長できる分、費用的にも時間的にも多大なコストが掛かる、いわば「絶対に失敗できない決断」でもあります。
現在、複数店舗の展開を考えている人は、果たしてそれが本当に成功への道に繋がるのかを経営コンサルタントなどに相談してみることをおすすめします。中には多店舗展開を得意とする経営コンサルタントもたくさんいます。場合によっては大手チェーン店のフランチャイズビジネスも検討したほうがよい場合もあります。まずはひとりで決断する前に、相談をして客観的な意見を取り入れ、じっくり検討しましょう。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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