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【小阪裕司コラム】第5回:店舗は立地ではなく、選ばれる存在であるかが重要

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全国・海外から約1500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

車で通う顧客が大半!?データから見えた店舗の傾向

 今日は、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の美容院のお話をしよう。
 同店主から最近、来店客がどのエリアから来ているか、同店でどんなお金の使い方をしているかをまとめたデータをいただいた。
 まず同店の立地だが、日本のあちこちで見かける郊外の住宅街の風景に、埋もれるようにたたずむお店。送られてきた報告書には写真も添付されていたが、店主曰く「インスタ映えもしない、立地条件も商売をするには決して良いとは言えない田舎の住宅街にある」店だ。
 そういう立地で、特に昨年からはコロナ禍であるにも関わらず、同店の業績は変わらず堅調だが、この店に今、どの地域から顧客が通っているかとデータを見ると、
・徒歩数分内 24%
・自転車、車で数分 11%
・車で数十分 30%
・車で30分以上 27%
・車で数時間 8%
ということだった。
 ここで着目したいのは、車で数十分以上かけて通う顧客が全体の65%、30分以上でも35%もいることだ。申し添えておくが、いかな「田舎の住宅街」といっても、周辺にいくらでも美容院はある。なにせ同店がある市は人口80万人都市なのだ。

顧客に選ばれるお店は「ハッピーを売る」?

 この状況は二つの面から捉えられる。
 1つは、近隣の方にまだ十分に知られていないのではないかという点で、これは事実だ。ワクワク系ではよくあることだが、こういうとき、改めて近隣に自店の存在をアピールすべくポスティングなどを行うと、近隣の顧客は増える。
 そこでもう1つの点が重要となる。同店が、車で数十分かけても通うほど顧客に選ばれているという事実だ。それほど遠方の方に選ばれるのなら、近隣の方々にも、存在が知れ、一度利用してもらえば選ばれる存在になっていく可能性は高い。要は立地が良いか悪いかではなく、選ばれる存在なのかどうかなのだ。
 店主はこの状況を振り返り、「立地条件が良くインスタ映えするほど素敵なお店でなくても、お客様にハッピーを売っていたら、遠くからでも買いに来てくれるんですね!」と言うが、これはワクワク系的には的を射た分析だ。
 しかし一般には「ハッピーを売る」とはどういうことかつかみどころがないだろう。そこで次回は続いて、そのあたりをお話ししたい。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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