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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
お客さんに伝わる情報が増えるほど「絆」はできる
今回は、「お客さんと店側が情報のレベルを合わせること」が、通常難しいとされる販売を可能にするというお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、あるガソリンスタンドの取り組みだ。
社長いわく、「ガソリンスタンドで中古車・新車を販売することは、とても難しいこと」。たしかに、どこで車を買うかと問われれば、まず頭に浮かぶのはカーディーラーや中古車店だろう。ましてや同社はセルフのガソリンスタンドだ。私もよく利用するセルフスタンドがあるが、店員さんと話をしたことは一度もない。そこで車を買うかと言えば、選択肢として浮かばないのが普通だろう。
しかし同社は違う。お客さんから「車の買換えの時期が来たら、あんたが心配せんでもここで買うからな」と言ってもらえる店なのだ。では、お客さんにそう言ってもらえるために、同社は何をしているのだろう。
社長が重要視するのは、「当社や当社スタッフが持っている情報とお客様が持っている情報のレベルを、同一化か当社のレベルまでお客様に引き上がっていただく必要」だ。
例えば同社には、「車の経費を抑える新しい買い方」の知識がある。その詳細は省くが、それは同社独自のサービスでもある。しかし、お客さんの側はそういう買い方があることも知らないし、知らないのだから他社との比較のしようもない。そこで同社は、お客さんにいかにそれを伝えるかに注力する。
実際同社にはこの手のノウハウや知識、独自サービスが数多くあり、点検などの様々な機会にそれを伝えている。ときにお客さんの都合で、伝えきる前に時間切れとなることもある。それでも、相手がその続きを聞きたくなるよう工夫して、次回来店の際にまた伝えていく。そうして3つ4つと伝えた情報が増えていくに従って、お客さんとは絆ができてくると社長は言う。そうして「あんたが心配せんでもここで買うからな」が生まれていくのだ。車が売れるのは信用や共感があるからこそ
かつてカーディーラーや中古車店の真似をしていた頃はまったく売れなかったと言う社長だが、今お客さんとの間に築いている「絆」は、プロとしての知識やノウハウ、お客さん軸に立った会社の姿勢などが伝わった上での、信用や共感を伴ったものだ。それが、ガソリンスタンドでは難しいとされる新車・中古車の販売へとつながっているのだが、この事実をあなたの会社や仕事に置き換えると、どんなことが考えられるだろうか?
この記事の執筆
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
小阪裕司
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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