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【小阪裕司コラム】第162回:うどん店が「つながり」を作ったら②

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

休む=価値創造、絆づくり強化チャンス、売上向上

 今回は前回の続き。町のうどん店が顧客とのつながりを作ってきた中で、店主は稼ぎ時の週末に店を連休にし、帰省することを決断した。そして、帰省先でお土産を買い、戻ったら店頭でイベントを行おうと。どの町にもあるようなカウンター十席ほどのうどん店。店主のこの思惑は果たしてどうなっただろうか。
 結果から言えば、イベントは大いに盛り上がった。この背景について店主は言う。「これまでも帰り間際にちょっとおしゃべりしたり、子どもたちと仲良くなってご家族と会話ができるように、飴、ラムネ、スティックゼリーなどを渡していました。それだけでも子どもたちの目がキラキラしてきて、大人ともけっこうフランクにおしゃべりしてお見送りができるようになっていました。絆作りも1年数か月の実践でだいぶ進み、それまで顔は分かるが何処の誰かが分からないというお客さんが徐々に減ってきたところに今回の帰省です」。
 そう。盛り上がるにはわけがあった。同店と顧客のつながりは、この1年数か月で太くなっていたのだ。それを背景に買って来たお土産は、「総数120人分以上はあったのではないか」と店主。誰にでも渡せるよう大量に買った煎餅もあれば、VIP顧客にはプレミアムリッチなカステラのミニパック、常連の高校生たちには学業成就の陶器の御守など相手を頭に浮かべてのものもあり、「これを来店があると帰り際に渡して旅行の話をして、お互いに愉しいおしゃべりの時間をもってお見送りするという形ができあがっていました」。
 このイベントが大いに盛り上がったことと同時に、店主が収穫と語るのは稼ぎ時を休めたことだ。以前は、「休む=売上低下、損失」と思っていたが、今は「休む=価値創造、絆づくり強化チャンス、売上向上」と思えるようになったと言う。そして実際に今回も、1日の平均売上は、比較的売上の良かった前月と比較して25%も向上した。「休む=売上低下、損失」ではなくなっていたのだ。

人と人の「つながり」が商売を支える

 そして、彼にとって何より嬉しかったことは、連休の前後に顧客からかけられた言葉だった。「実にたくさんの方に、『ゆっくり休めた?旅行愉しかったでしょ?たまにはそういうのもないと息が詰まっちゃうから、いいのよ、いいのよ』と言っていただけました」。
 人と人の「つながり」が商売を支える。この「当たり前」を改めて見つめ、この店のように取り組むこと。それが商売を、あらゆる意味で良い方向に変えていくのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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