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【小阪裕司コラム】第167回:新たな「売れる切り口」を見つけると

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

違いを生み出す原因を探る

 今日は「商品には、今気づいていない新たな『売れる切り口』があるかも」というお話。今回それを見つけ、報告してくれたのは、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある雑貨店チェーンだ。
 今回報告をいただいたのは、同社内で社内の良い事例をすくい上げ、全社共有する役割も担っているあるスタッフさん。彼はあるとき、ある商品の売上が店によって大きく異なることに目を留めた。
 その商品とは「観葉植物」。目を留めた売上は1月のものだが、多くの店では月間3万円から10万円ほどだった。園芸用品は春になると売れ行きが伸びるが、通常1月の売上はおとなしい。ところがある店舗だけが突出した売上となっていた。その売上、何と約60万円。比較する店によっては20倍の差があったのである。
 こういう「差」を見つけたとき、ぜひ「なぜ、この差が生まれるのだろう」と疑問を持ち、その答えを探っていただきたいのだが、あなたはどういう原因があると思うだろうか?
 まず、この店だけがそもそも売上が大きく、来店客数が突出して多いわけではない。従って、他の売り場の売上にも同様の差がついているわけではない。また、同店の周辺で何か観葉植物が1月に売れるような特殊な事情があったわけでもない。そういう外部要因はまったくないのだ。そうなると、目を向けるべきは内部要因、中でも「売り方」なのだが、同店だけがディスカウントセールを行ったわけでもない。
 こういうときの着眼点は1点、「どんな『売れる切り口』を見つけ、発信したか」だ。そして実際にその点を調査してみると、1月に同店が行っていたことが分かった。この店ではお客さんにこう訴えかけていたのだ。「幸せをもたらすグリーンをお迎えして、縁起のいい新年をスタートさせよう」。行ったことはこの一言をA型看板に書いて店頭に立てただけ。しかしそれが、この大きな結果の違いを生み出したのである。

良い事例が埋もれてしまっていることも

 またここで、同社同様に多店舗展開、もしくは全国に営業所などをお持ちの経営者の方にぜひお伝えしたいことがある。私がこれまで多くの会社を見てきて思うことは、こういう事例は社内でしばしば埋もれているということだ。それを引き出して全社共有・水平展開する。それはとても重要な活動なのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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