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【小阪裕司コラム】第158回:「取引終了」がなぜ「5倍の売上」に?①

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

存在意義を高めて選ばれる会社になる

 今回は2回連続で、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある人材派遣会社からの報告をご紹介したい。お客さんから選ばれるには何が必要か、その気づきに満ちた事例だ。
 同社はある地方の町に根ざした小さな人材派遣会社。社長いわく、「一般的に派遣会社の評価は『いかに安いか?』、『いかに早いか?』、『いかに(スタッフが仕事を)できるか?)』といった20年以上前の牛丼業界の様な基準で決まってきました」。そんななか社長は、「安さは論外、早さは大手に勝てない」。また、派遣したスタッフの好評価は嬉しいが、「スタッフさんの能力に依存しすぎるのは甘えでしかない。自社の価値を、もっと言えば存在意義のようなものを、自分たちの努力で高めそれで選ばれる会社になりたい」と考え、実行してきた。
 そんなあるとき、取引先の1社、ある大手企業の支店から連絡があった。なんでも本社から「派遣会社の利用をやめよ」との指示があったとのこと。その理由は主に次のようなことだ。人出は常時不足しており、派遣会社を複数社使用しているが、「派遣されてきた人材はスグに辞める」「次の人材をスグに派遣してくるがやはりスグ辞める」「派遣会社の営業担当の知識も浅く、何を聞いても答えられない。後日回答もない」「派遣開始以来一度も顔を出さない。売りっぱなし」。そこで、「すべての派遣会社の利用を直ちにやめよ」となったのだが、これがきっかけで、他の派遣会社は指示通り終了となったが、同社だけは終了せず、逆に他社の分も契約が集中することとなり、売上は5倍になったのだった。

信頼獲得は、地味な当たり前の繰り返し

 その理由は何だろうか?例えばその1つは、同社が行っている顧客への情報提供だ。「派遣のことはもちろん、労働や税、保険に関することまで、聞けば何でも答える。わからないこと、即答できないことは『宿題』にして後日必ず回答するという地味な当たり前の繰り返し」と社長は言うが、多くの会社がそこをできていないことは、この一件で明らかだ。また同社では、聞かれなくとも、例えば「同一労働、同一賃金への準拠」を資料にまとめて提供するなど日常的に行っているが、これが大変ありがたがられているという。
 さらに同社では、派遣に至るまでの過程や、派遣後にも特色があり、それらもまた「選ばれる理由」につながっているが、どんなものだろうか。続きは次回に。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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