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【小阪裕司コラム】第168回:見よう見まねでもやってみると

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

良い事例を共有する「深掘り発表会」

 前回は、観葉植物販売のエピソードを通じ、「商品にはたくさんの『売れる切り口』がある」ことをお伝えした。その終わりに、「こういう事例はしばしば埋もれている。それを引き出して全社共有・水平展開することはとても重要な活動」とも。今回はその話題を続けよう。
 ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のあるリサイクル・リユース店は、前回の雑貨店チェーンと同様、地方で複数店舗を営んでいる。今回、社長から「深掘り発表会」なるもののご報告をいただいた。
 同社でも、社内の良い事例をすくい上げ、全社で共有する活動を行っているが、「深掘り発表会」とはその一環で、前回の例のように、異常値を出している現場やスタッフを見出し、その原因を深掘りし、発表・共有する場のことだ。
 今回共有されたのは、店頭での接客について。それは次のようなことだ。お客さんが「これください」と言ってくる商品は、ほとんどの場合そのお客さんにとってベストな選択ではなく、しかも安価なものが選ばれる傾向にある、とあるスタッフは言う。しかし、お客さんの方からそう言われた時点で、「いや、こちらの方がいいですよ」とひっくり返すことは難しく、言われる前に声をかけることが重要だと。そして、この発表会でこの話題が出るということは、実際このスタッフは、この声かけで異常値を作り出しているということだ。
 同店はリサイクル・リユース店だけに取り扱い品目が多く、一人のスタッフがすべての商品に精通するには膨大な知識が必要となり、実際には難しい。詳しいスタッフが不在の場合はどうしても「これください」になりがちだ。しかしそれでも、異常値を作り出している人がやっていることを共有し、全店で見よう見まねでもやってみれば、まったく同じではないにせよ、より良い結果になる。お客さんにはどれが最適な商品なのかを教えられる機会が増えるし、客単価も上がる。

「良い事例」は他の人も再現できる

 一人のスタッフが気づいたこと、行った工夫。それによって生み出された成果(≒異常値)。それを全社で共有することは、全社の業績向上につながる。そして、25年実践会を営んで言えることは、「良い事例」は必ず他の人も再現できることだ。しかしその工夫は、今回の声かけのように、ささやかなものも多く埋もれやすい。ぜひ活かしていただきたい。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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