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【小阪裕司コラム】第163回:自社でも真似してやってみると

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

常連客に旅行先のお土産を渡してみたら…

 前回、前々回と、うどん店による顧客との「つながり」作りをお話しした。それを土台に行ったお土産イベントについても。今回はそのイベントを「いいな」と感じたある店でのお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある手芸店からのご報告だ。
 ご当地で3店舗を経営する同社社長は、先のうどん店での取り組みを見て「感銘を受け、私も同じような感覚を味わいたいと思い」、自社でもやってみようと思い立った。とはいえまだワクワク系を学び実践し始めて半年ほど。かの店のような結果になるかどうかは分からないが、ちょうどプライベートな旅行に行く機会もあり「どんなことが起こるのかを見てみたい好奇心も手伝って、実際に行動してみました」。
 お土産は3店舗分となるため、かなりの量になることが予想された。そこで今回、まずは来店客全員でなく、「常連さん」と呼べる方々を対象にし、各店スタッフにお土産をお渡しするリストの作成を指示。それを持って旅行に出ると、自然に、旅を楽しみつつ真剣にお土産に向き合う姿勢に。社内からは「あらかじめネットで買っておけば」という声も出たが現地購入にこだわり、幸い最適なお土産も見つかり、無事購入できた。
 旅行から帰ると、早速リストアップされた顧客にハガキでお知らせした。このハガキを持参して、店にお土産を取りに来店してほしいという内容だ。メッセージを込めたいと、手書きのひと言コメントを添えたハガキという方法にはこだわった。
 そうしてハガキが顧客に届き始めると、様々なことが起こった。「ハガキもらいました。こんなふうに私のことを思っていてくれて、涙が出るほどうれしい、必ず取りに行くからね」と電話をくれた80代の常連顧客。他にも電話は数名あった。
 さらにお土産を取りに来た顧客らが置いて行く手土産で、店にはお菓子やフルーツ、野菜などが山盛りになった。そして、その盛り上がりに比例するように、店の売上は上がったのである。

「学び」とは「実践する」こと

 今回の実践を通じ、「沢山の気づき、発見、珍現象に出会えることが出来ました。やはりやってみないと分からないことばかりでした」と社長は言う。そう。「学び」とは「実践する」ことなのだ。当会には今、多い月には200を超える実践事例が集まるが、そういうものを見聞きし、動機が好奇心でも何でも、自社・自店でもやってみること。それが実は、最も簡単で手早く、そしてパワフルな商売上達法なのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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