飲食店を開業する際には、たくさんの開業資金が必要になります。そんな時に、どんな資金調達の方法があるのでしょうか。開業資金の調達には、自己資金の他、知人や親族からの融資や出資、日本政策金融公庫や信用金庫・銀行からの融資といった方法があります。極力、開業資金は自己資金で賄えることが理想です。それが難しい場合は、知人や親族からの融資や出資を考えましょう。それもない場合は、日本政策金融公庫での融資を検討しましょう。
飲食店を開業しようと思うと、立地のいい物件や、厨房機器、店舗の内装費などなど、意外と費用がかさんでしまいますよね。安定的に飲食店を始めようと思うと、一般的にはおよそ1000万円以上の資金が必要であると言われています。とにかく、飲食店を開業する時は資金がたくさんあったほうが安心できますよね。
このページでは、そんな開業資金を調達する際に知っておきたい4つの資金調達方法について、それぞれのメリットやデメリットを挙げながら解説していきます。
親族や知人からの援助は融資の時にプラスに働く
さて、飲食店の開業資金は、できれば自己資金ですべて賄うことができるのが一番簡単です。1000万円ものお金をコツコツ貯めている時間なんてない、貯められないという方は、当然別の資金調達方法を考える必要があります。
まず、初めに挙げられるのは親族や知人から資金を調達する方法でしょう。
一般的にお金を融資してもらうとなると、金融機関などでは、融資を受ける側の収入や資産によって融資可能な金額が決まってしまいます。
土地を自ら所有している、自己資金をたくさん持っているというならば、こうした融資を受けても良いかもしれません。しかし、親族や友人からの融資ならば、収入や資産は関係ありません。強いて言うならば、どれだけ信頼されているか、仲が良いかというところでしょうか。土地もなく自己資金も少ないならば、友人や親族に融資してもらったほうが、借りられる額も変わってきますからね。
なお、親族からの出資や融資と言われると若干曖昧な部分がありますので、そのお金は融資なのか出資なのか明らかにして、書面などで残しておくのが良いでしょう。また、知人などの出資者についても身元保証や贈与契約書などで記録に残しておくようにしましょう。
「見せ金」として指摘される場合があるので注意
しかし、注意してほしいのは知人からの出資は、「見せ金」として、金融機関から厳しく指摘されることがあるかもしれないので注意しましょう。
見せ金とは一時的に知人からお金を借りて、自己資金を多く装い、より多額の融資をしてもらい、いざ融資が降りれば、知人に借りた分をすぐに返すという一連の行為のことです。
これでは、金融機関が返してもらえるかわからない額のローンを融資したという事になってしまいますので絶対にやめましょう。
日本政策金融公庫は融資が通りやすい
開業資金を融資してもらうのに一般的なのは、やはり日本政策金融公庫でしょう。日本政策金融公庫は新しい事業を生み出して、それを育てていくことを目的とした、財務所管の特殊会社です。
通常、過去に経営を行った実績がないと、銀行ではお金を融資してもらうことは厳しいです。また、融資実行までに少々時間がかかってしまいます。
一方で、日本政策金融公庫では、過去の実績がなくとも融資の成功率が高いと言われています。融資が成功すれば、実績が残り信用が上がるため、後々、銀行からの融資も受けやすくなってくるでしょう。ですから、もう少し融資してほしいと思えば、日本政策金融公庫からの融資を受けたあとに銀行から再び資金を融資してもらうということも可能です。
また、銀行に比べて利率が低いことも大きなメリットの1つです。銀行の場合には、利息に加えて信用保証料というものも含めて支払わなければなりません。すると、利息に信用保証料が上乗せされる銀行のほうが、日本政策金融公庫の利息よりも高くなってしまいます。
さらに、資金調達の専門家である認定支援機関の強力を得て行う中小企業経営力強化資金という融資を行うことで1.3%前後という低金利で融資を受けられる可能性があります。その他にこの中小企業経営力強化資金には、本人が金融機関に足を運ぶ必要がなくなる、融資面談の際には専門家同席で臨めるといったメリットもあります。
融資面接では創業計画書で明確なプランを説明する
しかし、融資が通りやすいとはいうものの、融資面接では、開業する時の計画を明記する書類である創業計画書をしっかりと書いておく必要があります。まずは熱意をしっかりと伝えられることが重要です。具体的な数字や期間を交えて、計画を説明し、担当者を納得させられるだけのものを完成させましょう。
銀行や金融機関は融資のスピードが遅いのが難点
開業する際の資金調達には銀行や信用金庫からの融資という方法もあります。必ず、保証協会付きの融資を探してください。
保証協会とは、「信用保証協会」の略で、中小企業向けに融資を受けやすくするために保証人を立てることを目的にした公的機関です。この信用保証協会が保証人を立ててくれるおかげで、金融機関が安心して資金を融資してくれるようになるのです。先ほど挙げた「信用保証料」は信用保証協会に保証をお願いするために支払うお金のことです。
しかし、忘れてはならないことは、信用保証協会はあくまでも金融機関を助けるための組織であるということです。万が一、債務者がお金を返せなくなってしまった際に、協会が借入金を返済します。
日本政策金融公庫と比べると、融資までのスピードが遅く、色々な書類を作成したり、金融機関に何回か足を運んだりする必要があります。また、審査結果に最低でも2ヶ月はかかってしまうほか、中には営業許可証が発行されていることを融資の条件にする金融機関もあるので開業資金の調達方法としては、あまりおすすめできません。
補助金や助成金は開業資金としては不向き
創業補助金やキャリアアップ助成金といった、補助金や助成金は飲食店ではよく使われるものです。
返済は不要ですが、残念ながらすぐにお金が入ってくるわけではありません。例えば、補助金の中には、年間に使用された経費の内訳を確認してから、初めて助成金を受け取れるものが多いようです。また、受給要件が難しかったり、申請期間が短く設定されていることもあり、資金調達には不向きと言えます。補助金や助成金については、開業してから考えてみましょう。
以上、飲食店開業における資金調達の方法をご紹介しました。極力、開業資金は自己資金で賄えることが理想です。しかし、それでは難しい場合は、知人や親族からの融資や出資を考えましょう。それもない場合は、まずは、日本政策金融公庫での融資を検討しましょう。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。
