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【小阪裕司コラム】第160回:「売れない商品」を値引きせずに売る方法

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

行動してもらうには『理由』が必要

 今回は、「売れない商品」を値引きせずに売り伸ばしたお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある100円ショップからのご報告だ。
 同店の商品の中に、ある子供向けの昆虫採集・観察用商品がある。どういう商品かを文章で表現するのがいささか難しいが、はさみのような形状になっていて、先には刃でなくカプセルが付いているもの。はさみの要領でそのカプセルにてんとう虫などをキャッチし、採集するものだ。(想像いただけただろうか?)
 ちなみに、「観察用」とは、そのカプセルが透明になっていて、キャッチした昆虫をそのまま観察できるところからきている。実際、商品のケースには「虫を捕まえて観察してみよう!」「手で触らずに観察できるよ!」の言葉があり、メーカー側もそこを意図した商品であることがわかる。ただ同商品、「特に目立った動きがあるとは言えない商品」で、売れていたわけではなかった。
 そこで同店メンバーは、この商品についてワクワク系的に考えた。ワクワク系では、「『売る』とは、お客さんに『買う』と行動してもらうこと」と考えており、「行動してもらうには『理由』が必要」という科学的セオリーがある。ゆえに彼らも、「お客様が行動する理由を明確に発信(自身が発見)できているか?」と自問自答したとのことだった。
 そうして彼らが発見した「理由」は、「害虫駆除」。より具体的にはカメムシ対策だ。カメムシを「手で触らずに」駆除できる点を、駆除に困っている人の「買う理由」だと考えたのである。
 早速、それを踏まえて大きなPOP(店頭販促物)を作成。「9月~11月はカメムシ注意」「カメムシも取れます!」と訴求し、売り場を作ると、同商品の動きは変わり、子供だけでなく大人も多くの方が買い求めたとのことだ。

お客さんは「行動する理由」が分かれば行動する

 長年このコラムでも言い続けていることだが、お客さんは「行動する理由」が分かれば行動する。ゆえに「売る」には「買う理由」を探さなければならないし、今回のようにメーカーが訴求していないような「買う理由」もしばしばある。それが見つかれば売れない商品も売れるようになるし、特に今回、すでにカメムシ駆除に困っている人は多いので、反応も早かったことだろう。この例を参考に、ぜひあなたの売り場でも「売れるはずなのに売れていない商品」を見つけてもらいたい。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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