独立・起業し、飲食店などのお店を開業することは、「自分が考えたコンセプトやテーマに沿った"完全自分オリジナル"の〇〇を、お客さまに提供し、それによって報酬を得る」という夢の仕事です。
その夢の仕事を継続させるためには、自分オリジナルの〇〇を産み出す作業よりも、お店という組織を経営するという作業の方が、圧倒的に多いのです。
残念ながら、このポイントを少なく見積もって開業してしまう開業者が多いのが実情です。
canaeru(カナエル)では、忙しい開業予定者のために、「まずはこれだけ抑えておけば経営は継続する」というポイントまとめてみることにしました。
たくさんの経営本のどれを読めばいいのか分からない、セミナーなどで勉強する時間がない…という方に、まずはこれだけでも抑えてほしいポイントは5つです。
起業して会社経営、美容院や飲食店も開業。あらゆる業態を事業化し、成功させてきた株式会社グリーンツリー代表・森田健太郎氏が解説します。
第1回目は、料理人、美容師など"職人"だけでは経営は成り立たない、という事実を、例を挙げて説明します。
起業後、10年間の生存率は数%
森田:さっそくですが、お店の開業をカナエルことは、資金をある程度貯めて、残りはリースや銀行から借り、出店してしまえばよいわけです。つまり勇気さえあれば(笑)それほど難しいことではありません。
しかし、「開業から3年で7割が閉店すると言われる飲食店…「おいしい」だけでは繁盛しない」でもありますように、カナエタあとの方が圧倒的に難しいと思います。
飲食業界は特に大変ですが、飲食に限らず、通常の起業であっても10年間の生存率は数%と言われています。ここでは、カナエル前の方にも参考になるように、カナエタあとに待ち受ける大きな問題について解説します。
『儲かるためにおさえなければならない5つのポイント』
タイトルはズバリ、儲かるためにおさえなければならない5つのポイントについてです。
他の特集にもちょっと出ていますが、7年で1,000店舗まで拡大した某焼き肉店があります。どうやったら7年で1,000店舗まで拡大できるかおわかりになりますか?
その秘密を説明しましょう。
カリスマ美容師オーナーの美容院が、10店舗以上の多店舗展開をできない理由とは?
私は美容室の経営もやっているのですが、日本の美容室・理容室の会社の売上トップ5のうち、2位~5位の会社の社長は美容免許を持っていません。(※1)
一方で、美容免許を持っている有名なカリスマ美容師がオーナーとしてやっているお店で10店舗以上出店しているところはありません。(※2)
最大でも5店舗レベルです。(※1)
この店舗数が拡大できない要因は、職人がそのまま経営をしてしまっているからに他なりません。
飲食業界もそうですが、職人の状態で独立・起業・開業しているケースが多いと思います。しかし美容業界同様、職人のままの状態で経営をしてしまうことは大変危険です。
現在コンビニは約5万軒、美容室は約23万軒。コンビニの4倍以上も店がある美容業界ですが、美容師は「カットの技術さえあれば大丈夫だ」と言って独立してしまいます。そして多くの美容室が潰れていくのです。
同じく、飲食業界はおいしい料理を提供できさえすれば独立しても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫であれば、3年で7割の飲食店が閉店することはないでしょう。
経営資源には、ヒト・モノ・カネの3つがあると言われていますが、職人の方々はモノについてだけこだわっている状態です。つまり独立・起業・開業したあとは、職人からヒトやカネにもこだわる経営者になる必要があるのです。
※1:2018年2月現在
※2:カリスマ美容師が雇われ社長の場合は、フランチャイズ含め、10店舗以上出店しているケースがあります。
開業"3年目"に閉店が多いのは、明確な理由がある
あくまでも経営に特化し、最初はカネに特化して解説します。少々難しい話が出てくるかもしれませんが、これが理解できなければ経営はできません。
独立・起業・開業し、カナエタあと、一番驚くのは翌年来る税金です。
特に飲食業界は美容業界と違い、開店したときに一番売り上げが上がる傾向があります。
美容業界は徐々に売上が上がっていく業界なので、飲食業界とは真逆です。飲食業界はいかにオープン時から売り上げを下げないようにするかがポイントです。
ということは、逆に最も売り上げが上がるオープン時にどのような経理処理をするかで大きな差が出るのです。
多くの飲食店は最初うまくいくのですが、その後、借り入れへの支払や税金負担が驚くほど大きく、払えない…、といったことが起き、3年目を目処に閉店していくのです。
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■プロフィール
森田健太郎
1967年広島県生まれ。日本大学大学院理工学研究科物理学専攻博士前期課程修了後、KDDI株式会社に入社。1年間システムエンジニアを経験し、営業部門に異動。2年後、実績が新聞、雑誌などに多数取り上げられ、注文が殺到。東京支店達成率ナンバーワンに躍進。
1998年、ヘッドハンティングによって外資系ソフトウェア会社であるマカフィー株式会社に転職。1999年に日本でナンバーワンセールスとなり、2000年8月には世界ナンバーワンセールスアワードをハワイで表彰。同年11月、最年少部長に昇進。9四半期連続で目標達成という偉業を成し遂げる。
2001年、独立系ソフトウェアベンチャー企業にヘッドハンター経由で役員として転職。入社してわずか4年で売上を13倍にする。
2006年3月、株式会社グリーンツリーを設立。初年度からホームページを容易に制作できるソフトウェア販売(CMS業界)でトップレベルの会社に躍進させる。設立から現在までずっと黒字経営を続けており、2012年11月にはホームページ累計導入社数が1,000社を超える。
2011年11月、コンビニの5倍もある美容事業に参入し、一号店を3カ月で黒字化させる。
2017年11月現在、ホームページ導入社数は約2,000社、美容室は4店舗、一般社団法人 日本優良品協会 監事なども務める。
